表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
215/1948

0214




 「これは変わってるね。ワインが欲しいって言うから、どうしたんだろうって思ったけどさ、このソースが美味しいよ」


 「硬パンを柔らかくした後、丸く【変形】して肉と野菜とを挟むとは思いませんでした」


 「大きくお口を開けないと食べ辛いけど、味はとても美味しいわね。適度な野菜が良いアクセントになってる」


 「うん。これはサンドイッチとは違うね、これも好みの味だよ」


 「だが、手軽に食べられるという部分では、サンドイッチと同じだな」



 まぁ、どっちもファストフードだからな。サンドイッチとハンバーガーは嫌いな人って居るのかね? 食べない人は居ても、嫌いだという人は見た事も聞いた事も無い。


 アレルギーで食べられない人は居るだろうが、それは好き嫌いとは違う。全く居ないという事は無いだろうが、殆ど居ないだろう。好き嫌いは店の味の方だな。


 もう食べられないんだし、下らない事を考えるのは止めよう。それよりも、昼食後から精錬をするんだが、頑張って早く終わらせないと領都の宿で休めない。


 食事後、皆には好きに過ごしてもらって、俺は精錬作業に没頭する。素早く素材に戻す作業をひたすら続けて、夕方前には作業が全て終わった。……長かったが、やっと終わった。


 皆のアイテムバッグにも入れてもらい、何とか全部入れる事が出来た。間違いなく邪魔な物なので早めに王太子の所に持って行こう。権利が誰にあるのかは分からないが。


 全力の身体強化を行い領都ファルートまで一気に進んで行く。10分もしない内に到着し、門番に登録証を見せて中に入る。そのまま領主館まで進み門番に取り次ぎを頼む。


 あの態度の悪い門番は居ないみたいだ。中庭に案内されると、そこには王族兄妹と辺境伯が居た。前にお茶をしていたときと同じ構図だな。



 「戦争への貢献おめでとうと言うべきかしら、それとも帝国の侯爵を討ち取った事におめでとうと言うべきかしら」


 「侯爵? 知らないな。それよりも主戦場にあった死体の片付けは終わった。それと死体が身に付けていた武具は、面倒だったんで素材に戻して持って来た」


 「成る程。素材と言っても大半が青銅だろうしな。君達に渡しても良いんだが、古くから倒した者の戦利品だと決まっている。どうしたものか……」


 「たとえ青銅といえど、無いよりは有った方がありがたいのは事実です。我が領で買い取り、多少の金銭を分配すれば宜しいかと愚考致します」


 「そうだな、そうして貰えると助かる。済まないが、辺境伯に渡してくれるか?」



 そう言われたので、俺達はアイテムバッグの中にある鉄と銅と錫を一気にその場に出す。結構な量がある為か、それとも綺麗なインゴットとして出てきたからか、凄く驚いているな。



 「こんなに綺麗に成型してある金属って初めて見るわね。何故こんな形にしているのかしら?」


 「同じ形に小分けにすると、積み上げやすくて使いやすいからだが? ガルドルさんの所では普通にインゴットにしたし、驚かれなかったけどな……」


 「ガルドルの所でもやったのかい? 前にアルドが鉄を精錬したって言ってたけど、そのインゴットという物にしたんだね」


 「ガルドルとは、あの名工ガルドルの事か? そうか、名工ガルドルはルーデル村に居るのか……」


 「ガルドルさんって、そういや名工とか言われてたんだっけ? 作って貰った事とか無いから、あんまりイメージと合わないんだよなぁ……」


 「名工ガルドルと言えば、我が国で最も高い技術を持つ鍛冶師の事なんですが……。アルドさんは自分で作れるので興味なさそうですね?」


 「興味ないって言うか、丸太を売ったのと、鉄を精錬したのと、刀の作り方を教えたくらいしか記憶に無いな」


 「刀と言うのは、確かこの剣の事だったな。これの作り方を教えたのか。……と言うよりもだ、この剣は名工が学ぶ程の物だったのか。確かに凄い切れ味だったが……」


 「おっ! 戦場で武器を振るう機会があったのか。流石に大将が参加するのはどうかと思うが、機会があったなら有効に活用しないとな」


 「私も戦いましたが、盾になるべき私よりも前に出られたので、肝が冷えましたな。王太子殿下に何かあると、私一人の首では済まぬのですが……」



 そんな話をした後、金属の代金である大金貨2枚を貰いその場を後にした。食料より安値なのは銅と錫が余っているのと、戦時だったので食料を高値で引き取ってくれたからの様だ。


 食料を高値で引き取ったとはいえ、領内が混乱せず余ったら他の領に売れば良いので損は無いらしい。ただ、銅や錫が大量にあっても、そこまで領民の役に立つ訳ではない。


 なので安値になったと説明された。まぁ、納得出来る話だし、俺としては処分できればそれでいい。青銅もそれなりに使い道はあると思うんだけど、あまり使われてないのかな?。


 領都の宿に行くと8人部屋しかなく、一泊大銅貨8枚だったので支払って部屋を確保する。傭兵の多くは既に領都を発っており、それぞれの拠点に帰ったそうだ。


 ダナやシュラも横で言っているが、”戦争が終わったら日常”、これが基本らしい。戦争の余韻というものは、兵士や傭兵が拠点の町に着いて戦争の話を広めてからになる。


 そういえば、イメージするのもそんなものだな。戦争後、酒場なんかで戦争の話をしながら盛り上がって騒いでいるイメージがある。終わって直ぐだと、余韻も何も無いんだなぁ……。


 部屋を浄化した後、皆とイチャイチャしながら寛いでいると、夕食の時間になったので食堂に行く。大銅貨8枚を支払い夕食を注文して、テーブル席に座り飲み物を注文する。


 俺やディルと2匹はいつも通り浄水を飲んでいるが、他のメンバーは早速酒を飲んでいる。戦争も乗り切ったし、今日は羽目を外しても何も言う気は無い。浄化すればいいだけだしな。


 酒は間違い無く毒だが、毒と言える為に【浄化】の権能の範疇でもある。浄化すれば酒の毒性を消して無かった事に出来るが、気を付けてほしい気持ちに変わりは無い。


 料理は可も無く不可も無くと言ったところなので、むしろ安心した。美味いという料理ではないが、外れが無いか少ない感じの無難な味だ。マズくないだけで十分過ぎるだろう。


 皆も特に不満がある訳じゃなさそうだが、それは単に酒を飲んでいるからかもしれない。食事後、1階の奥にある8人部屋に戻り、ゆっくりと体を落ち着ける。


 戦争をしている間はカマクラでの寝泊りだったので、ゆっくりと休めたとは言えなかった。俺でさえも休めた訳ではないのだから、皆はもっと大変だっただろう。


 酒を飲んでも何も言わないのはその為だ。実際かなりのストレスに晒されていた筈なので、じっくりと回復してほしい。特に心の方の疲れは回復してもらわないと、後々に響く。



 「いやー、やっと終わったね。まさか、あんな事になるとは思わなかったけど、皆が無事で何よりさ!」


 「あんな事ですか? ……ああ、奇襲の事ですか。あれは、何と言って良いか分からなくなりますよ。事前に察知されて体勢を整えられた挙句、大将が討ち死にですからね」


 「しかも、討ち取った本人は武功を要らないって言っちゃうんだもの。ある意味1番浮かばれない人物ね。貴族だからどうでもいいと言えば、それまでだけれど」


 「確かにね。アルドに討ち取られたとなれば格好は付くんだけど、アルドが名乗り出ないからねー。御蔭で何処の馬の骨とも分からない奴に討たれた事になる」


 「成る程な。私達も王太子や側近も知っているが、公式には良く分からない奴に討たれた事になるのか。面目を重んじる貴族からすれば、最悪の結果とも言えるな」


 「クソ貴族どもにはいい気味さ! 訳の分からない奴に戦場で討たれる。それも奇襲を企てて、察知された挙句に撃退されるという体たらくだからねぇ!」


 「最高にいい気味ですね! 名乗り出ないだけで、ここまでクズどもをコケに出来るとは……。素晴らしい遣り方ですよ、流石はアルド!」



 そんなつもりじゃなくて、面倒臭いのを回避したいだけなんだよ。……もしかして、この件でまた帝国に恨まれるのか?。



 ▽▽▽▽▽


 0214終了時点


 大白金貨1枚

 白金貨2枚

 大金貨18枚

 金貨70枚

 大銀貨92枚

 銀貨66枚

 大銅貨220枚

 銅貨2枚


 ヒヒイロカネの矛

 ヒヒイロカネの小太刀

 剣熊の爪のサバイバルナイフ

 アダマンタイトの十手

 二角の角の戦斧

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 剣熊の骨の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 強打猪の革のジャケット

 強打猪の革のズボン

 真っ黒なブーツ

 大型のアイテムバッグ


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ