1923
<実験惑星13日目>
おはようございます。今日は南西地区の掃除です。朝の日課を終わらせて紅茶を淹れ、飲んでいると蓮が起きてきた。見送ってボーッとしていると、蓮が戻ってくる前にフィーが起きた。挨拶をしていると蓮が戻ってきたので、代わりにフィーが部屋を出る。
蓮は早速コップに紅茶を入れるが、その音でイデアが起きたようだ。挨拶して見送った俺は、再びゆっくりとする。
全員が紅茶を飲んでゆっくりした後、部屋を片付けて酒場へと移動し、大銅貨4枚を支払って朝食を注文する。朝なので周囲に碌な噂話もなく、さっさと食べてダンジョンへ。62層に行ったらワイバーンを5頭狩る。
すぐに脱出してギルドの解体所へ行き、ワイバーン5頭を出したら木札を貰う。いつも通り受付嬢から小金貨5枚を貰ったら全員で分け、俺達は南西ブロックの掃除の仕事を請ける。
南西に移動して兵士の宿舎へ行き、掃除道具を借りたら早速始めよう。排水溝のゴミを浚い、ゴミバケツ用の樽に詰めていく。大量に入ったら町の外まで運んで捨て、再び排水溝を掃除していく。
昼になったら掃除道具を一旦返却し、食堂に行って大銅貨2枚を支払い昼食を食べる。美味しくないけど慣れたのか、皆は黙々と食べて終わらせた。諦めたと言った方が正しいのかね?。
再び南西の兵舎に行き、掃除道具を借りて午後の仕事を開始する。どこまで汚いのかと思うも、排水溝が綺麗になって臭くなくなると感謝を伝えてくれる人も居る。「ありがとう」と声を掛けられると、やる気にもなるものだ。
南西のブロックを終わらせたら兵士の宿舎に戻り、掃除道具を返却して完了のサインを貰う。それを持ってギルドへと戻り提出、小銅貨40枚を中銅貨8枚で貰った。1人2枚ずつで分け、夕食を食べに酒場へ。
大銅貨4枚を支払い夕食を注文したら、周囲から何か面白い話はないかと聞き耳を立てる。
「ちょっと前に話した異界人の事なんだけどよ。ベルッタ町まで来たらしいぜ? 明日にはこの町に到着するんだってよ。何でも10人ぐらいが来るそうだ」
「異界人っていうのは10人ぐらい召喚されたのか? 何か人数が少ない時やら、多い時やらあるらしいじゃねえか。今回はどうだったんだろうな?」
「今回は多かったらしいって聞くぜ? 少ないから強い、多いから弱いとかも無いって聞くし、異界召喚ってよく分かんねえよなー」
「まあ、何でいいさ。アンデッドどもと戦ってくれるならな。この国にも<穢れの森>があるけどよ、あそこをどうにかしてくれりゃあ何でもいいさ」
<穢れの森>ねえ……。召喚者どもはどうでもいいが、アンデッドの情報が欲しいな。今は金稼ぎの最中だからいいとしても、アンデッドを処理するのが俺達の神命である以上、そっちを疎かにする訳にもいかないし。
夕食後、さっさと宿に戻ってゆっくりする俺達。子供達も連日の掃除に疲れているらしくウトウトしているので、背もたれになりつつ腕で抱いて支えてやる。30分ほど経ったらベッドに寝かせ、【昏睡】を使ったら次はフィーだ。
今回はリクエストがあったので叶えると、あっと言う間に撃沈してしまった。体を綺麗にして服を着せたら、部屋と体を【浄化】して、おやすみなさい。
<実験惑星14日目>
おはようございます。今日は最後の掃除日です。ようやく今日で終わりかと思うと……特に何も無いな。朝の日課を終わらせて、紅茶を淹れて飲みつつ思案する。この後はどんな依頼をしようかな?。
朝の静かな時間、ゆっくりと考えても何も答えは出なかった。まあ、依頼を見ていない以上は決められる訳が無い。どんなタイプの依頼かぐらいは決められるが、多いのがアレを取って来い、コレを獲って来いという依頼だ。
そして俺達はランクが低すぎて、そのタイプの仕事は請けられない。そんな話を起きてきた皆としつつ、飲み終わったら後片付けをして宿を出る。酒場へと行き、大銅貨4枚を支払って朝食を食べたら、一路ダンジョンへ。
62層でワイバーンを5頭狩り、ギルドに戻って解体所へ。
「お前さんが連日持ってきてくれる御蔭で、売り上げが凄い事になってるらしくてな。ギルドマスターがやたらに上機嫌だったぞ。ワシらも臨時で手当てが出るくらいだからの、ワイバーン様々だ」
解体所の人達も喜んでいたので誰にとっても良い事なんだろう。受付嬢の所へ木札を持っていき、小金貨5枚を貰って皆で分けたら、最後の南東ブロックへ。兵士の宿舎へ行き掃除道具を借りたら、いつも通りに排水溝の掃除を始める。
掬ってはゴミを入れ、掬ってはゴミを入れ、終わった部分を密かに【浄化】しつつゴミを捨てに外へ行く。再び戻って掃除を続け、昼になったら食堂へ。大銅貨2枚を払って食事をしつつ、周りの話を聞くも、どうでもいい話だったので聞くのを止める。
午後になったので南東の兵舎に行き、掃除道具を借りて続きを始める。今日が最後だからか子供達も張り切って、というか早く終わらせようと頑張っている。町の入り口近くを掃除していると馬車が通り過ぎていったのだが、何か様子が変だったな?。
まあいいかと思いつつ掃除を続け、夕方前には終わった。掃除が完了したので南東の兵士の宿舎に戻り、サインを貰ってギルドへ。入り口の扉を開けようとすると、やたらに大きな声が中から漏れ聞こえてくる。
不思議に思いつつも中に入ると、受付の周りに人集りが出来ていた。そんな中を通らせてもらい、五月蝿い受付の隣に木札を提出する。受付嬢が隣を見ているので咳払いすると、ようやく気づいたらしく手続きを始めた。
「あれっ? スキルも無くて王宮を出されたヤツじゃん。あんた冒険者になっ……あー、そうだ。あんたドブ浚いしてたよな。馬車から見えてたけど、随分情けねえんだなー。ハハハハハ、まあスキルも無いヤツにゃお似合いだ!」
「ショウリ、止めろよ。騎士の人にも言われたろう、スキルだけで強さは決まらないって。使い熟せなきゃ意味が無いって言われたの、もう忘れたのか?」
「ハハハ、忘れてねえって。でもな、無しって事はゼロなんだぜ? 俺達は使い熟せなくても持ってるんだよ、コイツみたいにゼロじゃねえっての! アハハハハ!!」
こいつバカだなぁ、怒る気にもならない。周りの冒険者の表情が見えてないのか? 周囲の多くに喧嘩売ってるっていう自覚が無いんだなー。まあ、どうでもいいけど。それより俺達の報酬、早く渡してほしいんだが……うん? 登録証?。
「はい。依頼を熟されたのでランクが2に上がります。なので登録証を出してください」
「ああ、成る程。了解、了解」
俺達4人の登録証を出して受付嬢に渡す。受付嬢はテキパキと何かを書き換えているようだった。それが終わると返ってきたが、ⅠがⅡになってるだけだ。正しく言うと、線が1本から2本になっただけ。とはいえ、これがランク2の証らしい。
俺達は小銅貨40枚を中銅貨8枚でもらい、全員で2枚ずつに分けてギルドを出る。俺達の報酬の少なさも笑っていたが、本当に頭の悪い奴だ。どんな冒険者だって下っ端の時はあり、報酬が少なくて苦労した時代はある。それを笑っているようなものなんだがな……。
他の異界人からも冷めた目で見られていたが、そんな事すら目に入っていないらしい。まあ、あれじゃあ苦労するだろうが、纏め役の少年はリーダーっぽいから苦労してもらおう。
俺達は酒場に行って大銅貨4枚を支払い、夕食を注文したら席に座る。周囲の話を聞くも、どこも異界人の話で持ちきりだった。……こりゃ駄目だ、食事が終わったらさっさと宿に戻ろう。




