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 受付嬢の所に依頼の紙を持っていき仕事を請ける。北東区へ行き、大きな商店に着くと依頼を請けた事を話す。ジロジロと見られたが、重労働が出来るかどうかを確認していたんだろう。


 店員が奥へと行き、別の者が奥から出てきた。その男は俺達に店の裏へと回るように言い、俺達は店の外から裏へと回る。大きな店の裏には2軒分の倉庫が並んでおり、その倉庫の前に馬車が置いてあった。



 「そこの倉庫から木箱を出して馬車に乗せてくれ。ただし落としたりしたら弁償してもらうからな、慎重に運べよ」



 そう言って下っ端のような若い男に見張らせ、男は店の中へと戻っていった。俺達は早速木箱を持ち上げるが、それなりには重い物だった。中に何が入っているのかは知らないが、隙間無く詰められているのか音は鳴らない。


 俺達はそれを運んでいき、馬車の上に乗ってもらったフィーに渡していく。フィーは受け取った木箱を隙間無く詰めていき、ときおり詰め方で若い男から訂正を受けていた。詰め方一つとっても色々あるらしい。


 馬車内に詰め終わったので次はどうするんだ? と思ったら、どうやら依頼はこれで終わりのようだ。何故こんな簡単な事で終わりなんだと思ったが、若い男は驚きながら説明してくれた。



 「そもそもあの重い木箱を、馬車っていう高い場所にある所に運ぶんだ。普通は1日仕事になるのが当たり前だよ。あんた達の力が強すぎるのと、運ぶのが早過ぎるんだ。あの木箱だって普通は2人がかりで運ぶ物なんだよ。オレはあんた達がギブアップすると思ってた、それがこんなに早く終わるなんてな」



 俺達にとっては何て事のない重さだし、子供達でも身体強化をすれば持てるんだが、普通の冒険者にとっては大変なようだ。通りで最初にジロジロ見られた筈だよ。重さとか馬車の高さとか、何も知らない奴が来た。そう思われたんだろう。


 若い男が店に戻った偉い奴を呼びに行き、再び来た偉い奴は驚きながら馬車の中を確認している。馬車に上がって木箱が本物かまで確認しているのだから、その驚きは相当のものなんだろう。俺達としては早く終わってほしいんだが。


 その後、多少の時間は掛かったものの事実だと納得してくれたようで、紙にサインをもらい仕事は終了となった。俺達は冒険者ギルドへと戻り、受付嬢に紙を提出、報酬である中銅貨15枚を貰った。俺は3枚受け取り、3人には4枚ずつ渡して終了。


 ちょうど昼なので食堂に行き、大銅貨2枚を支払って食事にする。納得は出来ないものの慣れてきたのか文句は言わず食べ、終わったら冒険者ギルドへ。次の依頼を探していると、再び荷物運搬の仕事を発見した。


 俺達はそれを請けて、北東の別の店へと行く。また同じようにシロシロ見られたが、内容は変わらなかった。木箱を馬車に詰め込むだけだ。俺達はさっさと詰め込み2時間ほどで作業は終了、サインを貰ったのでギルドへと戻る。


 再び受付嬢へと提出。今回は中銅貨16枚だった。全員で4枚ずつに分け、再び運搬の仕事を請ける。この仕事は早く終わるから助かるな。そんな事を思いつつ北東の別の店に行き、再び馬車に荷物を乗せていく。


 今回は木箱だけじゃなく麻袋も運び、そのうえ馬車2台だったが、やる事自体は全く変わらない。せっせと運んで終了。ちょうど夕日が出てる時間に終わり、サインを貰ってギルドへと戻った。


 受付嬢に提出して報酬を受け取るが、ランクは3に上がったようだ。あの仕事、普通の冒険者には重労働だろうし、1日に幾つも受けたりはしないだろう。一気にやったから上がるのも分からなくはない。


 報酬である中銅貨35枚を受け取り、俺は8枚受け取って皆に9枚渡す。分け終わったらギルドを出るのだが、運悪く異界人の連中がギルドに来た。面倒だなと思いつつも、入ってきたので俺達は出る。


 何故か面倒な奴が突っ掛かって来なかったが、俺達は気にせずさっさと出て酒場へ。大銅貨4枚を支払って食事をしつつ、明日はどんな仕事でランクを上げようか話し合う。



 「手紙を運ぶのしかないのかな? 村と町に運ぶ仕事を請けて一気にいくつも運ぶと沢山の仕事が出来そう。多分だけど手紙の配達はそうやって儲けるんだと思う」


 「ああ、そういえば幾つもあったもんね、手紙の配達系。そうやって溜まった複数の手紙を一気に運ぶから儲かるのかー。となると、沢山仕事があったら誰かにとられてるかも」


 「そこは早いもの勝ちだろうし、仕方がないんじゃないか? そもそもそんなものだろうし、誰がどの仕事をしたとて勝手だろうからなあ」


 「ランク4以降の者のところには、ダンジョンに行って取ってこいという系統の依頼がありましたね。あれらだと気楽に請けられるのですが、町中の仕事はいちいち面倒です。今日のは楽でしたが……」


 「荷物を馬車に運んだだけだもんね。身体強化でなら簡単に持ち上がるから、そこまでの重さじゃなかったし。中身が何か知らないけど、普通の人には厳しいのかな?」


 「重さ的にはそうなんじゃないかな? 普通の冒険者なうえ請けるのは低ランクなんだから、普通は身体強化なんて使えないだろうし、そうなると大変だと思うよ。最初のお店の人が1日がかりだって言ってたし」


 「確かそんな事言ってた。普通だと1日がかりなんだ……大変だねー」



 完全に他人事の言い方だなー。人伝に情報を聞いた連中がおかしな事を言い出さなきゃいいが……。ま、言ってきたら聖人にすればいいし、社会が綺麗になるなら誰も文句は言わんだろう。この星の神々もな。


 夕食を終えて宿に戻った俺達は、神水を飲みながらゆっくりとする。今日は運搬というか荷運びの仕事だったからな、なんだかんだと言って疲れた。子供達も言葉とは裏腹に、宿に帰ってきてからは疲れた表情をしている。


 それでも食事をしてすぐに寝かせる訳にはいかないので、背もたれになってやりながら30分は座らせておく。


 ……流石に30分以上は経った筈なので子供達を寝かせ、【昏睡】を使って深く眠らせる。


 抱きついてきたフィーを返り討ちにし、服を着せてベッドに寝かせたら綺麗にしていく。部屋と体を【浄化】したら俺も寝よう。今日も一日お疲れ様でした。



 <実験惑星16日目>



 おはようございます。今日もランクを上げる為、何かの依頼を請けようと思います。朝の日課を終わらせて紅茶を入れ、飲みつつボーッとしていると皆が起きてきた。見送った後で戻ってきた皆と雑談しつつ、飲み終わったら片付けて酒場へ。


 小銀貨1枚を払って大銅貨6枚をお釣りで貰い朝食を食べたら、ダンジョンへと向かって歩いていく。すると昨日に続き、またもやウザイのが絡んできた。



 「スキル無しのお前ら! 何でお前らがあの扉を使えるんだよ!! どんな卑怯な事をしやがったんだ? それとも誰かを襲って無理矢理鍵を奪ったんだろ!」


 「やめろ、ショウリ! お前の言ってる事はただの言い掛かりだろ。恥ずかしくないのか!? 周りの目を見ろ!!」


 「チッ!」



 相変わらずのバカだな。そもそも鍵はギルドマスターから貰うしか方法は無いし、襲って奪えたら相手よりも強いだろうに何を言ってるんだか。バカバカし過ぎて相手をする気にもならん。



 「さっきのを見てたけど、貴方も多少は反論したら? だからこそバカが調子に乗るのよ? バカの相手なんて、いちいちしたくないのは当前でしょうけどね」


 「何!?」



 声を掛けてきたのは女性だったが、確かこの女性は<紅の旋風>とかいうクランの女性だったな。何で声を掛けてきたのかは知らないが。


 俺が首を傾げていると、女性は少し笑いながら教えてくれた。



 「私はクラン<紅の旋風>のリーダー、ティーリマ。そして彼らと31層で実際に会った証人よ。彼らはしっかりと自分達の実力で31層に到達したわ。貴方達のようにスキルはあっても役立たずとは違うのよ?」


 「何だと、テメェl! 喧嘩売ってんのか!?」


 「あらあら、喧嘩なんて売る訳ないでしょう? 貴方達みたいなザコに喧嘩を売ったら、我がクランの恥じゃないの。そんな無様な事しないわよ。吠えるしか能の無いお子ちゃまを見下すだけに決まってるじゃない」


 「テメェ、オレは【聖盾術】ってスキルを持ってんだぞ! アンデッドに対抗できるだけの力がテメェにあんのかよ!? あぁ!!」


 「何この情けない奴? 【聖盾術】のスキルね……だから何? 今のお前は何の役にも立ってない、喚くだけのゴミじゃない。……そのゴミが調子に乗るな!!」



 おっ! この女性、自分の実力でかは知らないが【威圧】が使えてるぞ。途端に顔色が悪くなったなー、チンピラ高校生は。


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