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0022




 <異世界9日目>



 おはようございます。昨日は濃かったので、今日は薄い日にして下さい。そんなお願いをしながら浄化していると、ダナの目が開いた。



 「チュッ! おはよう、アルド。……昨日アタシに何かしたね? 途中から記憶が無いんだよ」


 「おはよう、ダナ。本当に寝かさない訳じゃ無いだろうけど、眠らないのは体に良くない。だから【房中術】を使って気を失うように眠らせたんだよ」


 「そんな事が出来るのかい?」


 「【房中術】は肉体の活性化だから、当然逆も出来るんだよ。使い熟せれば危険な技でもある」


 「アタシはまだまだなんだね……」


 「それは仕方ないよ。神様っていう正しいやり方を知ってる方々に教わってたから」


 「ああ……それは仕方ないね。どうにもならないよ」



 そんな話をしながら、いつも通りの口内の浄化とキスをする。本当に日課になってきた。支度が終わり部屋を出て女将さんに挨拶をすると、今日もまた朝から微妙な会話を始める2人。


 その2人に関わらず従業員に朝食を注文し大銅貨2枚を支払う。水を飲んでゆっくりしていると、ダナが隣の席に座った。



 「アルド、今日は一緒に森に行ってくれないかい?」


 「それはいいけど、何かあった?」


 「昨日の雨で森の中が変わってるかもしれないんだ。それを多少でもいいから調べるんだよ」


 「了解。とはいえ、俺1人じゃ限度があるけど?」


 「今日はアタシもヴェルも外に出るし、実力のある連中も動員するんだ。風の季節に入っての雨だからね」


 「風の季節の最初の雨に何か意味があるの?」


 「その雨をきっかけに、森の魔物が徐々に活発になっていくんだ。毎年の事さ」


 「なるほど……あれでもまだ活発じゃなかったのか」


 「伊達に大森林の近くじゃないよ」



 どうも今までの遭遇頻度でも少ない方だったらしい。これからは気を引き締めて川の傍で狩りをしよう。もしかしたら、利益度外視で間引いた方が良いかもしれない。


 一度【探知】と【空間把握】で調べてみた方がいいな。そんな事を考えながら食事を終え、2人分の浄化をして宿を出る。


 荷車屋へ行こうとしたら、ダナについてくるように言われたのでついて行く。そのままギルドに到着したので中に入ると、たくさんの傭兵が居た。



 「皆、分かってるね! 今日は風の季節の調査の日だ! 気合い入れて行ってきな!!!」


 「「「「「「「「「「了解!!!」」」」」」」」」」



 相変わらず、どこぞの軍隊みたいだな……。傭兵達は気合い十分の顔でギルドを出て行く。俺はダナに呼ばれて2階の執務室まで連れていかれた。


 執務室で俺のと似たような防具を装備し、何やらバックパックのような物を取り出して背負ったら準備完了らしい。準備が出来たタイミングで執務室にヴェルさんが入ってきた。



 「ダナさん、こちらも準備完了です」


 「こっちはアルドと一緒に行く。ヴェルは北西から森に入りな」


 「ダナさんは何処へ行くんですか?」


 「アタシはアルドと一緒に川を遡る道さ」


 「あの危険なルートですか!?」


 「心配は要らないさ。アルドはソロでよく行ってるよ」


 「……何をやっているんですか貴方は?」



 何か呆れられてる。別に戦えるし、勝てるし、儲かるし。なら行かない方がおかしい。そう言うと更に呆れられた。ダナとヴェルさんと連れ立ってギルドの外へ出る。


 荷車屋に寄る事を伝えると、大事な事を言われてしまった。



 「たぶん荷車は無いよ?」


 「えっ!? それじゃ如何やって獲物を持って帰ってくればいいのか……」


 「えっ!? ダナさんがアイテムバッグを持ってるでしょう?」



 あれってアイテムバッグだったのか……。色んな形があるから分からなかった。道理で荷車屋に寄ろうとしたら止められる筈だ。ヴェルさんとは村を出て直ぐに別れ、俺達は川を遡る。


 ゆっくり進み、【探知】を使いながら調べて行く。所々に反応はあるがそこまで多くない。そんな事を話しながら進んでいると、4つの反応がこっちへ来た。



 「ダナ、コボルトの反応が4つ来る」


 「了解。それにしても【探知】だっけ、便利だねぇ……」


 「グルルル……グウォッ!」


 「練習すれば誰でも使える様になるよ」


 「グルァッ!?」


 「練習すれば……ね、大変そうだ」


 「「グギャッ!?」」



 呑気に喋りながら魔物を倒す。お互いにこれぐらいは出来るだけの実力はある。倒した後さっさと処理して、アイテムバッグに収納してもらう。


 漫画やアニメみたいに、吸い込まれる様に収納された!? スゲー、あんなの実在するんだこの世界。ファンタジー!!。


 妙なテンションになったが深呼吸して落ち着く。ダナの前だ、恥ずかしいマネは出来ない。



 「随分丁寧で綺麗に処理するんだねぇ……。面倒だと言う気持ちも分かるよ」


 「他の傭兵はここまでしないのか?」


 「”しない”と言うより”出来ない”が正しい。ここまでの処理はアタシでも無理さ」


 「なるほど。だから解体所でジャロムさんが出て来たのか」


 「あの子が!? アルドはあの子に随分気に入られたんだねぇ」


 「あの子?」


 「巨人族は200年ぐらい生きるんだけど、あの子が子供の頃にアタシは村に来たんだよ」


 「へぇ~。村に居るのは長いの?」


 「かれこれ100年ほど居るね。あの子は子供の頃、アタシをお嫁さんにするって言ってたんだよ。懐かしいねぇ……」


 「お嫁さんか~。でも今は”俺の女”だからなぁ」


 「////。と、当然さ! 当たり前の事言うんじゃないよ!」



 照れたダナがキスをせがんできたので、浄化してキスを楽しむ。そんなほのぼのとした雰囲気をぶっ壊す奴が現れた。無粋なヤツってどこにでも居るな。



 「ダナ、何かデカイのが来る。この反応は初めてだ! ホントにデカイ!!」


 「グルァー!! ……ガアーーーーッ!!!」


 「コイツはソードグリズリー!? 何でこんなトコに出てくんだいっ!!!」



 ソードグリズリーは俺ではなくダナの方へ向かって駆け出す。俺を無視するらしい。中々いい度胸をしているな、後悔させてやろう。


 ダナはソードグリズリーに対して長巻で牽制するものの、ソードグリズリーは全く意に介さず腕を振る。喰らったらマズイなあれ。ブォンじゃなくてゴォウッと音がしてる。


 こちらを向いていない隙に、左後ろ足に身体強化込みの回転突きを放つ。槍の穂先は膝裏に簡単に突き刺さったものの貫通はしなかった。コイツどんだけ足が太いんだ!?。



 「グアォーーーーーッ!!!」



 それでも左後ろ足にダメージを負ったからか、動きが鈍り対処しやすくなった。ソードグリズリーが俺の方を振り返った途端、ダナが全力で長巻を振るい、左後ろ足を斬り裂く。



 「グギャーーーーッ!!?!!??」



 左後ろ足の膝から先を失ったソードグリズリーは、まともに動けなくなったが闘志は衰えていない。むしろこちらを射殺さんばかりに睨んでくる。ここまでくれば天晴だ!。


 だからこそ俺が終わらせよう。たぶんそれが強者であるコイツへの手向けとなる。


 ……いつから俺の人生バトル漫画になったんだ!? ちょっとテンションが変だったが、ちゃんと止めを刺す。


 せっかくなので【闘気術】の奥義の一つ、【怪力無双】を使って倒してみよう。【怪力無双】は簡単に言えば”究極の身体強化”の1つで、体に結構な負担がある。


 他にも幾つも【闘気術】には強化系があるが、今回は【怪力無双】だけを使う。それでも武器は確実に壊れるので鉈でやろうっと。



 「……ぬんっ!!!」



 ドバァンッ!!!!!!


 ソードグリズリーの頭が爆発するように、左右に飛び散った。片手でやってるのに何故!? 鉈の刃は根元から無く、どっかへ飛んでったらしい。


 余りの威力にダナが硬直してる。……実は俺もビックリしてたりするんだけど表には出さない。


 闘神の爺さん、アンタから聞いてた威力が当てにならないんだが!? どうなってる!? 本当にいい加減にして欲しい。愚痴ってても仕方がないので熊の処理をするか。



 「………凄い威力。いや、凄すぎる威力だったね……」


 「闘神の爺さんに聞いていた威力と違うんだよ。明らかに高いんだけど、理由が分からない」


 「??? ……そうなのかい? でも闘神様が嘘を吐く筈がないよ?」


 「まぁ……流石にそこは疑ってないけど」


 「!!! 神様の肉体だからじゃないかい!?」


 「あ……たぶんそうだ! あの爺さん、結構抜けてるんだよ」


 「いや……。抜けてるって………神様」



 その後、ダナと話し合って一旦村に戻る事になった。流石にソードグリズリーは対策をしなきゃいけない。


 俺達は村の事もあって急いで帰った。



 ▽▽▽▽▽


 0022終了時点


 金貨6枚

 大銀貨6枚

 銀貨13枚

 大銅貨5枚

 銅貨9枚


 鋼の短刀

 鋼の槍

 オーク革の鎧

 革と鉄の肘防具

 革と鉄の膝防具

 革と鉄のブーツ


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