0197
朝っぱらからシモの話をするのもどうかと思うけど、あまり掘り下げられるとカエデもキツイからな。ここは軽い笑い話程度にして、さっさと流してしまうべきだ。誰も得しない話だし。
「そ、そうですか。愛する人に粗相をするのは、心に傷を負いかねませんからね。ダナなら、そういうプレイをしていると言えば良いだけですが」
「アタシが噴いてるのは、ソレじゃないよ! 幾らこの場を和ます為とはいえ、言って良い事と悪い事があるのが分からないのかい?」
「何で余計な事を言うのでしょうか? 誰しも恥の一つや二つがあるのは当然でしょうに……。ダナさんのは恥ではありませんが」
「確かにアレは恥じゃないね。まぁ、それは横に置いておくとして。シュライアだって粗相をした事があるだろうに、妹同士でヤってた時の事を忘れたのかい?」
「そんな事を妹同士でしていたのか? そのうえ粗相をしていたと。中々ワイルドなんだな。私には理解出来ないが、そういう者も世の中には居るんだろう」
「違いますよ! アレは7つ上の姉上が若い頃にやってきたんです。私はアレが初めてだったんですよ? 酷い目に遭わされました」
朝から何て話をしてるんだ。周りに居る女傭兵達が赤い顔をしてるだろうに。カエデの事を考えて喋ってるんだろうけど、聞き耳立ててる奴まで居るぞ。これじゃ村に居るのと同じだ。
右から左に聞き流しながら、朝も肉を焼こう。今日は小角鹿の肉も焼いて、全て食べてしまうか。焼き場と焼き網はそのまま残しているし、早速始めよう。アレは放っといて良いだろう。
焼き場に薪を入れて火を着ける。塩を振って馴染ませ、ドンドンと焼いていく。ジュージューという音と共に良い匂いが辺りに拡散される。2匹は既に生肉を一心不乱に貪っているけど。
「朝から肉も良いんだけど、お酒が飲めないのは辛いねぇ。少しでも良いんだけど、判断力が鈍るのは駄目だから残念なものさ」
「流石にお酒を飲んだので戦えませんは、話にならないでしょう。クズ貴族のような事は恥ずかしくて出来ませんよ」
「貴族って戦争に来て、お酒に呑まれるの? 一体何をしてるのかしらね。凄く貴族らしいと言えばそれまでだけど」
「役に立たないクズと書いて貴族と読むんだよ。アレ等はそういう生き物だと思えば、多少は理解出来るさ。生きる限り迷惑を掛け続けるナマモノ、それが貴族という者だ」
「堂々とハッキリと言えるのは羨ましいな。どうしても寿命があった時の感覚が抜けないんだよ私は。いつかは不老長寿の生き方が出来るのだろうか?」
「そんなの考える必要ないさ。生きてりゃ自然とそうなるよ」
さて食事も終わったし焼き場や焼き網。それとカマクラを壊して更地に戻しておくか。そろそろ集まらなきゃいけないだろうしな。これから出発して昼までには領都に到着するだろう。
……まさか集合したり、整列したりする事もなく出発するとは思わなかった。隊列も無く適当に進軍すると、奇襲に対応出来ないが大丈夫かな。周りは平野だから安心ではあるけどさ。
地球でも古い時代はこうだっけ? 隊列も無くバラバラに適当に歩いて進軍するのは。だから奇襲が有効な戦術だったんだろうか? 何か直ぐにパニックを起こしそうなんだけど。
大量の人間がパニックを起こすなんて、それだけで戦いどころじゃなくなる。パニックを治める事も難しいだろうし、コントロールも無理だろう。集団というのは怖ろしいもんだ。
そんな話をしていると、領都グリュウが見えてきた。領都の兵士は都市の前に居て、どうやらこっちと戦う気らしい。侯爵が居ないのによくやるよ。このままだと反乱として潰されるぞ。
「どうやら前方同士がぶつかるみたいだね。野戦でどうにかする気なのか、少しでも削りたいのか。何か中途半端な感じがするけど、敵さんはどうするのか見物だよ」
「領都の中は混乱しているのかもしれませんね。侯爵が居なくなった以上は、旗が無くなったのと同じですから。他の者では旗振り役も出来ないでしょうし……」
「私には戦争の事はよくわからないけれど、何とか相手を押し留めようとしているように見えるわね。辺境伯領へ行く邪魔をしているような……?」
「時間稼ぎかい? ……あり得なくもないけど、侯爵軍で出来る時間稼ぎなんて、高が知れてると思うんだけどね。ただでさえ当主が居ないんだし……」
「纏め役が居ない以上は、そもそも纏まらない気がするのだが……。相手の人数も、想像していた戦争の規模とは思えない程に少ないしな」
「どの人数が平均的なのかは知らないが、見えている前方の部隊が200人程だ。その後ろに同数の200人が居るだけだな。他に兵は居ない様だ」
「400人ねぇ……。1侯爵軍と考えたら少なめの人数だよ。指揮は執れてる感じがして、混乱も無い。当主が居ない割には、ちゃんと戦えてるのはどういう事だろうね?」
元々当主が指揮権を持っていなかったか、持つ体制では無かったのか。または、当主の代わりとなれる者が居たのか、最初からそいつが黒幕だったか。
どのみち、2000対400の戦いだ。普通に戦えば勝てるだろうし、余裕を持ちすぎて膠着状態になったら俺に依頼でもしてくるだろう。それまで、ゆっくり見物でもしておくか。
戦争って言ったところで、物事がポンポン進んだりしないみたいだ。……というか、本当に戦ってるのか? と問いたくなるほどに、牽制攻撃をやってるだけだ。これが戦争か……?。
「こんな、しょっぱい戦いが戦争なのか……? なんで槍で牽制してるだけなんだろうな。その隙間から石でも投げろよ。他に出来る事は沢山あるだろうに」
「相手は侯爵軍だからね。これが他国の軍を相手にしてたら違うんだけど、自国の軍相手って事は、自国の国民相手に戦うって事さ。どうしても全力では戦えないよ」
「言いたい事は分からなくもないんだが、これは王太子の軍だぜ? その軍に攻め掛かるって事は叛逆だろうに。普通は叛逆罪で根切りじゃないのか?」
「そういえば、そうですね。兵士の心情としては戦い辛いかもしれませんが、国家としては踏み潰さないといけない相手です。その辺りはどうするんでしょうね?」
「あら? 魔法が飛んで行ったわね。どうやら本気で戦争をする事に決めたみたいよ。無駄に時間を使った気もするけれど、仕方がないのでしょうね」
「降伏でも促していたんだろうね。ただ、相手は降伏を受け入れなかった。よくある事とはいえ、下らないとしか言い様が無い。……ん? 誰かこっちに……あれは王女かな?」
本当だ。第三王女がこっちに来る。俺に依頼するのか、それとも俺達全員に依頼をするのか。どちらかによって内容は変わりそうだが、どうなるのやら……。
「申し訳ありません。アルドさんに依頼したい事があります。内容は、領都グリュウに潜入して侯爵家の者達を捕縛、もしくは殺害する事です」
「殺害しても構わないのか? 全員捕縛しろと言うのは分かるんだが、殺害したら何も聞けなくなってしまうが……それでもいいのか?」
「傭兵ごときが口を出すな! 貴様等は黙って従っておればよい! 底辺のゴミどもめが、増長しおって……」
「……コイツはいったい何なんだ?」
「この者は王国東部の子爵家の先代当主です。今回の戦争に”何故か”参加をしてきまして、邪魔ばかりするんです。間違いなく、帝国の間者でしょう」
「なっ!? 殿下!! 事もあろうに私を帝国の間者ですと!? どれほどに我が領地が国に尽くしてきたと思っておるのですかな? 王族といえど、いささか驕っておられる様だ」
「驕っているのはお前だろうが。第三王女がそこまで言うって事は、王太子からお前を殺害する許可が出てるって事だぞ? そんな事も分からないのか」
「はっ!? 底辺のウジむっ!? ガフッ……グッ……ゴブッ……ゴンナ……バガナ……」
「いや、どう考えてもバカはお前だろ」
俺は【土魔法】で穴を掘り、身包みを剥いだ後に死体を穴に放り込む。【浄炎】を使って燃やし、【破砕】して【粉砕】したら穴を埋めて終了だ。
そういえば、大勢の人が見ている前で死体を処理するのは初めてだな。
▽▽▽▽▽
0197終了時点
大白金貨1枚
白金貨2枚
大金貨14枚
金貨71枚
大銀貨92枚
銀貨66枚
大銅貨236枚
銅貨2枚
ヒヒイロカネの矛
ヒヒイロカネの小太刀
剣熊の爪のサバイバルナイフ
アダマンタイトの十手
二角の角の戦斧
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
剣熊の骨の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
強打猪の革のジャケット
強打猪の革のズボン
真っ黒なブーツ
大型のアイテムバッグ