0218
話も一段落したので、そろそろ帰るか。雨は多少マシになっている様だし、時間は昼前ぐらいだ。このままここに居続けると面倒な事に誘われかねない。王族と食事なんてお断りだ。
「さて、昼前だしそろそろ俺達は宿に帰るよ。作った農具類の金も後で纏めて貰う事にするから、そのまま持ってってくれ。皆、そろそろ帰ろうか」
「そうだね。2匹も飽きてきたのかダラーっとしてるし。アタシ達もやる事なくて暇でしょうがなかったんだよ。これなら、朝から寝てた方がマシだったかもね」
「一昨日まで戦争をしてましたし、昨日は後片付けに苦労しました。今日は土砂降りの雨だったので、ゆっくり休む予定だったんですよ」
「結局休めてないのだけれど、こういう事多いのよね。どこかのバカが無理矢理関わってきた所為で、休みの日が潰れるなんて事が何回もあったわ」
「全くだね。役に立たない分際で、しつこく関わって来るんだよ。その上で自分の思い通りにならないと、子供みたいに駄々をこねるんだ」
「それが貴族なのか? それは貴族以前に、まともな大人と言えない気がするのだが……。そのような事をしてまで、思い通りにならないと気がすまないのか」
「ちなみに、そこまで駄々をこねたのが、そこに居るライブルの妹さ。叔父に騙されていたとはいえ、アタシ達に仕事を請けさせる為にそこまでやったからねぇ」
「アヤツはいったい何をやっているのだ……。兄上は止めなかったのですかな? あの兄上ならば、そんな恥にしかならぬ事は止める筈ですが……まさか」
「あの子は当主に相談する事も無く、叔父の言葉を信じて勝手な事をした訳です。ただ、当主からは私達に謝罪がありましたから、それで水に流したんですよ」
「その件は重ね重ねご迷惑をお掛けしました。兄上も激怒されて子爵家は取り潰しとなりましたが、侯爵家の顔に泥を塗られた事に変わりありません。今ごろは綱紀粛正中でしょう」
俺達は話を終えると、その場を後にした。最後に嫌味を言ったからか、若干辺境伯が不機嫌だったけど。とはいえ、その場に居た全員が面倒なのでスルーしていた。
面白かったのは、辺境伯家のメイドまでもがスルーしていた事だ。余計な事をした結果なので、メイドも自業自得と思ったのかもしれない。身体強化を使って足早に宿に帰る。
宿に着いたら部屋に戻り、まずは邪生の心臓を半分にしてディルに食べさせる。その後7等分にしてそれぞれに分ける。全員に大した効果は出なかった様だ。残念がっている。
食堂に行き、大銅貨8枚を支払って昼食を頼む。食後は部屋に戻ってゆっくりする。皆はチビチビと酒を飲む事にしたらしい。俺は悩んだ結果、外に出る事にした。
「すまないが、少し外に出てくる。木を一本伐ったら直ぐに帰ってくるから」
「「「「「いってらっしゃい」」」」」 「ニャ……」 「ガウ……」
ちょっと寂しそうだったが、直ぐに戻るし気にしなくても良いだろう。3つの技で姿を隠して外に出る。森に行って木を一本伐ったら、丸太にして直ぐに部屋へと戻った。
「ただいまー。……直ぐに帰ってきただろう? そんなに心配しなくても良いって……。こらこら頭突きは止めなさい。それ擦りつけてるんじゃなくて、頭突きだから!」
心配したのか、甘えたい時に居ないから怒ったのか。どっちかは分からないが、【心静】を使って落ち着かせておいた。落ち着いた2匹は、いつも通りに体を擦り付けて甘え出した。
俺は2匹から甘えられながら、製作作業を行う。作るのはジ○ンガだ。何か暇が潰せる物とかないかなと思った結果、アレなら簡単に作れると思い作る事にしたんだ。難しくないし。
当たり前だが、あっさり完成した。折角だから簡単に綺麗に立てられるように、長方形の箱を作り1面と底を取り外す。ジ○ンガを収納する箱としても、立てる箱としても十分だろう。
床で製作していたので、皆の所へ行きテーブルの上に乗せる。皆にはルールを説明して遊ばせたら、完全にハマってしまった様だ。こういう玩具って今まで見なかったからなぁ。
多分、この世界では玩具を始め遊びが発展してないんだろう。生活に余裕が無いと遊びなんて発展しないからなぁ……。歴史を遡れば、日本だって長い間発展しなかったし、仕方がない。
「んー? ここ……かな。違うっぽいねぇ……じゃあここ。よーし、抜けた! さぁて上に乗せるんだけど、ここはあえて少し斜めに乗せようか」
「あーっ! そういう事をしますか? ならば私はここを抜いて、ダナの置いたのを横にズラすように……良しっ! 上手く真っ直ぐに出来ました」
そんなに興奮する遊びか? 楽しそうだから良いけどさ。後、ダリアとカエデは手を出すのは止めような、崩すと激怒されるぞ。俺と一緒に向こうで遊ぼうか?。
2匹と一緒に遊んでいると、ディルが【暗視】を含めた技の使い方を聞きに来たので教える。何故かそれを見ていた2匹も、少し使えるようになった。流石としか言い様が無いな。
ディルに技を教えていると夕方になっていたらしく、全員を連れて食堂に行き大銅貨8枚を支払って夕食を注文する。料理が来たので食事をしていると、何やら大きな声が聞こえてきた。
「ちょっと前に帝国の奴等が攻めてきてた様だが、王太子様が軍を率いて蹴散らして下さったそうじゃねーか!!」
「おう! そうらしいぞ。何でも王太子様の命を狙って奇襲してきたそうだが、王太子様にはバレバレだったそうでな、迎え撃って叩き潰したらしい!」
「オレも知ってるぞ! 帝国の侯爵が無謀にも突っ込んできて、王太子様に倒されたって話だ! 帝国のバカどもなんぞ王国の敵じゃねーんだよ、王太子様バンザイ!!」
「「王太子様バンザーイ!!」」
へぇ……アレが味方への宣伝工作か。当たり前の事だが、こんな時代にもちゃんと存在するんだな。あからさま過ぎてバレバレだとは思うが、戦勝だからあれぐらいで良いのか。
内容は随分まともだと思う。所々事実と違うが、あの程度ならマシな方だ。言ってる事が全部嘘という可能性もあるんだから、それに比べればケチを付ける必要も無い。
ついでに王太子の手柄にしておけば、王を継ぐ為の功績にも出来るしな。今回の戦争は最初から味方に足を引っ張られたから、随分苦労しただろう。アレぐらいは許容範囲内だ。
俺が要らないって言った、帝国の侯爵の首を王太子の武功にしただけだしな。俺としては騒がれずに金が手に入るなら、特に文句を言う事は無い。さて、そろそろ部屋に戻るか。
部屋に戻り全員を浄化して、2匹とマッタリする。ゆっくりしているとディルが再び技の事を聞いてきたので、コツを交えて教えていく。皆は酒を飲みながら先程の事を話していた。
「しっかし、随分あからさまだったねぇ……。王太子は問題ないんだから、やり過ぎだと思うのはアタシだけかい?」
「そんな事はありませんよ。周りの客だって若干冷めた目を向けていましたから。ああいうのは上手くやらないと、むしろ足を引っ張るのですけどね」
「明らかにやり過ぎよ。辺境伯が焦ったのかは知らないけれど、完全にやり過ぎているわね。戦争に勝ったのに、アピールに失敗してどうするのかしら?」
「現場の彼等が逸ったのか、それとも辺境伯が逸ったのかは知らないけど、恐らくは辺境伯だろう。周りが冷めてるのに止めようとしなかったからね」
「つまり、何としても盛り上げろと上から命じられている訳か……。大変だな、アレでは幾らやっても空回りだろう。むしろ、やらない方が良い」
「下っ端は命令された以上、やるしかないさ。どっかで監視されてるかもしれないしな。あれなら、盛り上げ方が下手だと言われて責任を問われるぐらいか?」
どのみち碌なもんじゃないな。放っておいた方が良い事も多いんだが、その加減が分からないんだろう。工作部隊にマニュアルとか無いのかよ……と思ったが、こんな時代じゃ無理か。
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0218終了時点
大白金貨1枚
白金貨2枚
大金貨18枚
金貨70枚
大銀貨92枚
銀貨66枚
大銅貨188枚
銅貨2枚
ヒヒイロカネの矛
ヒヒイロカネの小太刀
剣熊の爪のサバイバルナイフ
アダマンタイトの十手
二角の角の戦斧
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
剣熊の骨の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
強打猪の革のジャケット
強打猪の革のズボン
真っ黒なブーツ
大型のアイテムバッグ