1906
近くの人に聞いて食堂に行く。中に入って中銅貨を4枚支払い出てきたのは、パンと肉入りスープとサラダだった。………異界召喚とかしてるから色々な料理があるのかと思ったら普通かい! もう少し頑張れよ!!。
日本人っぽい名前の3人も居たし、異界召喚が町の人に知られてるくらい頻繁にしてるんだろ? それで何でこの程度の料理なんだ? せめてもうちょっと何とかならんのか。パンはちゃんと酵母を使ってるパンっぽいけどさー。
あくまでも、そんなところだ。それ以外は大した訳でも無い。野菜と肉を煮込んだだけのスープは塩しか入ってないっぽいし、サラダと言えば聞こえはいいが、ドレッシングも何も掛かってない。……こんなもんかぁ。
皆も期待外れっていう顔してるし、唯一フィーだけが黙々と食べている。といっても美味しそうに食べてる訳じゃない。まあ、コレじゃ当然だ。王都の料理でコレだから、料理には期待しない方がいいな。それが分かっただけで十分だ。
昼食後、俺達は町の人に話しかけて情報収集を始めた。暇そうな人に話しかけて【白痴】を使い、真実しか喋れなくしたうえで聞いていく。この国は大陸の南西の端にあるらしく比較的温暖な気候で、他の国に比べれば平和なんだそうだ。
異界召喚に関しては庶民ですら知っていて、百年ぐらいに1回しか使えないんだとさ。無理矢理連れて来られた人には御愁傷様って感じらしい。まあ、町の人からすれば権力者が勝手にやってる事だし、関わりが無いと言えばそれまでか。
他の国にも異界召喚をしている国はあるらしいが、そこも百年に1回ぐらいしか使えないらしい。そこまでするくらいなら、この星の奴等を鍛えれば良いと思うんだがな。実際スキルという変なモノがあるんだしさ。
出来ないほどに強いのか、それとも何か出来ない事情があるのか。王都から東西南北どっちに行っても町があるらしいので、まずは東に行こうと思う。町を3つ越えるとダンジョンのある町に着くそうなので、まずはそこで金を貯めよう。
この星では今までと違い、多くの場合、町の間に村は1つしかないようだ。ただしその村の規模は結構大きい。それだけ多くの作物を作ってるんだろうが、その関係上、町の間に村は1つしかない。
良い土地を選定して村を作っているそうなので、距離はそれぞれ微妙に違ってるらしく、行商人なんかは苦労してるそうだ。まあ、到着時間が違うんだから、場合によっては急がないと間に合わないだろうしなぁ。
とりあえず宿に行き、4人部屋を頼むと大銅貨4枚だったので支払う。銀貨は貰ってるが、あまり長くは居られないな。一旦部屋に入り休憩とし、その間に俺は皆の武器を作る。防具は後で良いが武器は早めに必要だ。
買ってきた武具を出した俺は、まず全てを綺麗に【浄化】し、次に鉄を集めていく。中には青銅の物もあったので、そちらも一纏めにしておこう。斧や槍もあったので木材も一つに纏め、最初は子供達用の槍を作る。
いつも通りに鉄を超魔鉄に変え、それを使って槍の穂先を作ったら、槍の柄として作った物に差し込んで固定する。子供達に渡して振らせたが、特に問題はないようだ。一連の行動を見て、フィーは目が点になっているが。
その後はフィーに確認をとったが、どんな武器でも構わないらしい。それが一番困るのだが……どうするかと困っていたら、フィーが求めたのは剣だった。使えるのか聞くと、問題なく使えるらしいので剣を作る。
さっさと作った俺は剣をフィーに渡し、最後に伐採用の斧を作って鉄は終了。木を伐れるならどうにでもなるので、残った青銅で適当に太めの杖を作った俺は、これで武器作りを終える。
「あの、青銅では流石に戦えないのではありませんか? 私の武器は後回しでよかったのですが……」
「俺なら適当な武器でも戦えるから心配しなくていいさ。それよりも片手剣で良かったのか? 一応は要望通りに作ったんだけどさ。左手が空くだろう?」
「元々は剣と盾でしたので、明日出発前に盾を買えば良いと思いまして。それなら剣を作っていただければ十分だと思ったのですが、まさかこれ程の物だとは思ってもみませんでした」
「アルドはいっつもこうだよ? この超魔鉄か、それとも魔物の骨とかで武器を作るから」
「ですね。魔物の骨とかの方が強力な事も多いですし、切れ味もとんでもないのが出来ます。やっぱり魔力と相性が良いと強力な事が多いですし」
「そうですか、色々あるのですね。私の記憶は非常に古い時代で止まっているようです」
「フィーは確かに古い時代に捕まったんだろうけど、人体実験をされてたんだろ? ならある程度の技術力があった筈だ。その後に何千年も呪いを出してたっていうから、その呪いで文明は一度滅んだんじゃないか?」
その後、【呪魂環】を悪用できるまで文明は進み、また後退した。バカバカしいけど、これがあの星の結論な気がするな。ま、今では関係ない星だから、さっさと忘れよう。覚えていてもしょうがない。
夕方になったので食堂に行き、小銀貨1枚を出す。お釣りの大銅貨6枚を貰ったら席へ。出てきた食事は昼と一緒だった。溜息を吐きつつ食事を終え、宿へと戻る。まさか昼も夜も同じ物を出されるなんてな。
子供達も一通り愚痴った後、トランプで遊び始めた。フィーが興味深そうに見ていたが、子供達は巻き込んで一緒に遊ぶ。俺は【探知】と【空間把握】で確認するが、特に異常は無い。ついでに悪意を向けてくる者も無し。
子供達がウトウトし始めてきたのでベッドに連れて行き、【昏睡】を使って眠らせる。……つい、いつもの癖で眠らせてしまった。まあ、やっちまったものはしょうがない。俺もさっさと寝よう。
「って、何故脱ぐ?」
「えっ? 本日も致すのでは?」
「いや、無理にしたりなんてしないし、寝ていいよ」
「私がシたいのですが?」
「あっ、そう……」
何なんだろうね? 昨日の【極幸】と【至天】が効きすぎたんだろうか? 今日も【極幸】と【至天】で撃沈し、さっさと寝かせた。聖人化の作業も無いし、これでゆっくりと寝られる。それじゃあ、おやすみなさい。
<実験惑星2日目>
おはようございます。今日から東のダンジョンに向かって出発ですが、ダンジョンでのお金稼ぎは上手くいくでしょうか? ダンジョンなら肉は溢れてるだろうし、魔物の素材も溢れてるだろう。安値にしかならない可能性は高い。
奥へと進めば利益は出るんだろうけど、どんな所なのか楽しみだ。朝の日課を終わらせた俺は、神水を飲みながら静かな朝を過ごす。
子供達とフィーが起きたので朝の挨拶をし、部屋を片付けたら出発する。食堂に行って大銅貨2枚を支払い食事をしたら、昨日の工房街を見て回る。剣帯を1つずつ買い、小銀貨1枚を支払って大銅貨4枚のお釣りを貰う。
その後は別の店で投げ売りの武器を発見。中銀貨1枚を支払い、小銀貨3枚と大銅貨1枚のお釣りをもらう。全部で38本の投げ売りされたボロ武器を手に入れた。これで自分の武器もフィーの盾も作れるな。
これで買い物は終わりなので俺達は王都を出発し、一路東に向かって走って行く。フィーは身体強化なども普通に使えるので足が遅い訳じゃない。神様連中に叩き込まれたのか、それとも元々使えたのかは知らないけど。
とにかく早く走れるという事が重要だ。道中に出てくる魔物は積極的に狩っていこうと思っていたんだが、俺達の走る速度が速すぎて襲われる事が無い。まあ、楽で良いと言えば楽でいいんだけど……。
お金が少ないのはダンジョンのある町まで我慢するか。




