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0229




 「ヴェル。アンタが出てくるって事は、アタシ達に何か用かい?」


 「いえ、皆さんが指導している新人が気になっただけです。できれば村で活動を続けてくれると助かるんですけどね」


 「ジャンはサングの町から流れてきて、今は村に家族が住んでるよ。家の事もあって、長男であるジャンが外へ出て稼いでるだけだ」


 「村に住んでいたんですか、それは助かります。このまま指導が続いていけば、私の次か、その次ぐらいのギルドマスターになってくれますかね?」


 「それは分からないね。本人がなりたがるか分からないし、書類仕事が出来るかも分からないしねぇ……」



 そんな事を話していると手続きが終わったので、ギルドを後にして宿に帰る。宿の部屋に戻ったものの、まだ夕方前なので、忘れていた魔銅を使って魔道具を作る事にした。


 一つは石と木も使った【凝集】の魔道具だ。空気中の水分などを集めたりする【錬金魔法】だが、使いどころがあまりない。なので、魔道具にして役立てようという事だ。


 ちなみに、洗濯物の近くで使うと乾かす事が出来るので、意外に便利ではある。……一定以上の水分は凝集しないようにして……魔方陣で……良し、出来た! これぐらいで良いだろう。


 四角い箱を木で作り、内側を石で被覆する。魔銅を薄い板にして【凝集】の魔方陣を刻み、底に敷く。その上から石を被覆して、蓋に幾つか穴を開けたら完成だ。


 蓋の穴から空気が入り、その空気中の水分が箱の底に溜まるという簡単な構造だ。道具なんてシンプルな方が使いやすいしな。次は【追風】を刻んだ送風機だ。


 【追風】は風魔法の1つで、魔力の多さで多少威力が変わるものの、扇風機の弱中強ぐらいの違いしかない。実に都合の良い魔法だと思う。扇風機のように木で土台を作る。


 その土台を石で被覆し倒れないようにしたら、中心に柱を立てる。二重の柱にして、ピンで止めて高さを調節出来るようにする。後は魔銅を筒型にして、中に【追風】の魔方陣を刻む。


 その筒の上部に、魔石を入れる魔銅の小さな箱を作る。完成した筒を柱の上に取り付けたら、送風機の完成だ。


 強さの調節は多少いじれば可能になっている。両方とも魔石を使うが、俺は人工的に作り出す事が可能だ。現に幾つか作って使っているしな。


 魔石というのは魔力が凝縮したものでしかない為、作り出すのはそこまで難しくはない。勿論、俺以外だと不可能に近いんだが。かなりの魔力を消費する為、ハッキリ言えば効率が悪い。


 10の魔力を使って1の魔石を作り出すようなもので、本当に効率が悪い。とはいえ、あり余っているうえに使わない魔力を使うなら特に問題は無いだろう。余り物の有効活用だ。


 魔石の人工生成は作成難易度も高いが、魔神に教えられた俺は可能である。他にも様々な事を教えられたが、神様の暇潰しだったんじゃないかと思う事も教えられたりした。


 ……思い出したくもないので、試験運転してみよう。うん、まぁ地味だよな。湿気を集める事が出来るので、部屋を乾燥させる事はできる。衣類の乾燥に使えるかは、分からない。


 送風機の方は……よしよし、上手く動いてる。送風するだけだが、作るとなると失敗なんて普通にあるからな。……ん? 早速カエデが送風機の前に陣取ってる。暑かったのか?。


 ダリアも、ある程度近い場所にいる……。うーん、2台あった方がいいのか? でもなー、流石に2台は邪魔だと思うんだが……どうしようかな。日本ほど暑くないみたいだし……。



 「これは、風が出てくる魔道具なのか? なんだかカエデが気持ち良さそうだが……」


 「そうだよ。【追風】の魔法を魔道具にしただけの、極めて簡単な魔道具だ。火の季節だから、涼しくなる魔道具でもあった方がいいかと思ってね」


 「それは、あった方がありがたいだろうな。火の季節の本番は、毎年後半だ。火の季節の後半から土の季節の前半までが暑い。つまり、暑いのはこれからになる」


 「そういう事か。どうりで涼しい筈だよ。火の季節と聞いていたのに想像と全然違うんで、おかしいとは思ってたんだ。成る程、暑いのはこれからか……もう1台あった方がいいかな?」


 「作れるなら、あった方がいいと思う。2台あれば部屋全体が涼しく出来るだろうし、誰かが暑いと文句を言う事も無いだろう」



 ディルの言葉を受けて、もう2台作る事にした。1台はジャンに渡す用だ。2台作れば丁度、石や木に魔銅が無くなるので都合が良かった。持ち続けても邪魔でしかないし、無くしたい。


 1度作っているので、2度目は簡単だ。ただし作り終わった後に魔石作りをしているのを見て、ディルはギョっとしていたが……。皆も興味があるのかチラチラ見てくるが、それだけだ。


 何かを遠慮しているのか、単に酒の方が優先度が高いのか。ジャンに渡す送風機は、ジャンの都合を聞いてから渡そう。押し付けられても邪魔だろうし、気を使いそうだからな。


 もう1台を稼動させ、部屋の隅に2台を設置する。この部屋は左右の壁に窓が1つずつあるので、部屋全体の空気が循環して抜けていくように設置した。部屋から酒臭さが抜けていく。


 そろそろ夕食だから食堂に行こうか。そう言って食堂に下りると、5人組がジャンに愚痴を言っていた。横で女将さんが苦笑いしているが、何があったんだろう?。


 女将さんに挨拶した後、大銅貨9枚を支払い夕食を注文する。まだ愚痴ってるみたいだが、ジャンも苦笑いして何とも言えない顔をしている。関わらない方が良さ気だな……。



 「トーカ、あの子達は一体どうしたんだい? 何故かジャンに愚痴を言ってるみたいだけど……知り合いでも何でも無かった筈だろう?」


 「それがね。あの5人、今日は命からがら逃げてきたらしいんだよ。森の中でコボルトと戦ってたら、周りからコボルトとオークが出てきたんだってさ」


 「つまり、適当に戦ってたら急に囲まれたって訳ですか。いや、逃げられてるんですから、囲まれる前に逃げたんでしょうね。まぁ、逃げられただけ良かったのでは?」


 「それは、そうなんですが! 私達は堅実に確実に頑張ってきたんです! それなのに、初めての失敗でお金を落とすなんて……」


 「あらー。それは、お気の毒様。とはいえ、逃げるにもコツというか逃げ方というものがあるから、簡単ではないのよ?」


 「慌てて逃げ出すのと、戦略や戦術的な撤退は同じじゃないからね。逃げるという事に悪いイメージを持ってたんだろう。でも、撤退する事の難しさが分かって良かったじゃないか」


 「ただの逃げと撤退は全く違うものだ。逃げるだけなのと、次へ繋げる為の退却では意味が異なる。これに懲りたら、退却の練習もしておいた方がいい」


 「皆が慌てて一斉に逃げちゃったから、危うくコケそうになったしね。アタイ、オークに殺されるかと思ったよ」


 「言葉は悪いですけど、後衛のサリーとエルを何とかしないと……。2人の足が遅くて詰まりかけてしまった所為で、危うく背中から攻撃を受けるところでした」


 「御免なさい。初めてでパニックだったのよ。流石に逃げるだけの筈が、あんな事になるなんて思ってもみなかったわ」


 「私もよ……。ただ逃げるだけと思っていたから、状況の確認と把握をして逃げる必要があるなんて、考えもしなかった……」


 「本当に運が良かったんだな? 常に周囲の確認と状況の確認をするのは当たり前の事だぞ。それに、基本を怠る奴ほど早死にするからな?」


 「全くさ。毎年そうやって死ぬバカが居るんだよ。……というかアンタ達、前に雨の中に突っ込んだ癖に、まだ懲りてなかったのかい?」


 「「「「「!!!」」」」」


 「今ごろ思い出したのかよ……。あの時の事を忘れずに慎重に生きていけばいいものを、反省もしてなかったのか?」


 「いえ、あの時の事はちゃんと反省しています。でも、雨で視界が悪かった時と、森の中は同じじゃありませんし……」


 「森の中って、雨の時より視界は悪いんじゃないのかい?」


 「トーカでも分かる事ですが、貴女は何を必死に言い訳してるんですか。上手くいっていたので、また調子に乗っただけでしょう?」


 「うっ……」


 「この調子に乗る子がリーダーで大丈夫かい? 流石に主様ほどじゃなくても、もうちょっとマシな子はいないのかな?」



 5人組って全員調子に乗りそうだけどな……。



 ▽▽▽▽▽


 0229終了時点


 大白金貨1枚

 白金貨2枚

 大金貨18枚

 金貨68枚

 大銀貨107枚

 銀貨66枚

 大銅貨115枚

 銅貨2枚


 ヒヒイロカネの矛

 ヒヒイロカネの小太刀

 剣熊の爪のサバイバルナイフ

 アダマンタイトの十手

 二角の角の戦斧

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 剣熊の骨の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 強打猪の革のジャケット

 強打猪の革のズボン

 真っ黒なブーツ

 大型のアイテムバッグ


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