0211
まだ奇襲部隊の殲滅が終わっていない為、ゲーセンで遊ぶかの如く【風弾】と【土弾】を撃っています。数が減ってきたので狙い撃ちに切り替えたものの、その分混乱が収まってきた。
実際には100人前後しか残っていないので、逆転の芽は既に無く完全に詰んでいる。さっさと降伏すればいいのに、真ん中に居る奴が「戦え! 攻めろ!」と喚き散らしている。
面倒なんで殺すか……。【土弾】を10発同時に面倒な奴の顔面に直撃させて息の根を止めてやった。多分首が折れたんじゃないかと思う。何故か静まり返っているのが気になるが。
初級の魔法でも十分に人を殺す事は可能なんだがな……。それとも10発同時に使ったからか? ……俺がやったという事は、知り合い以外にはバレないから特に問題は無いだろう。
その後も10発同時の【土弾】で狙い撃ちにして殺していき、10人を切った段階で皆の下に戻った。後は簡単に終わるし、俺の出る幕じゃない。程なくして殲滅が完了した。
「皆の者、良く防いでくれた! 御蔭で誰一人欠ける事なく乗り越える事が出来た、感謝する!」
「「「「「ハッ!!」」」」」
「なんとか、上手くいったか……。後ろから魔法を撃つだけの簡単なお仕事とはいえ、妙な暴走の仕方をすればどうなるか分からなかったから良かった」
「アタシと初めて会った時も5個同時展開とかしてたけど、10個同時展開も出来たんだっけ……。何か前に見た事ある気がするんだけど……気の所為かね?」
「ほら、アレです。聖王国から来たチームがいたでしょう? そのチームとアルドが戦った時に、10個同時展開をやってましたよ」
「あー……。そういえば、そうだったね。【火弾】を10個撃った後、直ぐに【落穴】を5個同時に展開して落としたんだっけ……何か懐かしいねぇ」
「そんな事をしてたのね。私も魔女族だから魔法に自信はあったんだけど、アレはどう考えても無理よ。無理をして、7個同時展開と言うところかしら……」
「無理をしても、7個同時に展開出来るだけで凄い事だよ。私は出来ても5個同時展開だろうね。それ以上は、どうやっても無理だ」
「7個同時に出来ると言っても、アルドのように狙いをつけるのは無理よ。どこに飛ぶか分からないという危険な使い方になるわ。あの数を完全に制御するのは、滅茶苦茶な事なの」
「私のように多少の魔法しか使えない者からすれば、どっちも凄いという事しか分からないが……」
「普通の人と近衛の魔法兵には、非常に大きな差があるのよ。それ以上の差が、私とアルドにはある。そう考えれば、如何にアルドが凄いのか分かるでしょう?」
何故か近衛の魔法兵達が激しく頷いているんだが……。そんなに同意する事なのか。これってどう考えてもマズいよな。本当は、20個ぐらいまでは完全に制御できますよ。
そんな事を今さら言い出せない雰囲気だ。そこまで難しい事じゃないんだよなぁ……。魔神みたいに、全ての攻撃魔法をランダムでガトリングのように撃つ事に比べたら簡単なんだ。
何回アレをやられたか覚えてない。それぐらい撃たれたんだよなー……。あのガトリングは魔神の権能がなければ出来ないから、俺には無理だ。やりたいとも思わないけどね。
あんな事が出来るってバレたら、絶対に兵器扱いされるに決まってる。恐怖で暗殺されかねないから、ああいう過ぎたる力は要らないよ。つくづく【浄化】で良かったと思う。
「そんな事より、前線の戦いはどうなったんだろうな? ここが防げたのに前線は負けましたじゃ、洒落にならないぞ」
「うむ、確かにその通りだ。ライブル、前線の情報は入っているか?」
「ハッ! 前線は未だ膠着状態であるという情報が、奇襲される前に入っておりました。お伝えする前に奇襲部隊との戦いになってしまい……。申し訳御座いません」
「いや、構わぬ。あの状況では仕方あるまい。何より奇襲の事が知らされねば、今頃は討ち取られていたかもしれん。敵を侮る訳にはいかないな」
「御意。まさか大将を奇襲で討ち取りに来るとは思いませんでした。アルド殿が知らせてくれねばマズい事になっていたでしょう……」
そういえば、形は違うが桶狭間みたいなものと考えたら分かりやすいのか。王国の今川義元は討ち取られなかったが、帝国の織田信長も討ち取ってないから痛み分けかな?。
「王太子殿下! この真ん中に居た者の死体は、帝国の侯爵です! 2年ほど前に、父と共に帝国との親善訪問で見た事があります!」
そんな事を、昨日領主館で乳繰り合ってた女性の近衛騎士が言っている。帝国側の大将って侯爵じゃなかったか? ……つまり、帝国側の信長さんは討ち取られたらしい……俺に。
何でだよ! 目立つ気なんて無いんだよ、俺は! ここはアレだ、知らぬ存ぜぬで逃げよう。普通なら報酬とか出るんだろうけど、丸ごと要らないな。金は自分で稼ごう。
「帝国の斥候を束ねていた奴が、帝国側の大将は侯爵だと言ってたぞ。あの斥候のリーダーはどこにいったんだ?」
「あの者なら、後ろの傭兵達に預けておりますぞ。後で尋問せねばと思っていましたからな。それにしても、帝国側の大将が奇襲部隊を率いているとは……」
「大事なところを担う部隊だから自分で率いたのか、王太子を討ち取るという武功に目が眩んだのか……。誰の魔法で死んだのかは分からないが、不運な奴だな」
……言いたい事は分かるんだけど、ジト目は止めてくれるかな? 悪いけど、俺は名乗り出る気はないよ。間違いなく面倒で余計な事に巻き込まれるからな。俺はお断りする。
「まぁ、君が分からないと言うのなら、分からないんだろう……。それよりも、敵軍の大将を討ち取った事を喧伝した方が良いな。返還交渉もせねばなるまい」
「畏まりました。おいっ! 前線で指揮を執っている軍団長殿に大将を討ち取った事を伝えてこい。それを利用して敵を退かせるか、敵の士気を挫けとも伝えるのだ」
「ハッ!」
「アルド、良かったのかい? 気持ちは分かるけど、武功なんて普通の兵士や傭兵じゃ滅多に手に入らないんだよ?」
「その代わりに面倒事が押し寄せてくるけどな。一度でも受け取ったら終わりだから、俺は絶対に受け取らない。面倒事を回避する為なら、武功ぐらい喜んで捨てるさ」
「本当に、気持ちは痛いほど良く分かります。有象無象のゴミ虫が集ってくるのは目に見えていますからね。ダナも分かっているでしょうに、何故そんな事を言うんです?」
「ダナは愛しい人に箔を付けたかっただけよ。面倒事なのは分かるけれども、ダナの気持ちも分かるでしょう?」
「ああ、そういう事でしたか。それなら分かります。ですが、その愛しい人が有象無象の所為で困るのも嫌でしょう、ダナ?」
「勿論分かってるさ。ただねぇ、アタシの男はこんなに凄いんだって知らしめたいじゃないか。女としたら当然だろう?」
「まぁ、言いたい事は良く分かるよ。ディアーナの言い分も分かるし、シュライアの言い分も良く分かる。とはいえ、主様が決めた以上は従わないとね?」
「私は日の当たる所に居なかったから欲しいとも思わないが、武功というものはそんなに箔が付くものなのか?」
「そうですね……。普通の兵士や傭兵の方々なら、男爵位が与えられる事もあります。特に敵軍の大将を討ち取っていますので、子爵位もあり得るかもしれませんよ?」
「貴族位か……。私は要らないと思うのだが、どうなのだろう? 世の中には欲しい者も居るのだろうが、アルドは欲しがっていないと思う」
「まぁ、欲しがらないだろうね。唯でさえアルドは面倒臭い事は嫌いなのに、貴族位なんて然したる価値も無いだろうさ」
「ですね。そもそもダナが言っていたのも、名誉部分だけですから。恐らくは勲章の事でしょう。他のものが付随してくるなら、箔が付いても要らないでしょうね」
君達好き勝手に言ってるけど、俺は最初から要らないって言ってるだろうに。君等が何を言っても受け取らないよ。
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0211終了時点
大白金貨1枚
白金貨2枚
大金貨17枚
金貨70枚
大銀貨92枚
銀貨66枚
大銅貨236枚
銅貨2枚
ヒヒイロカネの矛
ヒヒイロカネの小太刀
剣熊の爪のサバイバルナイフ
アダマンタイトの十手
二角の角の戦斧
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
剣熊の骨の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
強打猪の革のジャケット
強打猪の革のズボン
真っ黒なブーツ
大型のアイテムバッグ