0196
2匹に生肉を与えながら肉を焼いていると、ダナが近くの女傭兵から声を掛けられていた。どうやら手持ちの食料と俺達の肉とを交換してほしい様だ。俺は了承しておいた。
こんな事から諍いに発展したりするし、食べ物の恨みはマジで怖ろしいから侮る事はしない。交換で貰えたのは野菜だったので、浄化した後に塩を振って焼いている。
肉の脂の匂いが辺りに拡散されて、物凄く見られているな。スマッシュボーアの肉って一応は高級肉だから美味い肉なんだ。当然焼いた時の匂いも、食欲を刺激する良い匂いがする。
それらを辺り一体に撒き散らしている訳だから、反応が凄い事になるのは仕方がないんだろう。涎を垂らしそうな程にガン見してる奴も居てちょっと怖い。ま、無視して食べるけどね。
「相変わらずだけど、スマッシュボーアの肉は美味しいねぇ……。これで酒が飲めないのはどうなんだろう?」
「流石に戦争中にお酒を飲むのは色々マズいですよ。寝込みを襲われる可能性も無いとは言えませんからね。どこにでも不埒な輩は居ますから、ちゃんと警戒して下さいよ」
「私達を手篭めに……なんて考えてるのは普通に居そうよ。出来ないでしょうけれど、それをされると面倒な事になる場合もあるわ。その場合どうするの?」
「貴族絡みの面倒事か……。王軍の奴等も幹部の連中は大体貴族だからね。それ等が面倒な事をしてきたら始末すればいいさ。そして王太子に言って依頼破棄だね」
「そんな事が可能なのか? 相手は貴族だろう? 私達の訴えを聞く事なんてあり得ないと思うが……。それに、殺すと余計に面倒事に巻き込まれる気がする」
「なーに、だったら不老長寿を敵に回すだけさ。アタシ達が不老長寿だと分かってようが無かろうが、喧嘩を売ってきた以上は容赦なんてするワケないだろう?」
「こっちから何かをする必要は無いさ。丁重にお帰り願えば、夜の内に居なくなってるよ。どこに行くのかは俺も知らないが、どこか安らげる場所に行くんだろう、きっと……」
「それが一番恐い気がするな。とはいえ、愚か者の自業自得か……」
完全に自業自得だよ。俺も容赦する気はカケラも無いし、さっさと殺す。そういう奴は失敗しても諦めないし、他の被害者を生み出すだけだ。始末しておいた方が良い。
欲に濁った視線を向けてきている奴等が居るんだよ。手を出してきたら、速やかに始末する。……夕食を食べてる時に考える事じゃなかったな。しかし、警戒は忘れないようにしないと。
「夜番の順番はどうするんだ? 私が最後をしても構わないが……」
「いや、最後は俺がするよ。それが誰にとっても1番良いからな。今回は細かく交代するか、3人ぐらいでやって残りを休ませるか。その辺りを決めようか」
「細かく交代で良いんじゃないかねぇ。皆が休めるし、疲れをなるべく残したくないからさ。数が多い事を生かした方が良いよ」
「そうですね。それに全員が1度はやった方が、不満が無くていいでしょう」
「では順番を決めましょうか」
話し合いの結果、ディル、アルメア、メル、シュラ、ダナ、そして俺という順番になった。流石に戦争の野営中に、夜の営みを言い出す人物は居なかったので安堵した。
可能性がある事自体が、怖ろしいとしか言いようがない。この状況で何を考えてるんだと思うよ、本当に。寝込みを襲うかもしれない奴等を挑発してどうするんだろうな?。
それはいいとして、全員を強力かつ丁寧に浄化して、もう寝よう。それじゃあ、おやすみなさい。
<異世界99日目>
おはようございます。これから夜番の見張りです。ダナは俺を起こしてキスした後、早々に寝てしまった。やはり中途半端な時間に起こされると、辛かったんだろう。あっさり寝てる。
さて、俺は起きてカマクラの前に座る。今回のカマクラは直径6メートル程の物で、結構大きい物にした。出入り口は茶道で使う茶室の入り口みたいになっていて、入り難くしておいてある。
俺が途中で起きなかったという事は、ここまでは揉め事などが起こっていないという事だろう。起きるとしたらこの時間帯からだろうか? 不穏な気配なんかは無いんだが。
折角なので俺も修行をするとしよう。目を閉じて【気配察知】【探知】【空間把握】【敵意察知】【悪意感知】を同時に使う。かなり大変ではあるが、集中すれば全て同時に使える。
このまま集中して周りを調べていこう。意外な事に、暇ではあるが暇ではない状況になってしまった。特に【空間把握】は、障害物があっても中を見る事が可能な技だ。
こんな時間で戦争時だというのに、暢気に寝てる奴等が多い。どういう事かと言うと、装備を外して適当に一纏めにして寝ていたり、装備を外したうえで全裸で寝ている奴も居る。
男同士で引っ付いて寝ている奴等も居れば、女同士で引っ付いて寝ている奴等も居る。……尻を手で守りながら寝ている奴が居るな。もしかして掘られた後か? 考えるのを止めよう。
そういえば、この世界では女性も普通に戦える為、兵士の募集に女性が手を上げる事も多い。正確には素の能力が高い種族の女性が多い。獣人族や魔族、エルフやドワーフも居るな。
エルフの場合は子供の頃から魔法を教えられるからか、肉体の能力よりも魔法に期待されるんだろう。ドワーフは肉体が頑強だからな、期待されるのは当然パワーだ。
獣人はスピードやパワーで魔族は魔法かな。ただ、どの種族も人間族よりも肉体の能力は高いからなぁ。この世界の人間は、肉体の能力的には下位グループに属する。
この世界の人間族の特徴は、実は器用さだ。他の種族に比べて物事を器用に熟すし、道具を器用に扱う事でも知られている。器用さの種族というのも珍しいイメージだと思う。
漫画やラノベとかでも、繁殖力だけとか、平均的な種族という設定は見るんだ。しかし実際には、器用な種族という妙なイメージになっている。それなりに器用なのは確かだけどなー。
当たり前だが、小人族とかと比べるとそこまでではない。この世界の布と細工関連は、殆ど小人族の独壇場だ。彼等以上の物を作れる種族が居ないのは、この世界では常識的な話だ。
後、器用なイメージのあるドワーフだが、彼等は鍛冶ぐらいしか出来ない。理由は魔力ではなく闘気寄りの種族である事と、指が太過ぎる事だ。あの太い指では細かい事は無理だろう。
現実的に考えれば分かる話ではあるんだ。手や足というのは種族によってかなりの違いがある為、有利不利は生まれた時点で決まるとも言える。不器用だと他に強い部分を持つ事が多い。
例えばヴェルだ。蛇人族なので、下半身は完全に蛇だと言っていい。しかしその蛇部分の筋力は尋常ではない強さとなっている。蛇と同じように、敵を絞め殺す事も十分に可能だ。
……やっと夜が明けてきたか。途中から周りの監視は全力ではしなくなった。理由は乳繰り合ってるのが多過ぎるからだ。覗き見する気なんてないので、カマクラ近くの監視だけしている。
やたらに同姓同士が多かったのは何故なんだ? 特に女性同士! ずーっとヤってるんじゃない、早く寝ろ。男は出せば終わりだが女性は違うとはいえ、幾らなんでも長過ぎるだろう。戦争中だぞ!。
「おはよう。ダリア、カエデ」
「ニャー!」 「グルゥ!」
2匹を浄化しながらワシャワシャしてやる。久しぶりだからか喜んでるな。喜び過ぎて嬉ションするの止めてくれませんか? 浄化すれば済むとはいえ、こんな事は初めてだぞ。
あーあー。別に落ち込まなくてもいいから。ダリアも慰めない! そういう時は大人の態度でスルーしてあげよう? 慰められても、怒られても、揶揄されても、キツイからさ。
「「「「「チュッ! おはよう、皆」」」」」
「おはよう、皆」 「ニャ!」 「グル……」
「??? ……カエデはどうしたんだい? 何か落ち込んでるみたいだけど……」
「あー……。簡単に言うとワシャワシャしたら、嬉しすぎてシモが緩んだんだよ」
これって朝からする会話なんだろうか? しかも、今日はこれから領都を攻めるんだぜ?。
▽▽▽▽▽
0196終了時点
大白金貨1枚
白金貨2枚
大金貨14枚
金貨71枚
大銀貨92枚
銀貨66枚
大銅貨236枚
銅貨2枚
ヒヒイロカネの矛
ヒヒイロカネの小太刀
剣熊の爪のサバイバルナイフ
アダマンタイトの十手
二角の角の戦斧
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
剣熊の骨の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
強打猪の革のジャケット
強打猪の革のズボン
真っ黒なブーツ
大型のアイテムバッグ