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子供達と雑談をしていたが、そろそろ眠たくなってきたのか自分でベッドへと行き寝転がった。俺は子供達に【昏睡】を使い寝かせると、抱き付いてきていたライアをベッドへと連れていき【極幸】と【至天】で撃沈。これで十分に満足しただろう。
綺麗に浄化した後で服を着せて寝かせ、部屋と皆の体を【浄化】したら、俺も布団を敷いたベッドに寝転がる。明日は情報収集だからゆっくり出来そうだな。それじゃあ、おやすみなさい。
<実験惑星25日目>
おはようございます。今日は情報収集の日ですが、ついでに買い物も含めて色々やっておきます。紅茶の茶葉も残り僅かだし買い足しておかないといけない。他に何か買う物ってあったかな?。
朝の日課を終わらせたら紅茶を淹れてティーポットに移し、残りをコップに入れる。紅茶を飲みつつ先ほどの続きを考えていると、蓮が起きてトイレに行った。それを見送りながら買う物を考えていると、戻ってきた蓮は紅茶をコップに入れた後で俺の膝に座る。
久しぶりだなと思いつつも好きにさせていると、蓮は暇なのか話し掛けてきた。
「ジッと黙ってるけど……何か考えてるの?」
「ん? ああ、今日の予定をな。紅茶を買わなきゃいけないのは間違いないんだが、他に何か買う物ってあったかと思って考えてたんだよ。米が売ってるなら買うんだが、可能性は低そうな気がする。インディカ米でもあれば良いんだが」
「あの長細いヤツ? 確かにあれもお米だし、無いよりあった方がいいね。尾張で食べたお米より美味しくないけど……」
「あれはしょうがない。そもそもあれは迷宮米なうえジャポニカ米だから、美味くて当たり前とも言える。蓮もそうだが長粒種よりも短粒種に慣れてるからな、そちらの方が美味しく感じるのは当然の事なんだよ」
「ふーん……お米があればいいね」
「そうだなー」
蓮とそんな話をしているとイデアとフィーも起きてきたので挨拶し、部屋を出るのを見送った。戻ってきた2人も紅茶を入れるが、蓮が俺の膝に乗っているのが珍しいのか、フィーはジッと見てきていた。何故かは知らないが長かったな。
イデアは全てを纏めてスルーし、俺は特に何も言わなかった。何を考えているのかイマイチ分からないうえ、聞くのが少々怖かったのもある。
部屋の中を片付けて酒場へと移動し、大銅貨4枚を支払って朝食を頼む。海産物の国なのに魚ではなく肉を食べつつ、食事後は町に出て色々な物を見ていく。途中で町の人に話しかけながらも移動し、店が並ぶ区画に来た。
武具などを見る事はなく主に道具類の確認だが、特に必要な物も無く、更には鉄も余っているので作る事も出来る。そんな状態では必要な物などある筈もなく、早々に道具屋を出た。
次に食料店に行き様々な物を見て回ると、意外に果物が多い事を発見。小銀貨1枚を払い大銅貨6枚のお釣りを貰って、皆に1つずつ買った。初めて食べる物なので1個ずつにしたが、形はくびれのある瓢箪みたいな形をしている。色は黄色。
妙な形の果物だなと思い齧ると、中からは結構な水分が出てきた。甘さは微妙というか薄く、水分が多いので余計に薄く感じる。まあ、水分補給には良い果物なんじゃないかと思う。
大して買う物も無いなと思いながら見回っていると、とある店の中で米を発見した。慌てて近付き確認するとインディカ米のような長粒種だったが、間違いなくこれは米だ。店の人が出て来たので確認すると、ここは家畜の飼料を扱う店だった。
マジかー……こっちの国では米は飼料扱いかよ。通りで米を見かけなかった筈だ。そう思い、俺は米を小銀貨5枚分買う。その行動に店主も驚いたが、俺は気にせず小銀貨5枚を渡して持って来てもらう。
雑穀の飼料扱いだったからか、安くて大量に買えた。他に安い大麦も飼料扱いだったので買い、こちらは小銀貨3枚分だけ購入。まだ余ってるのでこの量で大丈夫だ。ついでに小銀貨30枚を渡して、大銅貨300枚に交換してもらった。
この星では大銅貨の消費量が多く、結構な大銅貨を持っていてもすぐに使いきってしまう。店主も俺が大量に買ってくれたからか、喜んで交換に応じてくれたし、お互いにとって良い買い物だった。
ちょうど昼に近かったので俺達は町を出て、ある程度の距離を離れたら焼き場などを作って料理を始める。米を取り出して殻や糠を【分離】し、精米を終えたら押し麦と半々で炊いていく。神水を使っているので臭味は出ない筈。
イデアには野菜と干し肉のスープを頼み、フィーにはサラダの準備を頼む。今日は出し殻に魚醤などを加えたドレッシングに漬け込む形のサラダにし、俺はシルバーブルとシルバーボーアのハンバーグを作る。
ワインを買っておけば良かったかと思いつつ時間が来たら焼いていき、終わったら少々の出汁と水飴を肉汁と脂に混ぜてソースにしてかける。蓮が炊けた土鍋を開けると、麦の香りと混ざって米の匂いが僅かにした。どうやら臭味は出ていないようだ。
臭味さえ無ければ十分に食べられる筈なので助かる。配膳を終えたら準備は完了。それじゃあ、いただきます。
「うん、ご飯だ! 久しぶりのご飯は、美味しい! 味が薄い気がするし、ちょっとパサパサするけど十分お米だよ!!」
「確かに久しぶりのお米だね。パサパサなのは確かだけど、大麦だってそうだから気にならないかな? 麦の香りは減ってるし、お米の方が美味しいけど、蓮ほど大喜びはしないね」
「これが米、ですか……。家畜の飼料を食べるってどうかと思いましたけど、特に問題なく食べられますね。浄化していたので変な物は無くなってるでしょうが、普通に美味しい物が飼料……?」
「食べないからだろうな。米を食べる所では他の物が飼料で、小麦を食べる所では米を含む物が飼料になってるだけだ。こっちの人は米の食べ方を知らないんだよ、だから飼料にするという発想になる。そもそも米は沢山採れるからな」
「長細いヤツだから茹でるんだよね? それすらしなかったのかなー?」
「それすらしなかったというより、粉にする発想しかないんじゃないか? 米を食うには殻を外さなきゃならないが、ふすまを含めて石臼で挽く事しかしないんだろ、きっと。確か古い時代はそんな感じだったとか聞いた事がある」
「殻を外す……ああ、確かに殻を外した白い部分ですからね、コレ。小麦のように全部粉にしてパンにするのとは違うという事ですか……。確かに殻を外す道具が無ければ、全部粉にするのも不思議ではありませんね」
フィーも特に問題なく食べられるようなので、米はこのまま食べて問題なさそうだ。それにしても家畜の飼料にされている可能性も考えて、色々な店をチェックした方がいいな。
昼食後、焼き場などを壊して町に戻った俺達は、店を再びウロウロと見て回る。途中で紅茶の茶葉を小銀貨5枚分買い、それからも見て回ったが買う物はなかった。
夕方になっていたので酒場へと入り、大銅貨4枚を支払って食事にする。周りの客の話を聞くも然して聞く必要のある情報などは無かった。俺達は夕食を終え、さっさと宿の部屋へと戻る。
ゆっくりとしつつも子供達のトランプの相手をし、ウトウトしてきた子供達をベッドに寝かせて【昏睡】を使う。その後は期待しているフィーを撃沈し、綺麗にした後でベッドへと寝かせて白い枷を1つ着けておく。
最近その影響かライアの方も良くなってきている気がするが、それが技の方の影響なのか枷の影響なのかはイマイチ分かっていない。俺も聞いたりはしないからな。触れるのも躊躇われるし。っと、そろそろ寝る用意をするか。
部屋と体を綺麗にしたら、俺も布団を敷いてベッドに寝転がる。今日も一日お疲れ様でした。




