0230
「ルタはそこまで問題がある訳ではないんです。ただ、真っ直ぐというか走って行ってしまうだけで……」
「何かダッシュボーアみたいな奴だな。真っ直ぐ突進していって、失敗という落とし穴に嵌まってから後悔する。ある意味で、よくいる普通の傭兵だ」
「………」
「少しは反省しないといけないぞ。気付いたらメンバーが減るって事もあり得るんだからな? その時になって後悔したって手遅れだ」
「!? ……そう、ですね。ちゃんと反省して、次に生かさないといけません。私も後悔したくはありませんから」
さて、夕食が来たんで食べるか。それにしても、5人組は相変わらず危機感が足りない。お嬢様チームだから仕方がないのかもしれないが、メンバーが死ぬと一気に解散しそうだな。
そうなる事は普通のチームでもあるが、5人組の場合は解散した後は全員が傭兵を辞めそうなんだよな。お嬢様だから、心がポッキリいって復活しないと思う。
しぶとさとか図太さとかは無さそうだ。解散して別のチームを作るって事はしなさそうで、いつまでも死んだメンバーの事に引き摺られる。そういう感じなんだよ、5人組は。
食事後、説明の為に送風機を出してジャンに使い方などを教える。ジャンに必要か聞いたら、あった方がありがたいと言うので部屋に持って行かせた。
5人組がジト目で見てくるがスルーして、女将さんに除湿機を見せて使い方を教える。最初は怪訝な顔をしていたが、効果を知った女将さんは笑顔で「使ってみる!」と言っていた。
乾燥機とかも当然なく、それどころか盥で洗濯物を洗っていて驚いた。5人組が怪訝な表情で洗濯事情を聞いてきたので、浄化魔法で綺麗にしていると言ったら唖然とされた。
どうやら、洗濯程度に魔法を使うなんてあり得ないという事らしい。なので、生活で使うから上手くなっていくんであって、使わないから神殿の奴等もポンコツなんだと説明しておいた。
ファレンは微妙な顔をしていたが、俺の浄化魔法のレベルが非常に高い事を知っているので、反論まではしなかった。むしろ、自分もするべきかと悩んでいたな。
やるかやらないかは別にして、練習しないと上手くなる訳が無い。その事だけはハッキリと5人組に言っておく。毎日1回使う奴より、毎日2回使う奴の方が上達するのは当然だと。
洗濯物なんかに使うなら、宿に帰ってきてからやればいい。狩りが終わって村に帰ってきているなら、魔力の節約は考えなくても構わないんだ。そんなアドバイスをしておく。
どれだけ言っても練習するかどうかは本人次第だ。それに、始めたって1月かそこらで止める奴も居る。不老長寿の場合は、「思い出したらまた修行すればいいや」で済むんだが……。
そんな事を考えながら部屋に戻った。ダリアとカエデはそれぞれの送風機の前で涼んでいる。そういえば2匹は毛が生え変わらないが、単にまだ変わらないだけか?。
それとも魔物だと生え変わらないんだろうか? まあ、このまま見ていれば分かる事か。2匹が送風機の前に陣取ってるものの、部屋の中は昨日までよりも涼しい。
肌寒いとまでは言えないので大丈夫だろう。寒い人は重ね着すれば済むし、皆も文句は無さそうなんだよな。それに、送風機も弱だから大丈夫だろう。弱なら魔石の消費も少ない。
多分だけど3日つけっぱなしで、魔石の魔力が無くなるぐらいだ。予想はその辺りだが、そこまで大きく外れはしないと思う。2匹が寝ていたので、送風機の前から離す。
流石に風邪をひく事は無いとは思うが、念の為に離しておいた方がいい。そう思って2匹を離すと皆が俺にくっついてきて、ベッドに連行された。いつも通り過ぎて何とも言えない。
【房中術】のみで満足させて浄化をする。皆を綺麗にしたら、今度はベッドを含めた部屋を綺麗にして布団に寝転がる。いつもと違い、臭いが篭って無いのがありがたい。
臭いが無いのが寝やすいのか、直ぐにウトウトしてきたので逆らわずに寝る事にした。今日も1日お疲れ様でした。
<異世界109日目>
おはようございます。どうやら、また雨のようです。今日は狩りに行かずに修行だ。元々そのつもりだったので、特に問題は無い。ジャンには身体強化を教えないといけないからな。
更に先に進む為には、身体強化を使い熟すのは必須となってくる。魔力や闘気の使い方と【気配察知】ぐらいは教えないと話にならない。それと浄化魔法だが、やるべき事が多いな。
「おはよう。ダリア、カエデ」
「ニャー」 「ガウ」
2匹とも送風機の前に行くものの、ついてないと分かったのか諦めた様だ。朝は涼しいし、日中だってそこまで暑くはないだろうに。浄化とワシャワシャで気を紛らわしておく。
直ぐにテンションが上がったらしく、送風機の事は気にならなくなった様だ。やれやれ、作るのが早かっただろうか? 今はまだ無くても大丈夫だが、準備は早くからって言うしなぁ。
「「「「「チュッ! おはよう、皆」」」」」
「おはよう、皆」 「ニャ」 「グルゥ」
「今日は小雨が降ってるみたいだけど、どうす……そういえば昨日、ジャンに身体強化を教えるって言ってなかったかい?」
「ああ、言ったよ。宿の中か、それとも中庭の屋根がある所を借りて、身体強化の修行だ。ジャンには毎日修行させるつもりだから、今日は基本をキッチリ教える」
「基本を覚えないと話になりませんからね。とはいえ、基本を使うのと使い熟すのでは、難易度が桁違いですが……」
「それは仕方がないわ。言うなれば、1人前になったばかりの者と達人を比べるようなものよ。どう考えても違い過ぎるでしょう?」
「主様が言ってたけど、1人前と達人の違いは基本の熟練度なんだってね。基本の部分で圧倒的に違うから、1人前如きでは何をやっても勝てないそうだよ」
「成る程な。根本の部分でレベルが違うのか……。それなら何をやっても勝てないのは当然だな。同じ事をやってもハッキリした差がある以上は、どうにもならないだろう」
「しかもハッキリと差が出る部分は、広範囲に渡る基本の部分だよ? 足運びや剣の振り方、そんな小さなところでハッキリと差が出るんだから、勝てるワケがないのさ」
一つ一つの小さな差が積み重なれば、非常に大きな差になるのは簡単に分かる事だ。でも、見ただけじゃなかなか分からないんだよなぁ……。俺も苦労したよ、闘神との修行では。
素人の目じゃ違いが全く分からないんだよ。闘神は丁寧に教えてくれるんだけど、最初の頃は教えてもらっても違いが分からない。分かるようになったのは強くなってからだった。
それから闘神の動きを見ては真似をして、見ては修正しての繰り返しだったなぁ。足を出す、腰を回す、そんな動作を何十万回やったか覚えていない。……というか、思い出したくもない。
剣を振ったり、槍を突いたり、そんな事をする以前の話なんだよな。足運びだったり最適な動作だったりを、徹底的に体に覚えこませなければ、武器の扱いに進めなかった。
本当に地味すぎる基本を何十万回と繰り返した果てに、今の俺の強さがあるんだよ。神界で何百年過ごしたのか分からないが、相当の時間だった筈だ。本当に大変だったんだよ。
「遠い目をしてるトコ申し訳ないんだけどね、そろそろ食堂に行かないかい?」
「ああ、もうそんな時間だったのか。……神界での壮絶な修行を思い出してただけだから、気にしないでくれ」
「アルドが壮絶と言うぐらいだから、相当なものだったのだろうな。寧ろ聞いてはいけない気がするんだが……」
「神界では死が無いって言ってたから、凄まじいものだったんだろうね。死なないと言うより、多分死ねないんだと思うよ」
思い出したくないから言わないでほしい。さっさと食堂に行こう。1階の食堂に下りて従業員に大銅貨9枚を支払い、朝食を注文する。カウンター席に座って、ゆっくりと待っていよう。
▽▽▽▽▽
0230終了時点
大白金貨1枚
白金貨2枚
大金貨18枚
金貨68枚
大銀貨107枚
銀貨66枚
大銅貨106枚
銅貨2枚
ヒヒイロカネの矛
ヒヒイロカネの小太刀
剣熊の爪のサバイバルナイフ
アダマンタイトの十手
二角の角の戦斧
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
剣熊の骨の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
強打猪の革のジャケット
強打猪の革のズボン
真っ黒なブーツ
大型のアイテムバッグ