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 夕食を終えた俺達は宿へと戻り、適当な雑談をしている。子供達も今日は遊ばずにダラダラとしているだけだ。お腹が満たされたので既に眠たいのかもしれないが、まだ寝ないで起きているように言う。


 食後30分も経ってないので寝るには早い。そう思っていたのだが、どうやら眠たい訳ではなくボーッとしたいだけらしい。同じ遊びをしていても飽きるからだろう。かといって面白い遊びなど、そうそうある訳でもない。


 適当な雑談をしつつ、子供達は魔法の使い方を復習している。魔法の使い方1つとっても感覚によるところは大きいし、その感覚は放っておくと鈍る。なので基本的な魔力の使い方から、何度も確認していく。


 悪い暇潰しではないので間違っている箇所を指摘し、フィーにもやらせて子供達との違いを認識させる。間違いなくフィーよりも子供達の方が上なので、子供達よりもフィーに対する指摘の方が多くなる。


 そうやって看ていると眠たくなってきたのか、子供達は自分で布団を敷いておいたベッドに行き倒れこんだ。どうやら思っている以上に眠たかったようだ。そのまま2人に【昏睡】を使い深く眠らせ、フィーも撃沈して寝かせる。


 部屋と体を綺麗にしたら、おやすみなさい。



 <実験惑星7日目>



 おはようございます。今日は31層に飛んでから先へと進みます。この星では途中の層から始められる。それは良いんだが、逆に言えばそれだけ最奥までが遠いという事じゃないのか? という予感がどうしても拭えない。


 最奥が70層とか80層なのは止めてほしいというのが本音だ。流石にそこまでなら、もう1つ途中から始まる転移紋が欲しいところだが、ギルドマスターの感じからすると、多分そういうものは無いんだろう。つまり途中に飛ぶ転移紋は1つだけ。


 まあ、今まで見つかっていないだけの可能性もあるし、怪しい場所に目星はついているのかもしれないが、そんな印象の言葉は無かったしな。だから無いんだろうと思っている。そもそも鍵の掛かった扉というのも不思議な話だし。


 朝の日課を終わらせて神水を飲んでいると、子供達が目を覚ました。そのすぐ後にフィーも目覚めたので、珍しいなと思いつつ見送る。再びボーッとしつつ適当な事を考えていると戻ってきたので、神水の樽を出しておいた。


 子供達は適当に柄杓で掬ってコップに入れ、飲みつつも話をしていく。今日の予定がダンジョンだと分かっているので、何処まで行くのかが聞きたいらしい。



 「先へと進んでいく事になるが、それは良い値段で売れる魔物が居る場所までだな。最奥まで行っても良いが、それ1度で構造が変わったりすると面倒なので、高く売れる魔物が居る層でお金を稼ぎたい」


 「つまり、高く売れる魔物が居たら、そこで留まるってこと?」


 「そうだな。そもそも神様からの命はダンジョン攻略じゃない、アンデッドの勢力が強すぎるので、それをどうにかする事だ。ただ……どうにか、の部分が分からん。アンデッドを倒せ、とは言われてないんだよ」


 「………そういえば、そういう風には言われてませんね? アンデッドを殲滅してくれとも、全て浄化しろとも言われてませんし。そもそもアンデッドの勢力って何でしょう?」


 「俺は多分だけど、リッチのようなのが現れて統率してるんだと思う。リッチというのはスケルトン、つまり骨だけのアンデッドだ。普通なら骨だけなんてあり得ないんだが、スキルのある星だ。あり得るんじゃないかと思ってる」


 「その骨だけの魔物、アンデッドが他のアンデッドを統率している……と? 仮にそんな事が出来るなら、確かに勢力と言えなくもありませんね」


 「ノーライフキング。不死者の王と呼ばれる存在も、想像上は居た。それが本当に居る可能性がある訳だが、まあ権能で【浄化】すれば終わるだろう。なので、ここで最優先なのは、これから先の為のお金稼ぎだ」


 「それで、お金を稼ぐ必要があるんだね。高く売れる魔物かー、それ以前に防具が無いからアーマーベアかな? それともそれに近い魔物がいいね。手袋がないから槍を持ってると滑る事があるし」


 「その滑るのを利用できそうではあるけど、突く時に滑ると刺し難いんだよね。力もあんまり篭められないし」



 子供達も指貫グローブに慣れているからなぁ、無いと戦いにくいのか。分からなくはないが、あまり頼らせるのもよくないので、このまま練習として続けさせた方が良いな。そろそろ宿を出て朝食に行くか。


 部屋の中を片付けたら宿を出て酒場へ。大銅貨4枚を支払って注文し、朝食が運ばれてくるまで待つ。特に聞くべき情報も聞こえてこないので、食事を終えたらさっさとダンジョンへと移動。迷宮紋から中へと入る。


 1層の北西に行き【探知】と【空間把握】で調べると、魔力が集まっている箇所を発見。そちらへ進むと扉があったので、鍵で開けて中へと入る。鍵を閉めておいた方がいいと思って待っていると、扉が閉まると同時に鍵が掛かった。


 ガチャンと音がしたので間違い無いと思い、ドアノブを捻るも扉は開かなかった。驚きつつも俺達は奥へと進み、転移紋に乗って31層へ。着いたら昨日使った転移紋の場所へ行き32層へと進む。


 塩も魚醤もあるので海の地形に留まる必要も無く、一気に走って行って33層へ。移動を優先し、先へと移動する事だけを考えて36層。そこは草原であるものの、大きな猪と大きなネズミがいる層だった。


 体高2メートルの猪と、体高1メートル50センチのネズミだ。正直サイズ感を間違えてないだろうか? 何でも大きくすれば良いってものではないと思うんだがなぁ……。それはそうと、ここもさっさと過ぎよう。


 猪は突進してくるが、落とし穴に落としてやれば動けない。ネズミも同様だ。体が大きすぎて身動きが取り辛いという、何とも言えない奴等。考えれば分かるが、そんな大きな体をしていたら、その分の体重を支えるだけでも大変なのは当然だろう。


 ワザとそうしてあるのかもしれないが、となると素材として良くない。単に大きいだけで、皮や肉の価値は低いだろうと想像がつく。なので落とし穴に落として放置し、先に進んでいる訳だ。


 そう説明すると、子供達もフィーも納得していた。そのまま駆け抜けて40層。大きな二足歩行の獣。見た目はコボルトって感じだが、大きくて筋骨隆々なのでコボルトキングとかだろうか? 身長は2メートルちょっとある。


 あれぐらいが一番素早くて大きいんだろうな、コボルト系としては。そんな事を考えていると結構な速さで突っ込んできたが、相手が視認出来ない速度で矛を突き出し、心臓を串刺しにしてやった。仮称コボルトキングは何をされたかも分からず、血を噴出させながら死亡。


 俺達はさっさと先に進んで転移紋に乗り41層へ。再び平原と川の野営層のようだが、誰も居ないようだ。俺達の移動が速くて、他の冒険者を追い越してしまったのかもしれないな。そう思いながら、先へと進む。


 42層に到着すると、そこは森で巨大な蜘蛛の魔物や蛇の魔物の反応があった。俺達は森の木々に姿を隠しつつ、魔物をスルーして先へと進む。大きいだけで大して役に立たなさそうな素材なので、わざわざ倒す気にもならない。


 そのまま転移紋へと進んで行き、一気に先へと進み46層。ここからは湿地帯のようだ。面倒ではあるものの、出てくるのは巨大なリザードマンとトカゲだ。騎獣っぽい感じで乗っているが、別に足が速くもない。


 上に乗っているリザードマンが重いんだろう、その所為で鈍重にしかなっていない。俺達はそれを無視して走り、一気に転移紋へと向かう。普通の冒険者は戦うしかないのだろうが、俺達は身体強化で走っている。なので魔物よりも速いのだ。


 結果として、鈍重で俺達に追いつけないという、悲しい存在でしかなかった。


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