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 冒険者ギルドを出た俺達は、酒場へと移動して小銀貨1枚分の注文をする。31層以降、魔物の強さが大きく変わると言っていたが、そこまで大きく変わるのかは知らない。少なくとも今までの星のダンジョンよりは緩やかな感じはする。


 1層1層が小さいから、その分最奥までが長いのかもしれない。そんな事を子供達やフィーと話しつつ食事をし、終えたら宿へと戻る。その最中に後ろからつけてくる奴等が居たが、俺達は気付かないフリをしつつ戻った。



 「後ろからつけてくる人達が居たけど、あんなのがバレてないって思ってるのかな? 周りの人達だって怪しそうに見てたよ? あれってワザと……じゃないよね」


 「どう考えてもワザとじゃないと思うよ? だってまともならバレバレの尾行の段階で止めるよ。それでもつけてくるんだから、本人達はバレてないって思ってるんじゃない? そもそもバレバレの尾行なんて、やる理由が無いし」


 「確かにそうですね。何らかの圧力を加えるのであれば分からなくもありませんが、そもそも誰かと揉めてなどいません。そういう意味ではバレバレの尾行などをする必要性がありませんので、圧力などは除外できるでしょう」


 「結局は欲に駆られたマヌケってところじゃないか? どのみち襲ってきたら聖人にするんだし、俺達にとったらどうでもいい連中というだけだ」



 子供達とフィーはトランプで遊びながら話しており、俺は【探知】と【空間把握】で調べながら話をしている。宿の近くに尾行していた連中は居るんだが、姿を隠しながら宿の方をチラチラと見ている。まだ早いとでも思っているんだろうか?。


 子供達が舟を漕ぎ始めたのでベッドの上に布団を敷き、そこに子供達を寝かせて【昏睡】を使う。【房中術】のみでフィーを満足させたら、同じように布団を敷いて寝かせる。部屋と体を綺麗に【浄化】したら、おやすみなさい。


 ………予想通りに侵入してきたか。目が開いた俺は【探知】と【空間把握】を使い、宿に侵入者があった事を把握。何故か一直線で俺達の部屋へ来たので、扉の前に居る連中を全員【衝気】で気絶させて、部屋の中に引きずり込む。


 枷を2つ着けたら起こして話を聞き、スラムの裏組織の下っ端だった事が分かった。<赤雨>という組織名らしいが、俺達としたらどうでもいい。3つ目の枷を着けて2分待ち、終わったら窓から【念動】で放り出す。


 宿の前の通りに置いたら、改めておやすみなさい。



 <実験惑星6日目>



 おはようございます。今日は31層以降に進む日ですが、休みにしてもいいですね。この星に来てから動いてばかりだし、休みにして色々な買い物とかもするべきかもしれない。どうするかと思いつつ、朝の日課を終わらせる。


 神水を飲みながらボーッとし、子供達が起きてきたので朝の挨拶をしつつ見送る。戻ってきた子供達が出したコップに神水を入れてやり、ゆっくりしているとフィーも起きた。


 部屋の中を片付けたら外へと出て、酒場へと行って小銀貨を支払い、大銅貨6枚のお釣りを貰った。昨日は朝から小銀貨1枚分頼んだが、そろそろ落ち着いてきたし、小銀貨1枚分も朝から食べない。昨日までは値段の高い物も頼んでいたけど、それも飽きたし。


 子供達も似たようなものらしく、酒場では普通の食事をする事にした。それでも1人大銅貨1枚なので、食堂の食事の倍もお金を掛けているけど。とはいえ、これより金額を減らすと食堂と変わらないレベルまで低下するので無理だ。


 値段の高い美味しい物も、食べ過ぎれば飽きるという当たり前の事を思い出した。子供達と話しつつ、今日は休みにして町を見回る事を言い、町をウロウロしていく。子供達と一緒に武具屋を見回り、何か買う物が無いかと探す。


 色々と見て行くが、別に無理をして買う物も無く、それに自分で作った方がマシな物ばかりだ。剣帯だけは全員分を買い、短剣を2本ずつ購入する。合わせて小銀貨3枚でいいらしいので払い、他に買う物も無いので雑貨屋に行く。


 大きな樽があったので2つ購入し、中銀貨1枚を支払って小銀貨1枚のお釣りを貰う。大きなワイン樽と同じぐらいの大きさなので、この金額なのは仕方ない。子供達やフィーもちょこちょこ購入していたので見守り、終わったので食料店に行く。


 探していると大麦を発見したので小銀貨3枚分買い、他にもハーブ類を幾つか購入する。食料店の人が臭い消しなどで使う物だというので購入したのだが、酸味のある爽やかな香りの物と、ミントみたいな香りの物だった。


 前者は煮込み料理の肉の下処理時に使うらしく、ミントっぽいのは好きに使ってくれとの事だった。流石にそれもどうなのかと思うが、新人冒険者が外やダンジョン内で摘んでくるんだそうだ。助ける意味で購入している人も居るらしい。


 ダンジョンはともかく、外に関しては冒険者が魔物を間引いてくれないと困るからであり、新人がバタバタ死ぬのでは話にならないという訳だ。しかも自分達の安全に直結するともなれば、多少は助けてやろうと思うのだろう。


 色々な店を冷やかしてウロウロしていたが、酒屋には酢が無かったし、普通のワインも結構な値段がした。ブドウを育てるのも大変なんだろう、魔物に喰われでもしたら苦労が無駄になってしまうからな。


 他の店も冷やかして歩くが、ついに行く所が無くなってしまった。仕方なく食堂に行って大銅貨2枚で食事をした後、宿に戻って短剣をニコイチにしていく。分解してパーツに分け、超魔鉄にしたら再び戻す。


 後はそれぞれの体に合わせて剣帯を調整したら完成。やる事も無く暇になったので、適当にアイテムバッグの中身でも確認するかな。


 片付けたり、下らない事をしたり、子供達の相手をしていると夕方になっていた。外を確認したら皆で酒場に行き、大銅貨4枚分の食事を注文する。運ばれてきたので食事をとっていると、周りから話が聞こえてきた。



 「昨日スラムで何やら騒動があったらしいぜ? 暴れたヤツが居るらしいんだが、詳しくは分からねえ。女の取り合いか、男の取り合いでもしてたんだろうって言われてるな」


 「よくある事か、それでもスラムの連中は暴れるからなあ。すぐに刃物を振り回すのはどうかと思うぜ。男と女のもつれなんぞ、話し合いでどうにかしろよな」


 「それが出来たらスラムの奴等が嫌われたりしてねえよ。出来ないから奴等は嫌われてんだ」



 まあ、そうだよな。そもそもスラムに居る連中なんて力こそが全て、みたいな部分があるからなぁ。そうでなければスラムで生き残れないしさ。



 「そうそう。どうも国は異界召喚をしたらしいわよ。多くの異界人が城で戦闘訓練をしてるんですって。役に立てば良いんだけど、召喚した後で戦闘訓練をしなきゃいけないぐらいだし、あんまり期待出来ないわよねぇ」


 「それでも戦闘訓練をさせるくらいだから、優秀なんじゃないの。役に立たなかったら放り出すでしょ、普通は」


 「それってどうなの? だって召喚って無理矢理に連れてくるんでしょ? それで役に立たないから捨てるって、完全に犯罪じゃない」


 「「………」」



 まあ、普通に考えて拉致だよな。挙句、勝手に戦闘をさせるとか、その為に訓練しろとか。正直に言って、やってる事はメチャクチャだし、行動はテロ組織と変わらない。人を浚ってきて、訓練させて、戦場に放り込む。


 どっかのテロ組織の場合その途中で洗脳が入るんだけど、やってる事の殆どは変わらない。実際あの王や配下も思考誘導をしてたっぽいしさ。今ごろ彼らは正義の為とか人助けとか言われて洗脳されてるだろう。


 彼等がやる事でも、やらなきゃいけない事でもないのにな。


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