1907
買うべき物はもう無いので王都の門から外に出よう。東の門へと進んで行き、さっさと外に出る。出る時には調べられる事も無いのでとっとと出たら、少し歩いた後で身体強化をしながら走っていく。
東へと走って行くものの買い物などをしていたからか、そこまで人の数は多くない。既に朝の忙しい時間を過ぎているという感じだ。そのまま走り続け、大きな村のような場所を迂回して進む。
あれが大きな村かと思いながら横目で見つつ、村の外側を大きく迂回して東へ。あの村の名前も知らないなと思いつつ、別に知る必要も無いなと思考を切り捨てて走る事に集中する。前を見てなくて何かにぶつかるのも嫌だしな。
それからも走り、時に休息してトイレを済ませながらも東へと移動を続け、1つ目の町に到着した。まだ昼ぐらいだが、到着できたらしい。元々買い物をしていた所為で遅かったにも関わらず、昼に到着できた。
大凡の町と町の間の距離と、掛かる時間は分かったと言えるかな? 厳密に答えを出さなきゃいけない訳でもないのでアバウトで良いのだが、これで予定を立てやすくなった。と思う。
冒険者の登録証を見せて中に入り、食堂へと移動する。大銅貨2枚を支払って昼食を注文したら、席に座り雑談をしつつ待つ、運ばれてきた料理はパンと肉と野菜入りスープとサラダだった。……またかよ。
しかも王都と味も殆ど変わらないし、具材も……多分だけど変わってないな。何か取り決めでもあるのかってくらいに同じ料理ばっかりだ。どうしても同じにならざるを得ないのか、当たり前過ぎて誰も疑問に感じないのか。
どちらかは知らないが、この程度の料理に金を払うというのも納得はし辛い。まあ、自分で作る面倒臭さの代わりだと言われたら納得するしかないんだが。子供達やフィーも黙々と食べているだけだ。
「ここも同じだったし、美味しくなかったね?」
「そうだね。でも今はダンジョンに急がなくちゃならないし、あまりお金もないから仕方ないよ」
「とりあえず食事はとれるのだからマシでしょう。食べられないよりは良い筈です」
「早急にどうにかした方が良いのかね? とはいえ周りを見渡しても、皆が同じ物しか食べてないしなー」
そんな会話をしながら町を出て、再び東へと走って行く。東に進む馬車などを追い抜きながら進んでいると、冒険者らしき者達が戦っているところを目にした。4人で魔物を追い立てながら戦っており、優勢そうな感じだっと思う。
俺達の速度が速く、戦闘が終わる前に通り過ぎたので結果は分からない。わざわざ【探知】や【空間把握】で調べる事でも無いし、特に興味も無く暇潰し的に見ていただけだ。ついでに近くに生えている木を伐り倒し、丸太にして【乾燥】させたら収納する。
東へと走る事に集中し、また見えてきた村を迂回して更に東へ。夕方前には町に到着した。登録証を見せて町中へと入り、宿を探して町の人に聞く。他に色々な情報を聞きつつ、良心的な宿の場所も聞いたので向かおう。
宿についたら4人部屋を頼み、大銅貨4枚を支払った。町に出て食料店に行き、小麦と塩と野菜などを買い、大銀貨で支払って中銀貨4枚と小銀貨2枚をお釣りに貰った。塩が高いなぁ、小麦は安いのに。
その後は食堂に行き、小銀貨を1枚出して大銅貨6枚のお釣りを貰う。出てきた料理はやっぱり同じ物で、皆も渋々食べたら宿へと戻った。それにしても毎回同じ料理は飽きるな。もうちょっとバリエーションは無いのかねえ?。
皆も愚痴を言っているが、俺はそれを聞きつつボロ武器を分解して精錬していく。次に伐っておいた丸太を取り出し、カイトシールドの形にしたら超魔鉄を被覆して完成。フィーに渡して具合を確かめさせる。
持ち手の所に付けるベルトは、武器の握りの所に使われていた物を流用した。フィーは構えて納得していたので、しっくりくる仕上がりだったのだろう。超魔鉄なので、盾の木材部分はそこまで分厚くしていない。
魔力を流せば十二分に強化されるし、フィーは使徒だけあって魔力も豊富だ。ならばこの薄さで十分だとも言える。残るは俺の武器だけだ。俺はいつも通りに矛を作って終了、残りの素材は鍋にした。
青銅もそれなりにはあるんだが、超魔鉄がある以上は無理に使ったりなんてしない。どうしたものかと悩みつつ、使い道を考えるも無いのが現実だ。結局困った俺は適当な武器にしてしまい、明日はそれを売ってから出発する事に決めた。
やっと全て終わったと思ったら、子供達は既に寝ていた。ベッドに寝かせて【昏睡】を使い、今日も脱ぎ始めたフィーを【法悦】と【至天】のコンボで沈める。部屋と体を綺麗に【浄化】したら、俺も寝よう。おやすみなさい。
<実験惑星3日目>
おはようございます。今日も東へと走って行く日です。とはいえ村1つ越えて町に着けば、そこがダンジョンのある町なんだけども。ダンジョン街が大きくなって町になったというのが正しいみたいだ。
この星ではダンジョンの周りに町を作るなんて事を本当にしている。ダンジョンから魔物が溢れたりしないのだろうが、それでもよく住む気になるもんだ。それとも、そこしか住む場所が無いんだろうか?。
朝の日課を終えてウダウダ考えていると、蓮が起きてトイレに行った。戻ってきた蓮のコップに神水を入れてやり、2人でゆっくりと静かな時間を過ごす。
起きたイデアとフィーに挨拶し、宿を出た俺達は食堂へと移動。いつもの料理を大銅貨4枚で食べ、終わったら武具屋へと行き昨日作った武器を売る。剣身やら槍の穂先やらを売り払い、小銀貨2枚と大銅貨12枚を得た俺は雑貨屋に寄っていく。
粘土を焼いて出来た壺を2つ買って小銀貨1枚払った俺は、町を出て東へと進む。皆も壺を買ったのは気になっていたようだが、粘土を焼いただけの壺は土鍋に変えられると言うと納得したようだ。
町を出て東へと走って行き、途中でウサギの魔物を2匹ほど倒し収納した。そのまま村を通過して走り続け、途中で止まり、焼き場などをを作る。全粒粉と塩と神水を練って生地を作ってもらい、その間にウサギの解体を済ませた。
ウサギ肉を【熟成】した後、野菜と一緒に塩で炒めて完成。生地が出来ていたので丸太で蒸篭を作り、何故か持ってこれた麻布を敷いて饅頭を乗せたら蒸していく。
少しゆっくりとしつつ、蒸しあがったら皿に乗せて配膳していく。野菜炒めも皿に分けたら、いただきます。
「前の星と違って色々足りてないが、それでも良く分からないスープと野菜だけよりはマシか。早急に魚醤を何とか作りたいが、塩も魚も足りてないしどうしたもんか。味のバリエーションが塩のみは厳しい」
「でも魚がないと魚醤は作れないよね? 西に言ったら魚はあったのかなぁ……」
「確かに南西の端だって言ってたし、西か南だったら海があったのかも。こっちはむしろ海から遠ざかってる。でも南なら大丈夫かな?」
「ダンジョンのある町ならお金も貯められるだろうし、そこで買った方が早いのでは? ダンジョンも魚が獲れる場合もありますし……」
「まあ、そうだな。魚が獲れるダンジョンである事を期待するか」
この星のダンジョンがどんな場所か分からないので何とも言えないが、海の地形や川の地形が在るかもしれない。そこに期待しつつ食事を終えた俺達は、焼き場などを壊して更地にしたら出発する。
周りを通過していく連中に奇異の目で見られたが、俺達は一切気にしていない。ダンジョンのある町はすぐそこだ。さっさと行って早めに宿をとろう。




