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0192




 「先方からは、どのような返事があったのでしょうか?」


 「我々は帝国軍と歩調を合わせ、東の辺境伯領を攻めろとの事だ。後2日か3日で辺境伯領に入る様だが、随分遅いのは辺境伯に進軍を邪魔されているのが原因らしい」


 「場合によっては近衛の隠密部隊も関わっているかもしれません。我等のところに報告は来ておりませんが、王軍がこちらへ向かって来ている恐れもあります」


 「ふん! 王軍が来たから何だと言うのだ。東の辺境伯領を攻めて、そのまま奪えばよい。それで、我が領地と辺境伯領が帝国と地続きとなる。そうすれば迂闊に攻めては来れまい」


 「では、そろそろ東へと進軍いたしますか? 既に領軍の編成は終わっておりますし、武器や兵糧の準備も終わっております。兵の士気も高く、戦争を待ちきれぬ様子ですので」


 「ああ。明日にでも出発せよ。明日の朝、帝国の辺境伯に向けた手紙を渡すので取りに来るようにな」


 「ハッ!」


 「御当主様。今ならばまだ、帝国を騙す為だったと申し上げれば攻められませぬ。このままでは侯爵家そのものが危うくなる恐れも……」


 「だから、何だと言うのだ! 西の成り上がりが、我が侯爵家の領地を奪ったのだぞ! あのような成り上がり者に我が領地を与えた王家も同罪であろうが!」


 「しかし……あの時は先代様の失敗と、西の子爵が武功をあげるのが同じ戦であった為に……」


 「父上が悪いと申す気か?」


 「い、いえ。そのような事は決して……」


 「御当主様! 致し方ありません、家宰殿は文官ですからな。戦争の事を何もお分かりでない以上は、あれもこれも怖いものでございます」


 「確かにな。……そなたは父上の代から仕えておるが、己の領分を超えた口出しを許す気は無いぞ?」


 「……申し訳御座いません」


 「では両名とも、己の職責を果たせ!」


 「ハッ!」 「ハッ……」



 どうやら家宰と当主は上手くいってないらしいな。伯爵家の領地である領都の付近は、元は侯爵領だったと前にダナが言っていた。しかし、その事をまだ根に持っているとはねぇ……。


 侯爵家が持っていた時は、何にも無いド田舎だったとも言っていたが……。アレだ、伯爵が頑張って豊かな地にしたから欲しくなったんだろうな。何か中身がクソガキっぽいし。


 しかし代替わりしてからこうなった筈だ。となると、先代は自分の失敗だから仕方がないと考えていたのかね? だが、クソガキは納得しなかったというところか。


 そのクソガキは、現在執務室で裏切りの証拠を書いている最中だ。俺に証拠として奪われる為にせっせと書いているんだから、面白過ぎる。なお、家宰と兵士長っぽいのは出ていった。


 出て行く最中、寝ているメイドは何故かスルーされていたが。……うん? 当主が執務室から出てきたか。そしてメイドを起こして……そのまま連れて行ったぞ。……という事は愛人か?。


 ああ。だからスルーしてたのか、成る程ね。それはいいとして、【空間把握】と【探知】を駆使して家捜しの開始だ。執務室だから証拠品は山程あるだろう、ここは総浚いするべきだ。


 【止音】も使って徹底的に証拠を奪って行こう。椅子の裏も、机の引き出しの裏も、本棚の中の隙間も、隠し部屋の中も。……って隠し部屋があったのかよ。どこから開けるんだ?。


 ああ、椅子の裏にあった鍵か。壁に鍵穴があれば普通は怪しむが、スライドする板で隠してあるとは。無駄に金の掛かった執務室だな。鍵を開けて、壁を扉のように開くと隠し部屋だ。


 隠し部屋の中は執務室の半分くらいの大きさだったが、地下への階段があって……これ脱出路か? 本当に色んな用意がしてあるなー。呆れを通り越して感心する。


 暗殺組織と似たような事をしてるんだもんなぁ。貴族がしてるって事は、民衆の蜂起も念頭に置いてるって事だろ? 統治が下手ですって言ってるのと同じだって分かってるのかね?。


 さて、そろそろ物色も終わらせて帰るとするか。流石に侯爵邸の中に居る奴等も殆ど寝てるしな。起きているのは見回りの兵士ぐらいか……うん? なんで当主がこっちに来るんだ?。


 メイドと乳繰り合った後、寝てたじゃないか。何で起きてこっちに来るんだよ! 面倒な奴だな。隠し部屋を閉めて元に戻し、鍵も元に戻した。違和感を感じない程度に部屋を直す。


 扉の近くで隠密の3つの技を使い待機して待つ。予想通りクソガキ当主は執務室へ来た。ちなみにクソガキと言っているが、見た目は30代くらいで顔だけイケメンのメタボだ。



 「ぬ? おかしい。確かここに置いておいた筈……間違えて自分の名前を書いてしまっているので、帝国に利用されんとも限らんからな。書き直しをせねばならんのだが……」



 ナニやってんだコイツ? 帝国の辺境伯に送る手紙に堂々と自分の名前を書いたのかよ、バカ過ぎるだろ。しかも、その手紙は俺のアイテムバッグに入ってます。色々ダメじゃん。


 さて、この状況で俺はどう行動するのか。答えは一つ。こいつを拉致すればいいじゃない? ……と言う事で、【衝気】を使って気絶させ、替えのシャツやズボンで縛り上げる。その後、担いで脱出。


 隠密の3つの技を使っているのでクソガキ当主も見つからない。途中に薪小屋があったので少々拝借して、木で手枷と足枷を作って嵌める。その後は木で猿轡を作り、それも着ける。


 一旦宿の部屋に戻って、皆に事情を説明しなきゃいけなくなった。まさか拉致する事になるとは思わなかったが、何故かそうした方が良いと思ったんだよなー。なんでだろう?。



 「「「「「おかえり……?」」」」」


 「ニャ?」 「ガゥ?」


 「あー、スマン。今から説明する」



 俺は侯爵邸に行った辺りから全員に説明するのだが、あまり時間が無いので要点だけを話す。コイツが侯爵家の当主だという事と、帝国の辺境伯に手紙を出そうとしていた事などだ。



 「こんな肥え太ったバカは、メイドぐらいしか抱けないんだね。まぁ、普通の女からは相手にもされないか」


 「メイドに手を出す貴族って、当たり前過ぎて詰まらないですね」


 「確かにそうね。せめてもう少し捻りがほしいわ」


 「そんな事を期待しても無駄さ。コイツ等はそういうナマモノだからね」


 「貴族を簡単に拉致してくるのだな。その手腕はとんでもないと思うが、アルドなら出来るんだろう」


 「流石にマズいんで、証拠物と一緒に王太子の所に持っていくよ」


 「流石に、夜中に移動するのは危険だと思うんだけど、大丈夫なのかい?」


 「大丈夫。【空間把握】や【探知】を使えば、夜中だろうと全部見えるしね。皆は感覚強化も使う【暗視】の訓練ぐらいはしておいたらどうだ?」


 「【暗視】……そんな技もあるんだな。夜に目が見えるというのは凄く有利になる。折角だから訓練をしようか。酒を飲まない私は暇だったので丁度いい」


 「ま、取り敢えず行って来るよ。明日の朝に領都を出発して、西に戻って来てくれ。クレの町辺りで合流する事になるだろう」


 「「「「「了解!」」」」」


 「ニャ!」 「ガゥ!」



 俺はクソガキ当主を背負ったまま領都を脱出して、伯爵家の領都ディムアストを目指す。そこに王太子が居る以上は、そこまで行くしかない。全力の身体強化を行い一気に進む。


 流石に俺一人の方が、皆と一緒よりも明らかに早い。体感で2時間ぐらい経った頃、領都ディムアストに到着した。初めて全力で移動したが、俺って思っているよりも遥かに速いんだな。


 唯、朝までの時間どこで過ごすのかが問題だ。今の時間は地球で言うと大体深夜の2時辺り。この時間に王太子を起こして、コイツを渡すワケにはいかない。どうしたもんか……。


 仕方がないな、土でカマクラを作って外で寝るか。クソガキ当主は未だに目を覚まさないので、【魔術】で直径4メートルのカマクラを作って、クソガキ当主を放り込んだ。


 俺も中に入って寝るのだが、その前に全て浄化した後に【昏睡】を叩き込む。途中でコイツが騒ぎ、起こされるのも業腹だからな。それじゃあ、おやすみなさい。



 ▽▽▽▽▽


 0192終了時点


 大白金貨1枚

 白金貨2枚

 大金貨14枚

 金貨71枚

 大銀貨92枚

 銀貨66枚

 大銅貨245枚

 銅貨2枚


 ヒヒイロカネの矛

 ヒヒイロカネの小太刀

 剣熊の爪のサバイバルナイフ

 アダマンタイトの十手

 二角の角の戦斧

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 剣熊の骨の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 強打猪の革のジャケット

 強打猪の革のズボン

 真っ黒なブーツ

 大型のアイテムバッグ


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