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 この層の魔物は素早く突っ込んで来るようなスキルだったが、他のスキルを使う魔物も当然いるだろう。こうなってくると、この辺りからしっかり気をつけていかなきゃいけない。それでも敵の魔力などを確認していれば、そこまでの危険はなさそうだ。


 適度に猪の魔物を倒しつつ、アイテムバッグに入れていく。虎の方も2頭は収納したが、素材を確認していないので何処まで役に立つか分からない。それでも進む事を優先し、更に先へと進んで行く。


 ひたすら走って60層、ここもボス部屋なので更に先があるのだろう。休憩して準備を整え、そしてボス部屋の中へ。魔法陣が輝いて出てきたのは、真っ黒な何かを噴出する黒いスケルトンだった。……リッチってヤツだろうか?。


 出てきたスケルトンが動き出すよりも早く、一気に【浄化】の権能を使い、俺はスケルトンを【浄化】する。弱体化すれば十分だったんだが、黒いスケルトンはボロボロになり、塵のように細かくなって崩壊。それだけで終わった。



 「浄化だけで終わったね?」


 「そうだね。浄化だけで終わっちゃったし、何だったんだろう? あの骨」


 「あれがスケルトンと言われる、アンデッドなんだが……黒い何かを噴出してたな? あんまり良さそうなモノじゃなかったが、呪いほど酷いものでもなかったし、微妙な感じだなぁ」


 「そうですね。私が言うのも何ですが、呪いというものは、もっとおぞましいものですから。あれが噴出していた黒い物は、差し詰め<負の感情>みたいなものでしょう」


 「でも、邪気みたいなものじゃなかったよ? アンデッドなら邪気じゃないの?」


 「さて……最初の星では邪気だったけど、必ず邪気じゃないとアンデッドにならないとは言えないしなー。呪いのアンデッドも居る訳で、そう考えるとアンデッドはアンデッドとして存在するのかね?」


 「なんだか、よく分かんないね? それより開いたから先に行こうよ。あの黒い骨は強かったのかもしれないけど、アルドにとったらワイバーン? より弱かったんだし」


 「そうだな。さっさと先に進むか」



 初めてアンデッドが出てきたが、ダンジョンで出てきただけだしな。神様に言われたアンデッドじゃない以上、あれを【浄化】しても意味は無いだろう。最初の星のように蔓延している邪気を何とかしろと言われてる訳でも無いし。


 アンデッドの勢力が強すぎるって話だったからなあ。さっきのボスは関係ないだろう。おっと考え事をしてたら野営層についたか。61層も平原と川が……何だアレ? 何か光って浮いてるぞ?。


 光っている物が浮いているので近付くと、それは鍵だった。いったい何処の鍵か分からないが、少なくとも鍵な訳で……。もしかして、此処には誰も来た事が無いのか? だから俺達が鍵を手にした?。


 なんだか嫌な予感がするが、これって絶対に騒がれる案件だよなー。ギルドにも話をしなきゃならないだろうし……面倒臭い事が起きそうだ。俺が悩んでいるので皆が見てきていた。なので心配事を話すと、皆も表情を歪ませる。



 「面倒だねー。でも話しておかないと、後でバレたら怒ってくるんじゃないの?」


 「確実に怒ってくるだろうなぁ。だから面倒というか、鬱陶しい事になるんだよ。今まで誰も到達した事が無いって事は、言い換えれば俺達しか証明出来ないって事だからな。あれ獲ってこいとか、これ獲ってこいとか言ってくるぞ」


 「とはいえ話さないといけないのでは? でないと61層以降の魔物を売る事が出来ません。高値で売れる魔物が現れても、売る事も出来ないという状態になってしまいますよ?」


 「そうなんだよなー。今のところは金を稼ぎたいんで、出来れば高値で売れる魔物を売りたい。しかもここから先は進むのが楽で、高い売値の物が出てくる可能性が高い。その分強いだろうが、俺達にとっては大した強さじゃないだろうしな」



 そう説明しながら、オリジナルの鍵の複製を作っていく俺。皆も俺の手元を見ているが、ワイバーンの骨を【圧縮】して形を真似れば鍵の完成だ。これでギルドに奪われても俺達は鍵を使える。


 【空間把握】を使い、寸分違わず同じ形にしたので使えると思う。鍵の中に特殊な細工があるかもと思って調べたが、そんな物も無かった。ただし変な形をしており、非常に複雑な構造をしている。


 何と言うか、鍵穴に粘土とか詰めて型をとっても失敗しそうな形だ。段々になってる部分とか、内側に返し部分のようになっている場所とかがあって、この構造を知らずに作るのは無理じゃないかと思う。


 これ、オリジナルの鍵が手元にあっても、複製を作るのは簡単じゃないだろう。俺は簡単に作り出せるけど、この星の技術水準が何処までかは知らないが、厳しいんじゃないだろうか。そうなってくると、いつ俺達の下に複製が来るのやら。



 「さっき複製したんじゃないの? 鍵」


 「いや、複製は作ったけどな。実際にこの鍵は秘匿しておくんで、ギルドの奴等に教える気はない。それはつまり、ギルドから複製を貰わないと俺達も61層以降に行けないって事だ」


 「ギルドの人達が複製を作れなかったらどうするんですか?」


 「その時には鍵を俺達に返せと言うさ。手に入れたのは俺達だ、複製が作れないなら俺達に返すのが当然だろう?」


 「そうですね。複製が作れるからこそギルドに預けてある訳で、複製が作れないなら元の持ち主に返すべきです。アルドが先ほど作ったのは預けても返さなかった場合の保険ですよ。取られっぱなしは困るでしょう?」



 そう言われて蓮も納得したようだ。さて、それじゃ62層だけ見て帰ろうか。そう言って62層に踏み込んだのだが、そこは山の地形でワイバーンが飛び回っていた。成る程、そういう層なのか。


 こちらに気付いた1頭が近付いて火の玉ブレスを放ってきたが、【疾風弾】をぶつけて相殺してやった。何発も吐いてくるが、俺はその全てを【疾風弾】で相殺する。腹が立ったのだろう、ワイバーンは急降下してきた。


 俺は皆に指示し、タイミングを合わせて【風砲】を使わせる。下から風の大砲の直撃を受けたワイバーンは簡単にバランスを崩し地面に落下、激突した。そこへ一気に近付き、首を3度切って致命傷を与える。後は放っておけば終わりだ。


 俺は最初のワイバーンを取り出し、その骨を使って大太刀を作り出す。相変わらずだが、刃の長さが矛だと足りないんだ。普通の魔物が相手なら矛で十分なんだが、巨大な相手だと矛の刃じゃ短すぎる。


 適当にと言うと語弊があるが、なかごなどが剥き出しの状態なだけで大太刀としては完成している。俺はそれを持って適当な石を拾い、別のワイバーンにブン投げる。当たりはしなかったが、怒ったワイバーンは俺達に攻撃してきた。


 相も変わらずブレスなので相殺し、急降下中に【風砲】で攻撃して叩き落す。落ちたワイバーンの首を一刀で半分以上斬り裂けたので、物としては成功だろう。とはいえワイバーンの骨はそこまで強くない。これなら超魔鉄の方がマシだな。


 そう思った俺は大太刀を【粉砕】し、粉にして破壊しておく。倒したワイバーンは両方とも血抜きをしておき、アイテムバッグに収納したら脱出する。ワイバーンが飛んでいる山の地形とはいえ、そこまで数が多い訳でもない。


 群れていないので、俺達以外でも戦って倒す事は可能じゃないかな? クランとかがあるくらいだし、人数を掛ければ何とかいけそうな気がするが……。


 大手のクランでも、その程度の実力すら無かったりして。


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