0223
弟子入りの件は困った事になったと言えなくもないが、とりあえず村長の家に一緒に連れて行く事にした。村長に作った物を渡して、金貨1枚と大銀貨2枚を受け取る。
ジャン少年が金貨を見て唖然としていたので聞いてみると、金貨を見たのは初めてらしい。ディルいわく、普通の人が金貨を見る事は殆ど無いので、驚くのも無理はないそうだ。
村長の家からギルドへ行く道すがら、ジャン少年に色々と聞く。何をしたいのか、どうなりたいのか等、詳しく聞いてみないと分からない部分も多い。何より猫人族って何が得意なんだ?。
「それで、ジャンはどうしたいんだ? 強くなりたいと言われてもアバウト過ぎるんだよ。金が稼げればそれでいいのか、傭兵として高ランクになりたいのか、どうなんだ?」
「まずはお金が稼げるようになりたいんですが、出来れば高ランクの有名な傭兵になりたいと思ってます」
「もしかして、私が高ランクだと聞いて弟子入りを言ってきたのですか?」
「はい。ギルドの人達が高ランクの方が戦争から帰ってきたと言ってたので、その方に弟子入りしたら強くなれるんじゃないかと……」
「別に高ランクだからと言って強い訳ではないんですけどね。ランクというのは、どんな依頼をこなしてきたかという目安でしかありませんよ」
「ランクが高いのと強いのは同じじゃないんだよ。面倒事を嫌って、ランク6で止めてる強い奴だって世の中には居るのさ。だからランクで考えるのは止めな」
「は、はい! ですが、ランクではないなら、いったい何で強い方を把握すればいいんでしょうか?」
「強くなれば分かるよ。……それはいいとして、シュラはどうするんだい? この子の弟子入り……認めるのかい?」
「勘弁して下さい。そもそも私だってアルドに習ってる最中ですよ? その私が弟子をとるって、どう考えてもオカシイでしょう」
「なら、この子も主様の弟子にしてしまえば良いんじゃないかな。どうも主様には、何か考えがあるようだしね」
表情か何かで気付かれたかな? 実はこのジャン少年に浄化魔法を教え込んで、神殿との矢面に立たせようと思ってるんだよ。錬金魔法や練成魔法でもいいんだけどね。
どっちかにしないと、中途半端にしかならない。本人は傭兵をしたそうなので、傭兵稼業に役に立つ浄化魔法だろうなぁ……。ついでにハーレムパーティとか作ってくれないかね?。
そうすれば俺がジト目で見られる事も減るんじゃないかと思うんだが……無いか。それは横に置いといて、ジャン少年を弟子にして様々な事を教えるという約束をした。
これで契約完了だ、絶対に逃がさんぞ! 俺の代わりに世間から注目されてくれ。何なら<凄腕の斥候>になってくれても良いよ? まあ、1年や2年じゃ無理なんで頑張ってほしい。
「じゃあ、ジャン少年もチームメンバーだな。しかし、どうするか……同じ部屋に泊まる訳にはいかないしなぁ」
「宿の1人部屋は余ってるだろうし、トーカに言えば良いさ。弟子である以上はアルドが払うんだろ?」
「まあ、稼げるようになるまではな。そうなるのにどれくらいの時間が掛かるかは、本人次第だけどね」
そんな話をしながらギルドの扉を開けると、中に居る全員がこちらをガン見してきた。その視線を無視して、掲示板へと進んでいく。すると、見た事のない連中が声を掛けてきた。
「よう! お前さん等は新人か? 俺への挨拶はどうしたんだ? 言われなくとも、それぐらい出来るようになれよ」
「「「「「ハハハハハハッ!!」」」」」
何だコイツ等は? 俺達の事を知ってる連中は即逃げしたな。また俺が何かやらかすとでも思ったんだろうか? 当たってるんだけどさ。何かワンパターンって言われそうだ。
俺は魔力と闘気と念力を込めた殺気と殺意をコイツ等にぶつける。いつも通りの、顔面蒼白と失禁のコンボに見舞われてるバカどもを見本に、ジャンに色々と教えていく。
「ジャン、よく見ておけ。これが見本とも言えるバカだ。自分の実力も知らずに、遥か格上に喧嘩を売るんだよ。こういうバカの事は絶対に真似するな、恥を晒すだけだ」
「はい! ……でも、なんでこの人達は喧嘩を売ったりしたんでしょうか……。喧嘩を売る必要ってありませんよね?」
「それが分かったらバカじゃない。コイツ等は、それも分からないからバカなんだよ。だから堂々と恥を晒すんだ」
「成る程、僕よりも頭が悪いんだ。……本当に恥ずかしい人達なんですね、15になったばかりの僕より頭が悪いなんて」
ジャン君……キミ結構辛辣だね? 周りの傭兵どもが大爆笑してるじゃないか。ウチのメンバーも爆笑してるけどさ。まあ、守ってはやるけど、それを理解して毒舌吐いてるね?。
「こ……の野郎!! フザケンじゃねーぞ!!!」
威圧を解除した途端これだ。まぁ、当たり前のようにウチのメンバーにフルボッコにされてるけども。可哀想になるくらいボッコボコで、いい根性のジャンがドン引きしてる。
とはいえ、ここまでボコられないと理解しないバカなんぞ、俺達にとってはどうでもいい。俺は依頼でも確認しようっと。……いや、ミュウさん、依頼を確認してるんで勘弁してもらえます?。
アレはバカどもが悪いんで、ウチのメンバーが制裁してるんですよ。放っておけば、そのうち収まります。いや、本当ですって……アイツ等の命の保障は無いけど。
しっかし、相変わらず面白そうな依頼が無いなぁ。これなら普通に狩りに行った方がマシか。しょうがないな……おっ、皆も帰ってきたし、狩りにでも行くかね。
俺は全員を連れてギルドを出た後、村を出て森の拠点へと歩いて行く。ジャンには皆が魔力や闘気の使い方を教えてくれている。復習も兼ねているので皆にとっても良い事だ。
俺は木を伐って丸太を作り、石を圧縮する。ジャンが持っていた剣は青銅製の非常に質の悪い物だった。なんでも叩き売られていた安物で、お金があまり無かったので買ったらしい。
流石にこんな物に命を預けられないので俺が作る事にした。色々な武器を使わせるにしても、まずは剣からだと思いグラディウスを作る。癖の無い物の方が使い方を覚えやすいだろう。
木で鞘を作り、身に付けさせる。ジャンは剣を抜いて振り方をダナやディルから習っている。ジャンの持っていた青銅の剣を素材に戻し、ジャンの革鎧の表面に被覆する。
森の拠点に着いたので、屋台で昼食にしよう。大銅貨9枚を支払ってサンドイッチを購入したら、拠点の中央にある開けた場所で食べる。浄水の樽を出して、予備のコップをジャンに貸す。
碌に食事をとってなかったようで一心不乱に食べている。腹の方は大丈夫だろうか? 飢えていた訳ではないので大丈夫だとは思うんだが、ちょっと様子見だな。
食後、ゆっくりしながら様子を見るが問題は無さそうだ。全員で森の中に入り、魔物を警戒する。【探知】や【気配察知】、それに【空間把握】を使いながら魔物を探す。
「前方右にゴブリン3、左からコボルト4。ゴブリンはメルが抑えて、ジャンが1対1で戦え」
「「「「「了解」」」」」 「えっ!?」 「ニャー」 「グルゥ」
怖ろしい速さでコボルトが殲滅された。メルは槍で牽制しながら、ゴブリン1匹をジャンの方に弾く。ジャンは立ち上がったゴブリンと、1対1で死闘を繰り広げ始めた。……おいおい。
皆はジャンにアドバイスをしているが、肝心のジャンは聞こえていないらしい。へっぴり腰で剣を振り回しているだけだ。コボルトの浄化や処理が終わったので、メルと交代する。
ジャンに【心静】を使い無理矢理に冷静にさせると、漸く普通に戦い始めた。簡単にパニックを起こしていたが、よく生き残ってこれたな。まずは、そういう部分から直さないと。
グラディウス自体は重くもなく、正しく振れている様だ。ただ、初心者丸出しなのは仕方がない。
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0223終了時点
大白金貨1枚
白金貨2枚
大金貨18枚
金貨68枚
大銀貨94枚
銀貨63枚
大銅貨116枚
銅貨2枚
ヒヒイロカネの矛
ヒヒイロカネの小太刀
剣熊の爪のサバイバルナイフ
アダマンタイトの十手
二角の角の戦斧
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
剣熊の骨の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
強打猪の革のジャケット
強打猪の革のズボン
真っ黒なブーツ
大型のアイテムバッグ