0209
「兵士の食事はともかく、とても美味しいスープですね。このお肉が美味しい味を出していますが、これは何のお肉なんですか?」
「それはビッグディアーの肉だよ。本来なら食べられるだけマシって言われるリス肉よりも、少しだけマシな肉さ。それをアルドが美味しくしてくれたんだよ」
「凄いんですね。本当に美味しいです。先程仰っていましたが、暖かい食事じゃないと力が出ないと言うのが良く分かります」
「暖かい食事というのは凄く大事だ。寒くて手が震える所為で、暗殺に失敗した事が昔あった。あの時はパニックを起こしかけてしまい、仕事を失敗するところだったな」
「それは大丈夫だったの? 口ぶりからすると、後で成功したみたいだけど……」
「いや、成功した訳ではない。暗殺に失敗して逃げられた後、標的は村の外の森に逃げ込んだのだ。そして、森の魔物に殺された。結果的には殺したと言えるのかもしれないな」
「依頼を達成してるんだから、それで良いと思う。偶然だろうが、偶々だろうが、上手くいったのなら良いんだよ。勝ちは勝ちで負けは負けだ」
「まぁ、勝ち方や負け方を気にしても始まらないって事さ」
「ご馳走様でした。今回の戦争の事も勝ち方を考えずに、まずは勝つ事が重要なんですね?」
「そうだな。負けた側の意見なんて封殺されて、勝った側の意見が通る。国家間であろうが、個人間であろうが変わらない事だ」
「では、明日の警戒を宜しくお願いしますね。……勝つ為に」
「あいよ」
意外に強かと言うか、アダマンタイトの小烏丸を見せた時も上手く事を運ばれたしなぁ。交渉なんかは上手いのかもしれない。王族として役に立つ才能があって何よりだ。
……アホの近衛か? アイツ等なら話しの間中、ずっと震え続けていた。途中、威圧を強めたりしてたんだが、その度に失禁を繰り返すもんだから、周りの傭兵達は爆笑してたよ。
傭兵達の笑い声を聞いてると、何だか村に居る時みたいだった。村でも似たような事はあったからな。伯爵家の次男とか、殺された奴の弟とか、色々やらかしたバカが居たし。
バカはそそくさと王女と共に帰って行った。長時間に渡って威圧を受けていたからか、こちらに対する敵愾心ごと圧し折ってしまったみたいだ。睨む事も無く目も合わせなかったからな。
今日の夜番は、またダナから順番にやるそうだ。俺が最後なのは変わらないので、早めに寝るか。そう思ってカマクラに入ると、2匹も一緒に入ってきた。仕方ない少し遊んでやるか。
2匹を撫でたりしながら【心静】を使うと、直ぐに眠くなってきたらしくウトウトしている。2匹の電池が切れる前に寝転がると、2匹は俺の傍に来て……寝た。
俺も寝ようと思ったら全員からキスの要望が来たので、キスをして回った後にようやく寝る事が出来た。今日も1日お疲れ様でした。
<異世界102日目>
おはようございます。今日は軍を守り、奇襲を防ぐお仕事です。直接戦闘に参加しないなら何でも良いんだけどね。戦闘に参加するのは何か違うというか、それじゃないって思う。
前にも考えたが、俺がやるべき事は【浄化】であって、俺Tueeeじゃないんだよ。そんな事やったら今以上に面倒臭い事になるし、何よりそんな事の為に修行した訳じゃないしな。
なので裏方はやっても、表に出る気はありません。……まぁ、散々王太子なんかと関わっておいて今更だとは思うけども、それでも俺の仕事は【浄化】だ。ここは譲れない。
そんな事をウダウダと考えているが、暇過ぎて何とも言えない。これから朝まで何時間とある訳だが、どうやって暇を潰そうか? 修行が1番いいんだが、いったい何の修行をしようかな……。
また体の内側を浄化していくか。【空間把握】で調べながら、周りの人達を浄化する。一人ずつ丁寧に浄化していくと、途中起きてる奴等を発見した。またかよ……って多いな!。
女性同士で乳繰り合ってるんだが、今回は5人だ。コイツ等は明日戦場に行くって分かってるのか? それとも戦場に行く不安からか? 揃いの鎧って……ちょっと待て、コイツ等は!。
威圧した近衛の女騎士どもじゃないか!? ナニやってんだコイツ等は! 盛ってないで休めよ! お前等は王族の護衛だろうが。領主館の中で何をやってるんだか……。
俺の感知範囲ギリギリに領主館が入っているんだが、それで分かった事だ。あのアホどもは領主館の中で盛ってやがるんだよ。……あっ!? メイドに注意を受けたぞ、ざまぁ!。
アホみたいな事をしてるからだ。折角だから、王族兄妹とライブルも浄化しておくか。少しずつだが着実に、【空間把握】の範囲は広がってるな。
今は目を閉じて範囲を広げる事に集中しているから広範囲を知覚出来ているが、正確に空間を認識したり音を拾うと急激に範囲は狭くなる。使い熟すのも中々大変な技なんだよ。
浄化が終わった後は、適当に修行するか。……何時間やっていたか分からないが、気付いたら朝日が出ている。目を閉じて集中していたから、2匹が背中にぶつかって来て初めて気付いた。
「おはよう。ダリア、カエデ」
「ニャ」 「ガゥ」
2匹は俺の服に顔を押し付ける遊びを始めた。いったい何が琴線に触れたのか、本当に2匹は飽きずにこれをやるんだよな。楽しそうなのはいいんだが、浄化する方の事も考えてほしい。
一頻り遊んだ後は、体をピッタリくっ付ける遊びに移行した。あぐらを掻いている俺の足に、体をくっ付けて楽しそうにしている。皆が起きてくるまでは好きにするといい。
「「「「「チュッ! おはよう、皆」」」」」
「おはよう、皆」 「ニャーン」 「グルゥ」
「今日は軍の護衛か。警戒って言っても、どこまで警戒するかは迷うね。アタシ達じゃ範囲は広くないし、全体は無理だよ」
「ある程度バラけて、連携をとりながらやるしかありませんね。皆で皆をカバーしましょう」
「それしか無いわね。アルドが居てくれれば楽なんだけど……」
「俺はもう片方の側面だから無理だ。それに、俺の方も多数で攻めて来られると、間に合わない可能性が高い。1人だと出来る事にも限りがあるしな」
「そうだね。どっちも苦しいと言わざるを得ない。警戒するのは私達だけじゃないんだろうけど、それでも完全に防ぐ事は無理だろう。だから、軍が混乱しなければ良い」
「その為にも索敵範囲を広げたいな。私とアルメアがギリギリの範囲でカバーしあうのが、1番いいだろう」
「そちらは皆に任せるから、好きなようにやってくれ。ただし、死なないように気を付けてくれよ。なにかあったら逃げるようにな」
俺は朝食と昼食のサンドイッチを作りながら、皆を見回し生きて帰ってくるように言う。締まらない気もするが、俺達はこれぐらいでいい。残った骨と野菜で簡易なスープを作った。
昨日忘れていた内臓類は大丈夫なのか分からなかったが、浄化してあったからか痛んでいる様子は無い。試しに2匹に出すとあっさり食べ始めたので、問題は無いんだろう。
綺麗に浄化してあるし、昨日狩った獲物の内臓だし、アイテムバッグの中だった。なので、そこまで問題があるとも思っていない。食事後は焼き場や焼き網にカマクラを壊しておく。
更地に戻したら、軍が出発するまでは皆と一緒に過ごす。何だかんだと言って、皆も気合が入っているらしい。折角なら、完全に奇襲を防ぎたいってところかな?。
「アタシ達は出来る事をキッチリ熟していくよ。初めての奴や若い奴等みたいに浮ついてたら、話にならないからねぇ」
「私もそうですが、姉上やダナは戦争に参加した事がありますからね。幾ら何でも浮ついたりはしませんよ」
「それに、私達がカバーすればいいだけだからね。メルとディルは、やるべき事をしっかりやってくれるだけでいいんだ。それが1番ありがたいんだよ」
「分かりました。私も迷惑を掛けないように、出来る事を精一杯頑張るわ」
「私もだ。こういう所では出来ない事を無理にやろうとしても、絶対に上手くいかないだろうしな」
「そろそろ俺は行くよ。軍が森の道に入って行ったみたいだから」
俺は軍の南側の森に、身体強化をしながら入って行った。
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0209終了時点
大白金貨1枚
白金貨2枚
大金貨17枚
金貨70枚
大銀貨92枚
銀貨66枚
大銅貨236枚
銅貨2枚
ヒヒイロカネの矛
ヒヒイロカネの小太刀
剣熊の爪のサバイバルナイフ
アダマンタイトの十手
二角の角の戦斧
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
剣熊の骨の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
強打猪の革のジャケット
強打猪の革のズボン
真っ黒なブーツ
大型のアイテムバッグ