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0217




 部屋へと通された途端、ダリアとカエデが飛びついて来た。何かあったのかのかと周囲を見回すも何も無く、ウチのメンバーが苦笑いしているくらいだ。いったい、どういう事なんだ?。



 「アルドが1人でさっさと行ったからさ。2匹とも寂しがって鳴いてたんだよ。まぁ、直ぐに帰ってくる事も分かってたみたいだから、大人しく待ってたけどね」


 「2匹とも女の子ですから、仕方がないとは思いますけどね。それにしても、寂しそうな鳴き声でしたよ」


 「そうだったのか。今までにも1人で何処かへ行って、2匹とは離れていた事はあった筈だがなぁ……。何か寂しく思う事でもあったかな?」



 疑問を持ちながらも、2匹の餌皿を出してビッグディアーの内臓を入れる。すると2匹は寂しさなど忘れたように貪り始めた。……別に良いんだけどさぁ……やはり食欲には勝てませんか。



 「凄い食欲ですね。2匹にとっては美味しい物なんでしょう。何かの生肉ですか? 見た事の無い物なので、よく分かりませんが」


 「王女殿下。あれは恐らく内臓類だと思われます。野生の動物や魔物は内臓類を好んで食べると聞いた事がありますので、間違い無いかと……」


 「これは帰り道で出てきた、邪生のビッグディアーの内臓だよ。浄化すれば普通に食べられるんでな、2匹には邪生を倒したらあげてるんだ」


 「邪生が出てきたのか……。戦争の所為なのか、普通の邪生だったのか、難しいところだな。近衛の魔法兵と君に浄化してもらったとはいえ、それまでに邪気に汚染されていれば……」


 「王太子殿下。そこは考えても仕方がありませんわ。邪生は戦争があろうが無かろうが生まれる以上は、そこを考えても解決は致しません」



 そんな会話をしている横で、丸太と石をアイテムバッグから取り出し鍬を作る。鍬の形に木を一体成型し、刃の部分全体を石で被覆する。後は【変形】で調整すれば完成だ。



 「それが石と木で作ったという農具か、随分硬そうだ。見ていたので分かるが、本当に石を被覆しただけなのだな。完成した物を見ただけなら、非常に分かり辛いだろう」


 「ほいよ。硬さというか堅牢さが無いと農具としては使えないからな。他にも鎌だったりスコップだったり、色々な物が農業には必要だ」


 「うむ。これは硬いな! 成る程、これで魔物と戦えると言う筈だ。そして使われているのは石と木なのだから、値段は然程高くはならないだろう」


 「王族が知っているかは分からないけれど、武器が壊れた傭兵は悲惨だからね。傭兵を辞めていく新人の多くは、武器が壊れて狩りが出来なくなったからさ」


 「傭兵が減れば、それだけ魔物を狩る者も減りますからね。傭兵が増えすぎても困りますが、魔物が増えすぎても困ります。微妙なバランスが求められるのですよ」



 そんな話の横で、銅と亜鉛と錫を【合成】して青銅を作る。十円硬貨と同じ配分にした。確か十円硬貨は、銅95、亜鉛3、錫2、の割合だった筈。いわゆる赤銅色の青銅だ。


 青銅って青という字を使っているが、実際には酸化した後の色がいわゆる青銅色なんだよ。つまり元々の色は違う訳だ。錫の量を増やしていくと色が変わっていく。


 少ないと銅に似た赤銅色で、そこから黄金色を経て最後は白銀色になる。ちなみに青銅は錫が多いほど硬くなるが、その分脆くなる。だから錫の量は多過ぎても良くない。


 昔の青銅製の武器は黄金色の武器だったと言われている。確か錫の量を調べると、黄金色になる配合だったとか何とか……。俺もあまり詳しい事は覚えていない。


 ただ、帝国の兵士が使っていた青銅製の武器は黄金色だったので、武器として使う分には黄金色ぐらいが1番良いんだろう。ついでに見栄えも良いしな。


 鍬の刃の部分を青銅で作ったら、柄を作って刃と組み合わせる。最後に柄を差し込んだ部分を【融合】したら完成だ。中々良い農具になったんじゃなかろうか? 使えるとは思う。



 「それが、青銅製の農具ですか! 赤い色なんですね。金色っぽい色なのが青銅だと思ってました。錆びると青緑色になるから青銅なんだと思ってたら、赤い色もあるなんて……」


 「はいよ。……青銅の代表的な色は、赤銅色、黄金色、白銀色、この3つだ。錫の量で靭性が失われていき、簡単に壊れるようになる。少ないと柔らかいが壊れ難くなるんだよ」


 「これも優秀ではあるのだが……錆びるという事を考えると、先程の石と木の方が優秀という事になってしまうな。何とも言い難いが、事実は事実か……」



 折角なので横に置いてあるニッケルを使って白銅を作って、それで鎌でも作ろう。白銅の配合は銅75にニッケル25だ。これが百円硬貨の配合比だった筈。……多分、大丈夫だと思う。


 銅75とニッケル25を【合成】する。白銀色だから、これで合ってる筈なんだが……。まぁ、いいや。間違ってたら、間違ってた時だ。素直に諦めよう。


 白銅を鎌の刃の形に【変形】したら、木で柄を作り溝に刃を嵌め込む。後は接地面を【融合】して完成となる。……良し、出来た。白銀色の鎌の刃ってどうなんだろうな?。



 「はいよ。……これが白銅という銅の一種だ。特に海水に対する耐蝕性が高いと教えられたが、錆び難いとも聞いた記憶があるんで、こっちの方がマシかもな」


 「ほう、これは美しい色の刃だな。しかも錆び難いのか……とはいえ、この金属を普通の鍛冶師が作り出せるのか? 私は白銅という金属は聞いた事が無いが……」


 「さてな……。俺は【錬金魔法】や【練成魔法】で作るんで、炉を使ってどうすれば良いかは知らない。とはいえ、そこは鍛冶師が試行錯誤するべきじゃないか?」


 「わぁ! 確かに王太子殿下が仰るように、とても綺麗な刃ですね。とはいえ、作るのが難しいと高値になりますし……いっその事、王国の錬金士や練成士に農具を作らせては?」


 「それが1番良いのかもしれませぬな。農民は金も然して持ちませぬ故に、高い農具など買えますまい。農具を作らせれば、錬金士や練成士の副業にも腕を磨く事にもなりましょう」


 「うむ。彼を見ていると、我が国も錬金士や練成士を奨励した方が良いのかもしれんな。石や木なら容易に手に入る。それで練習すれば必ず才能ある者が出てくるであろう」



 何か方向性が決まったっぽいな。折角なんで石と木で、スコップとツルハシを作ったが素材が余ったので、ファルシオンとバルディッシュも作っておいた。これで作成の仕事は終わり。


 早速、第三王女が興味を示したな。ファルシオンを振って確かめてるが、王太子が苦笑いしてるぞ。何と言うか、お転婆姫というのが1番しっくりくる行動をしてるなぁ。



 「ふむ。この剣は耐久力と切れ味を両立させているのですな。だからこそ、刃が分厚く片刃なのでしょう。それに、突きが出来るように先が両刃でもある」


 「この剣は短めですから、振り易くて使い勝手は良さそうです。確か、剣鉈という形式でしたか? これは実戦でも使えそうですし、藪を払ったりも出来そうですね」


 「戦争で使うならエストックとかグレートソードの方が良いんだろうけど、傭兵が使うには使い勝手が良い方が好まれるんだよ。相手が決まってる訳じゃ無いんでな」


 「戦争となれば人間種が相手だが、魔物となると色んな姿の者が居るからだろう。幅広く対応出来ないと殺されてしまうので、万能型の武器が好まれるという事か」


 「そうだ。ただし、チームメンバーと役割分担をするなら、そこにあるバルディッシュを持っても構わないんだがな。上手く使えるなら強力な武器だが、一人では難しい」


 「先端の刃に重量が偏ってますからな。代わりに一撃の威力は凄いものでしょう。どちらかと言うと、我等のような兵が持つべき武器でしょうな」


 「そういえば、今回の戦争で帝国の重装兵は出てきたのか? それらしき装備は見なかったが……」


 「出てきておりません。恐らくは内部の粛清だったからではないかと思います。帝国にとっても、鉄のプレートアーマーを持たせた部隊に何かあっては困るでしょうからな」


 「帝国の重装兵は全部で500人程居ると言われている、精鋭中の精鋭の部隊だ。常に厳しい訓練をしていて、近衛兵の一部だと聞いている」



 そりゃ、出て来ないだろうな。精鋭が無駄死にしても困るし、アホの粛清で出すような部隊じゃない。



 ▽▽▽▽▽


 0217終了時点


 大白金貨1枚

 白金貨2枚

 大金貨18枚

 金貨70枚

 大銀貨92枚

 銀貨66枚

 大銅貨204枚

 銅貨2枚


 ヒヒイロカネの矛

 ヒヒイロカネの小太刀

 剣熊の爪のサバイバルナイフ

 アダマンタイトの十手

 二角の角の戦斧

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 剣熊の骨の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 強打猪の革のジャケット

 強打猪の革のズボン

 真っ黒なブーツ

 大型のアイテムバッグ


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