0199
侯爵家の領都グリュウの近くから隠密の3つの技を使い、全力の身体強化も行いながらディムアストを目指す。クレの街、ハウの村を越えて伯爵家の領都ディムアストに到着した。
入り口の門番も無視して中に入る。建物の隙間で解除したら、何食わぬ顔で食料店へと歩いて行く。食料店で硬パンや小麦粉、香辛料や野菜などを金貨1枚分購入して店を出た。
ちょっと買占め過ぎた気がしないでもないが諦めてもらおう。そもそも店が売ってくれた訳だし、文句があるなら店に言ってほしい。俺は食料店を出て領都の入り口へと向かう。
入り口の門番に登録証を見せてディムアストを出たら、少し歩いた後に姿を隠してグリュウへと帰る。再びハウの村、クレの町を越えてグリュウの近くまで戻ってきた。
途中、スマッシュボーアを狩った森で、小角鹿2頭とスマッシュボーア1頭を狩っておいたので、夕食の肉には困らない。皆の下に戻れた時には、もう夕方だった。焼き場の近くでダラダラしていたらしい。
皆に帰ってきた事を知らせてから、今日のカマクラを作っておく。昨日と同じ直径6メートルで高さ2メートル50センチの物だ。1人は夜番をするんだし、この大きさで十分過ぎる。
まずは小角鹿とスマッシュボーアを解体して内臓は2匹に渡す。焼き場に鍋を出し浄水を入れた後、スマッシュボーアの骨を入れて旨味と出汁を【抽出】する。終わったら骨を取り出して穴に捨てていく。
野菜と鹿肉を鍋に入れて煮込む。その間に浄水と塩と小麦粉でうどんの麺を作り寝かせておく。焼き場で鹿肉を焼いたら、鍋に麺を投入する。煮込み終わったら椀に入れていく。
その上に焼いた鹿肉を乗せたら完成だ。早速食べるんだが、2匹には野菜と焼いたスマッシュボーアの肉を少し与えておく。2匹は内臓をたっぷり食べたから、仲間外れにならない程度にあげた。
「うん、それなりに美味い物が出来た。唐辛子も買えたから、久しぶりにうどんを食べている感じがするな。そういうのも含めて、上手くいったと言っていいか」
「結構前に食べさせてくれた奴だけど、相変わらず美味しいね。アタシは麺っていうこれ、結構好きだよ。それに、この濃厚なスープが良いんだよねぇ」
「ええ、本当に。この濃厚なスープ、久しぶりですけど美味しいですね。この小麦粉で作った麺というのが、スープを吸っていて美味しい」
「この濃厚なスープに、あっさりとした鹿肉が負けてないのが不思議ね。赤身の美味しい味がして、スープを飲むと濃厚で、本当に美味しいわ」
「骨を煮込むとこんなに美味しいスープになるなんて知らなかったよ。それにしても、この濃厚さは癖になりそうな味だね」
「うん、よく分かる。何か良からぬ物でも入ってるんじゃないかと思う程に美味しい。こんなに濃厚な味のするものを食べたのは、生まれて初めてだ」
周りに良い匂いが漂ってる所為か、昨日と同じようにジーッとこちらを見てくる奴等が多い。見てきても鍋にはもう無いから、意味は無いんだけどな。さっさと食べて終わらせよう。
ずっと視線に晒されるのも鬱陶しいからさ。だから諦めてくれ、ジッとこっちを見るんじゃない。もう夕食は食べ終わったんだろう? だいたい、何で第三王女が傭兵の所に来るんだよ。
近衛も王族も、兵士と同じ食事内容なのは知ってるけどさ。こっちに押し付けられても困るんだよ。俺達は傭兵だから、そんな決まりは無いの。無い物は無いんだから諦めなさい。
「それで、アンタはいったい何しに来たんだい? まさか、本当に愚痴を言いに来ただけじゃないだろうね」
「流石にそんな事はありません。明日グリュウから東に行き、遅くとも夕方には辺境伯の領都ファルートに着くでしょう」
「距離的には夕方に着くでしょうが、遅れても夜になる前には着くでしょうね。ですが、それが何か?」
「皆様には、先行して森の中の帝国兵を駆逐するか捕縛してほしいと、王太子殿下からのお願いです」
「”お願い”ですか……。ああ、一応私達の雇い主は近衛騎士団長でしたわね。まぁ、1番上なのは当然王太子殿下なのでしょうが……」
「そういう形式は、それなりに大事なものでもあるからね。しかし、私達の足なら昼前にはファルートに到着するだろう」
「森の中は見通しが悪いが、アルドが居れば問題ない。それに、私も色々な技の練習もしなければいけないので丁度良い」
「そうだねぇ。都合の良い練習相手が向こうから来てくれるから、幾らでも練習出来るかもしれないよ?」
「そこまで斥候を放ち続けたら唯の愚か者ですが、無いとは言えませんね」
とりあえず了承したら、忙しいのか第三王女は護衛と共に帰って行った。どうも話はそれだけだったらしい。しっかし、王太子の護衛も王女の護衛もいちいち睨んできて鬱陶しいな。
俺達の言動が気に入らないのか知らないが、王太子や王女本人が許している以上は問題ないんだよ。むしろ勝手に睨んでるお前等の方が問題だろうが……と俺は思うんだがなぁ。
王太子や王女が注意していないのか、それとも見えない所でだけやっているのか。まあ、どうでもいいか。それより、護衛の兵が前に村に来た時の奴と違うんだよな。
どうでもいい事は横に置いて、夜番の事を話すと前回と逆の順番に決まった。俺が最後な事に変わりは無いが、色々やってみようという事らしい。明日に影響が無いなら良いんだけど。
俺はさっさとカマクラの中に入り横になる。すると、2匹が左右に寝そべり甘えてくる。まだ眠くも無い為、2匹と遊んでいると皆が交代でイチャつきに来た。
どうも夜の営みが無い事が結構なストレスになっているらしく、頻りに甘えてくる。こういう事も、今後あるかもしれないので耐えてもらおう。……戦争が終わった後が怖い気もするが。
2匹が眠ったのを切っ掛けに、俺も寝る。今日も1日お疲れ様でした。
<異世界100日目>
おはようございます。今日から斥候などを間引くお仕事です。先行して良いので気持ち的には楽だな。俺を起こしたディルはさっさと寝ている。やはりキツかった様だ。
俺は起き上がり、辺りを警戒するものの特に異常は無い。敵意と悪意も感じないので多分問題は無いだろう。背伸びをしてからカマクラの前に座り、昨日とは違う修行を始める。
【空間把握】を使って認識出来る範囲の浄化を始め、1人ずつ丁寧に体の中を浄化していき、汚れや邪気や病原菌などを綺麗にしていく。体の中であれば騒ぐ奴も居ないだろう。
それにしても汚い奴が多いな。時代的なものだから仕方がないとはいえ、やはり体が汚れたままの奴が居る。全員が全員【清潔】の魔法が使える訳じゃないとはいえ、これは酷い。
戦場だからしょうがないと言うにはあまりに汚い。これじゃあ地球の戦場と然程変わらないんじゃないかと思ってしまう。中には綺麗なのも居るが……いや、汚い奴等が固まってる?。
何故か分からないが汚い奴等が固まって、1つのグループになっている。【清潔】を受けていない汚れた奴等を1纏めにしているのかな? 交代制なら分かるんだけど……。
魔力だって、普通の魔法使いはそこまで多くない。つまり【清潔】を使うにしても限度がある以上は順番に掛けていく必要がある。この世界では、汚れると病気になる事は知られているし。
昔、何かの神様が下界の者に教えたらしい。古い時代に教えられたからか、当時の人々が分かりやすいように汚れと言ったそうだ。以降は綺麗にした方が良いというのは常識になった。
神様が教えても、聞かない、守らないという奴は必ず居るらしく、周りも迷惑している。前に話題になっていた娼館だって、そういう奴は出入り禁止となってるのが殆どだ。
娼館に入りたいから綺麗にする奴はまだマシで、汚いまま無理矢理に娼館を利用しようとする奴も居る。まあ、当然そういう奴は地面の下で永遠に眠る事になるんだが。
……っと、浄化は終わったな。次の修行をしよう。
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0199終了時点
大白金貨1枚
白金貨2枚
大金貨14枚
金貨70枚
大銀貨92枚
銀貨66枚
大銅貨236枚
銅貨2枚
ヒヒイロカネの矛
ヒヒイロカネの小太刀
剣熊の爪のサバイバルナイフ
アダマンタイトの十手
二角の角の戦斧
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
剣熊の骨の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
強打猪の革のジャケット
強打猪の革のズボン
真っ黒なブーツ
大型のアイテムバッグ