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 お金を払えば美味しいとまでは言わないが、それなりの料理が食べられるらしい事が分かったのがありがたい。酒場は酒を飲む所だと思っていたが、どうもこの国では住み分けが出来ているらしい。


 最初の星と同じく、自分の家で料理をする者は多くないのだろう。薪代などの節約というか、毎日料理をするのもお金が掛かる。こういった時代では庶民が料理をしないのは普通なのかもしれない。


 食堂は安くて量のある料理、酒場は自分の好きなものを注文する。そういう形に分かれているので、食堂の料理はあんなに美味しくないというか、コストを考えた物だったんだなぁ。それでもサラダが付いてただけマシなのかね?。


 コストだけを考えるなら、パンと豆のスープぐらいじゃないの? と思うが、そこは異界人の知識とかが入ってるのかもしれない。野菜を摂らないとビタミン不足で死ぬとか何とか……。ありそうで無さそうな話だ。


 宿の部屋に戻ってきて話をするも、子供達もフィーも分かってないので一応の説明をして話を終えた。わざわざ説明してまでする話でもないし。それよりも、明日からお金儲けを始めるので頑張ろう。



 「今日と同じ所まで行くの? トカゲと猪は中銀貨で売れてたけど……」


 「ロックリザードとファングボーアね。それよりも更に奥に行くのかもしれないよ? だって金貨で売れる魔物が居なかったからね。アーマーベアだって金貨で売れるのに」


 「その魔物はそれだけ強いのでは? アーマーと名前に付いているくらいですから、相当防御力が高いのでしょう。それほどの魔物と言いますか……武器が強力すぎて何とも言えませんね」


 「超魔鉄だからね。でも竜の骨とか、神の金属とか。凄い武器の元は他にもあるけど、そこまでのが無くても勝てるから要るのかな?」


 「呪われた竜とかドラゴンが出てこなければ問題無いと思うけど、呪われてるのならアルドさんが浄化すれば済むんだよね。倒せない訳じゃないから大丈夫かな」


 「強力な魔物が居ても、それぞれに対処するしかないだろう。強いて言えば、武器で駄目なら魔法で対処だな。高位魔法なら何とかなるだろう」



 子供達も高位魔法を使うと聞くと納得したようだ。それにしても当然とはいえ、毎回あそこまで走って行く必要があるのは面倒臭いな。スキルなんていうものがある星なんだから、奥まで飛べる転移紋ぐらい用意してほしいもんだ。


 子供達とフィーの<七並べ>を見つつ、そんな下らない話をする。子供達も簡単に奥へ行けると便利だと言っているが、今までの星にはそんなものは無かった。なので、この星にも無いだろう。


 アイテムバッグに残っていた綿布を使い、中にハゲタカの羽を入れて布団を作る。沢山手に入れておいたので加工して破らないようにしてから詰め、それぞれの布団を作ったら敷いていく。


 ベッドに敷ける大きさでしか作っていないので、1人1つずつだ。子供達は自分のベッドに敷き、その上に寝転がって喜ぶと寝始める。どうやら、ちょうど眠たかったらしい。


 フィーがジッと俺を見てくるので子供達に【昏睡】を使うと、早速脱ぎ始めた。その姿を見ていると、最初の星の女性陣と何も変わらないなとしか思えない。懐かしさを感じるも、同時に溜息を吐きたくもなる。大変だったし。


 フィーを満足させて寝かせたら、部屋と体を綺麗に【浄化】する。これでやっと俺も寝られるな。それじゃあ、おやすみなさい。



 <実験惑星5日目>



 おはようございます。今日もダンジョンでお金稼ぎです。昨日行った所までは転移紋の位置が分かっているので、身体強化を使えば簡単に辿り着ける。この星ではアイテムバッグも知られているようだし、量が多くても不審がられない。


 代わりに大量に持ちこむなと昨日言われたが、その辺りは仕方ないだろう。解体するにも限度があるし、俺達が持ち込んだ物だけを解体する訳じゃないしな。安い肉の魔物も必要だし、高く売れる物も必要だ。


 大量に持ってくるなと言われた以上は、単価の高い魔物を狩ってくる必要がある。そしてそれをするなら、もっと深く潜るしかないな。少なくとも、お金を稼がないとアンデッドと戦う事も出来やしない。


 朝の日課を終わらせて、神水を飲みつつ考えているとイデアが起きたようだ。部屋に戻ってきたイデアと話していると蓮とフィーが起きたので挨拶し、戻ってきた2人の準備が終われば宿を出る。


 酒場に行って小銀貨1枚を支払い、朝食を食べたらダンジョンへ。迷宮紋から入って走って行く。いきなり走り出した俺達にビックリして身構える者達も居るが、俺達はスルーして転移紋へ。


 身体強化で走り続けて10層のボス戦。オークをブチ殺したら進み、ひたすら走って行く。一気に進んで20層、赤い狼を始末したら先へ。野営層を無視して進み、昨日と同じ岩場の層へ。ここのトカゲと猪は倒していく。


 それでも進路上のものしか倒さず、更に進んで行って30層。休憩してから入ると、魔法陣が地面に現れボスが出てくる。そこから現れたのは、空を飛ぶ大きな魚が10匹だった。これがボスか?。



 「皆、空を飛ぶ魚という訳の分からん生き物だが注意しろ。何をしてくるか分からない」



 皆もかなり戸惑っているみたいで返事が無い。大きさとしては鮪ぐらいの大きさだろうか? かつてニュースで見たことのある大きな鮪、あれぐらいの大きさをしている。空中を泳ぐという意味不明な状況だが、どうやら戦闘開始のようだ。


 空飛ぶ魚に魔力が集まり、【疾風弾】を使ってきた。魚なのに【風魔法】とは? と言いたくなるが、そんな事を言っている場合じゃない。空中を自在に飛びながら魔法を放ってくるので厄介なうえ、飛ぶ速度が速いんだ。


 その所為で迎撃が難しい。子供達やフィーにも言い【風砲】で一斉に攻撃すると、空飛ぶ魚はバランスを崩して落ちた。その隙を見逃さず、俺は矛で魚の頭を落とす。どうやら空飛ぶ魚の倒し方はこれで良いらしい。


 倒し方さえ分かればこちらのものだ。子供達やフィーに【風砲】を撃ってもらい、俺は落ちた魚の処理をしていくだけ。全て捌いて収納したら、あっさりと開いたので先へと進む。次は31層だ。


 このダンジョンは1層が狭いから早く進めて助かる。そう思いつつ31層に向かうと、ここも平原と川が流れる層だった。どうやら21層と同じく野営層らしい。数は少ないが人が要る。


 俺達もここで昼食にしようかと思ったら、女性が近付いてきて話し掛けてきた。俺達にいったい何の用だ?。



 「貴方達はそっちから現れたのよね? となると初めてこの層にやってきたのだと思うけど、どうかしら? ああ、私はクラン<紅の旋風>のティーリマよ」



 女性が自己紹介してきたので俺達も自己紹介をしておく。それよりも話し掛けてきた理由はなんだ? 俺達には話す事なんて無いんだが。



 「初めてここに来た者には教える事になってるのよ。一応ね。仲間とは言わないけど、ここまで辿り着けるなら一流と言ってもいいのよ? 貴方達も高ランクなんでしょう?」


 「いや、俺達の冒険者ランクは1だし、少し前に登録したばかりだが?」



 そう言うと女性はビックリして固まってしまった。俺達はそんな女性を気にせず移動し、川の近くで焼き場などを作る。全粒粉と塩と神水を混ぜて練ってもらい、俺はファングボーアを解体して肉を【熟成】する。


 昨日とは違いステーキとして焼こうと思う。調味料は塩しかないが、今のところは諦めるしかないな。塩があるだけマシだと思おう、塩も無かったら悲惨だとしか言えないし。


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