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 ウェルに魔法の使い方を色々指導していると、子供達も2匹も復習という形で練習し始めた。そのまま集中して練習させていると、遂に眠気に勝てなくなったのか子供達は布団に寝転がる。その後、2匹も子供達の左右に寝転がった。


 俺は【昏睡】を使って深く眠らせ、ウェルも満足させて眠らせたら外へと出てカマクラを閉じる。そして西へと走って行き、ゴブリンの集落を見つけたので真っ白に変えていく。残りの集落は4つだが、この日は2つを真っ白に変えて戻った。


 カマクラに入る前に綺麗にし、カマクラの中に入ったら入り口を閉じる。皆の体とカマクラ内を綺麗に【浄化】したらおやすみなさい。



 『あのー……神酒も飲まずに連れて来られたのですが、これはどういう事でしょうか?』


 『我が少々頼んだだけだ。それよりもお前のアイテムバッグにこの壺を入れておくのでな、上手く使え。【念術】が使えるお前ならば使える筈だ』


 『は? 壺で』



 <呪いの星123日目>



 おはようございます。昨夜眠った後、何故か意識が神界に連れて行かれましたが、そこで壺をアイテムバッグに突っ込まれました。相変わらず問答無用で一方的だなぁ、こっちと長く繋がるのが無理なのかもしれないけどさ。


 朝の日課を終わらせた俺は、カマクラから出て椅子に座り紅茶を淹れる。コップに入れて飲みつつ、アイテムバッグを探ると壺があった。ただしかなり大きい壺であり、壺と言うより水瓶ぐらいの大きさと形だ。


 中に紙が入っていたので取り出して読むと、呆れる言葉が書かれていた。この壺は呪いを集める事が出来るらしく、これに対して念じると周囲から高速に呪いを吸い込むようだ。今頃になってやっと呪いを集める道具かー。


 自分から離して使えとあったので、【念動】で離れた所に置いて【念動】で触れながら呪いが集まるように念じる。すると、驚くほどの速度で呪いが集まり始めた。俺は慌てて念じつつ【浄化】を始める。


 呪いをかなりの速度で吸い込んでいるので【浄化】するのも大変だが、やってやれなくも無い。ただし使うなら【念動】で持ち上げて、自分の上3メートルくらいの高さで使うべきかな? でないと吸い込む呪いに巻き込まれる。


 だからこそ【念力】で使えるようになってるのかもしれない。そんな事を考えつつ、最後まで呪いを吸い込み、終わったらアイテムバッグに仕舞う。何故か壺の色が変わらず白と黒の斑模様のままだったな。


 呪いが無くなったからか空気が綺麗な感じがする中、俺は朝食を作り始める。生地を作り、残っているイエローボアの肉を焼いていき、野菜の準備をしていく。肉と野菜が終わったら生地をチャパティにして焼いていき、挟んだら完成。


 既に全員が起きているので皿に乗せ、配膳したらいただきます。



 「うん、イエローボアでも美味いな。それはともかくとして、昨日眠った後に意識だけ神界に連れて行かれてな、呪神から呪いを吸い込む壺を貰った。朝起きて試したんだが、気を付けて使わないといけないくらいに吸い込む壺だったよ」


 「神様がですか……呪いを吸い込むって事は浄化が大変だから貰えたんでしょうが、今さらと言えば今さらですね?」


 「まあな。もしかしたら壺がないと厳しいくらいに呪いの量が多いのかもしれん。昨日も浄化したが、あれで終わると思えないし、まだ10層にも行けてないからな。先に行ったらもっと厳しいのかもしれない」


 「もっともっと呪いが沢山あって、簡単には終わらないから壺を貰えた? それでも大変だったりして……」



 蓮、そういう事を言うのは止めなさい。本当だったらどうすんだ。皆もそういう意味を込めてジッと蓮を見るが、蓮は目を逸らして逃げた。


 朝食後、準備を整えたらダンジョンへ。昨日と同じく【神聖世界】の準備をしておいて良かった。ダンジョンに入った途端、結構な呪いが近くにあったんだ。今は【神聖世界】で浄化したものの、一日であそこまで呪いが溜まるのか。



 「昨日あれほどに浄化したというのに、たった一晩であそこまで溜まるのか? 昨日よりはマシだが、それでも相当だったぞ。このダンジョンは異常だ」



 俺は皆が驚いたり喋っている間に壺を出し、【念動】で自分の上3メートルくらいまで上げた後、呪いを吸い込むように念じる。周囲の呪いが一気に吸い込まれ始め、俺は壺とその周囲を【浄化】し始めた。


 皆にも周りの呪いの浄化を頼み、効率よく魔法を使う事を練習させる。驚くほどに吸い込んでいくが、途中で吸い込めなくなったので皆と一緒に転移紋へ走って行く。その最中も吸い込み続けたが、呪いの反応は無い。


 相当の範囲の呪いを吸い込む事が出来るらしいのが分かったが、それでも1層の大きさはそれなりにあるので取りこぼしはあるだろう。俺は転移紋の近くで皆を待たせ、層の端まで行ってぐるっと一周してきた。



 「やっぱり端まで行けば取りこぼしがあった。ダンジョン1層の、全ての範囲の呪いを吸い込める訳じゃないらしい。まあ、仕方ないんだろうが、2層からも走り回る必要があるな」



 そんな説明をしてから2層に進み、再び【神聖世界】で浄化したら壺で集める。皆にも手伝ってもらって呪いを浄化したら、再び層の端をぐるっと1周して転移紋へ。待っていた皆と共に3層へと向かう。


 その調子で9層まで進み、そこで昼食と神水の補充を行った。呪いの量は多かったが、それでも昨日浄化しただけマシではあったな。ここからはまだ一度も行っていない場所だ。皆にも声をかけ、覚悟をして進む。


 10層に着いたのを確認したら、すぐに【神聖世界】を使って浄化した。相変わらず真っ黒で辺りが見回せない程に酷かったが、今はある程度の距離を見渡せる。見た感じ荒野だが、何故か妙に空気が乾燥しているな?。


 そこは疑問だが、俺は壺を上に上げて呪いを吸い込みはじめる。一気に、しかも濃い呪いが吸い込まれるので【浄化】するのが大変だった。それでも吸い込む速度と【浄化】速度がギリギリつり合っているので事なきを得たが、かなり危なかった。


 それでも【浄化】していない層でも使える事が分かったのはプラスだ。皆は浄化に必死だったので疲れているが。



 「今思えば、昨日浄化した層はまだ綺麗だったんだな。まさかあんなに濃かったとは。昨日は同じ濃さの呪いだったのでイマイチ分かっていなかったが、浄化している層と浄化していない層の違いは明らかだ」


 「やっぱり背筋がゾワっとする。それに、そんな濃い呪いが動いて近づいて来るって、すっごく怖い」


 「分かる。あれがこっちを襲ってきているように見えて怖いんだよね。実際には壺に向かってるんだけど」



 怖いのは分かるが、それでも使って綺麗にするから諦めてくれ。そう言いつつ転移紋の場所を探して歩く。呪いが綺麗さっぱりなので、転移紋を微妙に見つけ辛くなってしまった。


 今までは呪いが無い方向に行けば分かったんだが、今は綺麗にしてしまっているからな。先に転移紋の位置を探してからの方が良かっただろうか? 後の祭りではあるんだが……あった。


 転移紋にの近くで休憩してもらい、俺はその間に層の端を回り呪いを完全に吸い込んでおく。終わったので皆と合流して11層へ。今度は【神聖世界】を使った後、呪いの無い場所を探して進み、転移門を発見。


 その近くで壺を使って一気に【浄化】した。皆に待っていてもらい、端を回ったら12層へ。これからはこういう形で進んで行く事になるな。


 転移紋の位置さえ紙に記しておけば次から楽だから、最初だけではあるんだが、その最初が面倒臭いんだよなー。それでも諦めて頑張ろう。


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