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<異世界97日目>
おはようございます。今日は領都に行く日ですが、王太子の指示次第ではどうなることやら……。それ以前に、アホな貴族が絡んで来そうなんだよなー。近衛はともかく王軍が怪しい。
王軍と言ったところで、上の地位は貴族がガッチリ固めてるんで平民が入るのは無理だ。こういう時代では有能であっても平民だというだけで、絶対に上にはあがれない。
とはいえ、仕方がない部分はある。こういう古い時代では平民なんて教養が無いのが当たり前で、文字すら満足に書けない奴も多く居る。貴族が教育を受けているのもまた事実だ。
流石に計算も読み書きも出来ない奴を、上の地位にあげる訳にはいかないという事情もある。教育にはかなりのお金が掛かる為、地球でも古い時代は一部の人間のものだった。
早く起きたからか、つらつらと下らない事を考えてしまった。そろそろ体を起こして、椅子にでも座ろう。ゆっくり浄水を飲みながら浄化していると、皆が一斉に起きてきた。
「「「「「チュッ! おはよう、皆」」」」」
「おはよう、皆」 「ニャー」 「ガウ」
「今日は珍しく2匹は遅かったみたいだ。昨日早く寝てたと思うんだけど、熟睡出来なかったのかもしれないね?」
「だんだん暑くなってきてますけど、そこまで不快ではありませんし寝心地は悪くないのでは?」
「この辺りは火の季節でも、そこまで暑くはないって聞くわね。中には凄く暑い所もあるそうよ」
「エルダ海洋国の辺りは、火の季節だと凄く蒸し暑いね。帝国だとそこまでじゃないんだけどね」
「私の故郷は火の季節は暑くないのだが、水の季節はよく雪が降る所だった」
「皆が起きたし浄化も終わった。そろそろ食堂に行こう」
そう言って宿の食堂へと移動する。既に起きていたライブルは朝食を食べていた。大銅貨8枚を支払い朝食を食べるついでに、今日の予定も話しておく。ライブルも話したかったらしい。
「実は、昨日のような速度ではセルネットが潰れてしまいかねません。まさか皆様があそこまで速く、体力があるとは知らなかったもので……」
「とはいえ、今日はナイダの村を越えて領都に行くだけだろう? 王太子殿下がどこまで来てるのかも知らないしねぇ」
「王太子殿下は、おそらくまだ到着はされておらぬと思います。もしかしたら、丁度合流する事になるかもしれませんな」
「成る程。それぐらいのタイミングな訳ですね。思っていたより速いのでしょうか……」
「昨日あれほど早く進んだので、少しズレてしまいました。本来ならば王太子殿下が到着された後、再編中に指示を受ける筈だったのです」
「再編って……もしかして伯爵家の軍も入れて行くのかしら?」
「ええ。伯爵家としても先代の事があり、ここで挽回しておかないといけません。折角現在の当主が若い頃武功をあげたのに、それが吹っ飛びかねませんからな」
「そこまでになってたのかよ。まぁ、帝国の搦め手にあっさり乗ったアホだったのは事実だが……。ああ、もしかしたら伯爵家の家中も問題にされてるのか」
「中々鋭いですな。その通りです。特に暗殺組織と組んでいた家臣が居た事が問題になっておりますな。貴族主義だけなら矯正すれば済むのですが……」
「暗殺組織だと、最悪国家転覆までいきかねないって事だな。侯爵家と組んで東西から攻められかねなかった。しかも、当主が見過ごしていたとなれば問題にもなるか」
「それが成功していたら、王都が脅かされたうえ辺境伯は孤立していたね。まぁ、アルドが計画を木っ端微塵に砕いてしまったけど。傭兵に助けられたのも、問題にしそうだね」
「そういうバカな貴族はどこにでも居ますからね。だから頭をカチ割りたいんですよ」
「それは横に置いててくれ。ともかく、そろそろ出発しよう」
強引に話を打ち切り、ロワの村を出発する。あのまま放っておくと、いつまででも喋っていそうだったからな。流石にそれは時間の無駄だ。昨日よりも速度を落として走っていく。
具体的には、セルネットの移動速度に俺達が合わせる形となった。それでも相当の早さで進む事になるのだが、俺達としたら余裕で維持できる速度だ。その速度で領都まで進む。
ナイダの村を素通りして、昼前には領都についた。入り口の新人兵士に挨拶して領都の中に入る。ライブルが言うには王太子は既に到着してるっぽい。その為、伯爵邸に行く事になった。
久しぶりに伯爵邸に来たが、門番が変わっていたりするので記憶と違う。流石に教育されたのか、今回の門番はアホみたいな事をしなかった。そのまま中に案内されて部屋に通される。
「やあ、久しぶりだね。ライブルの依頼を請けてくれて感謝するよ」
「どっちでも良かったんだが、せっかくだから請ける事にした。それは良いとして、なんで第三王女まで居るんだ?」
「私の名前はリンデリアです。ちゃんと名前で呼んで下さい!」
「いや、そう言われてもな。どうせ普段から、王女殿下とか姫殿下とか呼ばれてるんだろ? だったら第三王女でも問題ないと思うんだけど?」
「その呼ばれ方が嫌だから言ってるんじゃないかい? アタシ達だって「あの子」としか呼んでないしね。というかこの子の母親だって「あの子」としか呼んでないよ」
「御母様もですか……?」
「そうではなくて、元々貴女の母親を「あの子」と呼んでいたのですよ。その流れで貴女も「あの子」と呼んでいるだけです」
「そういう事でしたか。私が居るのは御母様の代わりに侯爵家を見届ける為です。流石に此度の事は御母様でも止めようがなく、それどころか御母様が陛下に直訴した程ですから」
「あの子がそこまでしたのかい……。まぁ、アンタが侯爵家の血を残してくれる以上は、切り捨てた方が良いのは間違い無いけどね」
「その決断が出来たというのは、かつて助けてあげた時を思い出せば驚きですね。そんな事が出来る程、強くはありませんでしたから」
「話が横に飛んでるぞ。俺達は依頼でここに来てるんだからな?」
「「「ごめんなさい」」」
「さて、では君達への依頼なんだが……。まずは先行して侯爵領の様子を見てきてほしい。我々は明日から侯爵領へ向けて進軍するのだ。なので、君達の仕事は先行偵察となる」
「皆さんの速度であれば何の問題も無いでしょうな。王太子殿下、セルネットなどの貸し出しは必要ないかと愚考致します」
「それでは困るんじゃないのかな? 遅れて情報を受け取っても役には立たないよ。戦時は特にそうだと習ったけどね?」
「いえ、皆様はセルネットより足が速いのです。私が乗っていたセルネットが潰れかねぬ程でございました。実際、ルーデル村からロワ村まで半日と少しで走破しております」
「………予定よりも早かった理由はそれかい?」
「ハッ!」
「………成る程。とはいえ、予定は変えず先行偵察を頼むよ」
「分かった。昼前だから昼食を食べたら領都を出発する」
そう言って、俺達は伯爵邸を出た。王太子と話してる最中ずっと睨んできてるアホが居たが、その場の全員からスルーされてる事にも気付かない程度だ。何となく王軍の奴だと思うが。
そういえば、伯爵家からは誰が出てくるんだろうな? 当主なのか、それともモルガノ君か。これからの事を考えるなら、モルガノ君に手柄を立てさせた方が良いだろう。
まぁ、伯爵家がどうするかは、伯爵家が決める事だな。食事の美味しい小さい宿に行き、昼食を頼んで大銅貨8枚を支払う。食事をしながら、これからの予定を皆で話す。
「まずは領都の東にあるハウの村。その東にあるクレの町。そして南東にある領都グリュウに行く。そういう順番になるよ」
「そういえば侯爵領って、伯爵領に比べて小さいんだな?」
「侯爵領は古くから岩塩が取れる場所ですよ」
「あー、塩を押さえてるのか。それで”侯爵領”なんだなー」
何だか地理の勉強をしてるみたいだな。小さくとも豊かな領地か。アホを育む土壌って言って良いのかね?。
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0190終了時点
大白金貨1枚
白金貨2枚
大金貨14枚
金貨71枚
大銀貨92枚
銀貨66枚
大銅貨261枚
銅貨2枚
ヒヒイロカネの矛
ヒヒイロカネの小太刀
剣熊の爪のサバイバルナイフ
アダマンタイトの十手
二角の角の戦斧
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
剣熊の骨の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
強打猪の革のジャケット
強打猪の革のズボン
真っ黒なブーツ
大型のアイテムバッグ