0018
<異世界7日目>
おはようございます。朝起きたら隣にダナが居るのが当たり前になってきた。こうなると居なくなった時に寂しくなってしまうんだが……。
これはもしかしてダナの作戦か!? 作戦だとしたら半分以上成功してるぞ。どうやらダナは中々の策士らしい。
そんな冗談は横に置いておこう。いつも通り腕枕でダナの感触を感じながら、この部屋にあるもの全てを浄化する。体がサッパリしたからかダナが起きた。
「ん~、チュッ! おはよう、アルド。昨日は頑張ったのに負けちゃったよ。悔しいねぇ……」
「おはよう、ダナ。勝った負けたじゃなく、お互い満足ならいいんじゃないか?」
「そうだけどさ、昨夜【房中術】を少し使えただろ? 今までより満足できたんじゃないかい?」
「そりゃあ、まあ……」
「やっぱり……。上手く【房中術】を使える様になって、必ず満足させてあげるよ」
「まぁ……。【房中術】は気を巡らせるもので……普段の生活でも練習できるから。頑張れ」
気合が入ってるな。案外早くマスターするかもしれない。嬉しい事だがやる気があるし、センスもある。
気を正しく理解できると【闘気術】のレベルが一段あがるから、戦闘にも役立つ。下界の【闘気術】のレベルが分からないが、大体の奴は使える”だけ”だろう。
ダナが自由になったら基礎を教えようか、今よりも強くなれるし。下界の清掃も一人より二人の方が早く進むだろう。魔法があってもマンパワーは重要だ。
口内を浄化して【房中術】の練習を名目に、いつもより長いキスをお互いに楽しんだ。
食堂に行き女将さんに朝食を注文してから、二人でカウンターのいつもの席に座る。
良かった……今日はダナと女将さんは朝のアレな会話をしないらしい。そう安堵していたら……。
「ダナさん、昨日も大満足だったみたいだね!」
「もちろんさ! それより、今日はトーカもずいぶん御機嫌だね」
「ウチの旦那も昨日頑張ってくれたんだよ。やっぱり女っていいもんだねぇ……。旦那は体力なくなっちゃったけど」
「あんまり無理させちゃ可哀想だよ。程々にしてやりな?」
「さすがに長い付き合いだからそこは大丈夫。それより私も痩せないと」
「やっぱり女を思い出すと綺麗で居たいかい?」
「そりゃね、ダナさんは何時も綺麗で羨ましいよ」
「こう見えて苦労はしてるんだ。維持できてなきゃ困るよ」
今日も朝から男が入り辛い会話をしてる。段々これが日常になりそう……。朝っぱらから微妙な気持ちになりながら朝食を食べた。
昨日と同じく熊肉だったので二人分の大銅貨4枚を支払う。食べ終えて部屋へ戻り、装備を着ようとしたらダナから武器作成を頼まれた。
「アルド、昨日言ってた武器。ある程度使いやすい物を一つずつ作って欲しいんだけど、頼めるかい?」
「それはいいけど、メンテナンスを考えると石と木で作った方がいいよ。ただ、石と木の置き場所が無いんだ」
「それならギルドの倉庫を使えばいいさ。訓練場にある大きな方の倉庫を」
「なら森に行って採ってくるよ。大型の荷車借りて行けば一回で済むかもしれない」
宿の前で別れて荷車屋へ行く。大型の荷車を銀貨1枚で借りて森へ行く。この道を歩くのは久しぶりな気がする。もちろん気がするだけだ。
川を遡り都合の良さそうな場所があったのでそこで止まる。周囲を【探知】で調べたが魔物は近くに居ない様だ、今のうちに集めよう。
石を【融合】し【圧縮】して石だけで無理矢理に斧を作り、細い木を伐った。
なんとか伐れたので枝を落とし、枝と木の皮を【分離】で剥がし【融合】【変形】【圧縮】と一気にやる。
できた丸太を【変形】で斧の柄にし石を【変形】して斧頭を作り【融合】。これでちゃんとした石斧の完成だ。
石のみの石斧を【変形】させ石の塊に戻し、どんどんと圧縮された石の塊を作る。……まずは石だけを運ぼう、荷車が悲鳴を挙げそうだ。
身体強化をかけて悲鳴を挙げかけている荷車を牽く。今日は魔物に会わない実にいい日だ!。
……フラグを立てた筈なのに本当に魔物に出会わず帰ってきた。
村に入りギルドへ行く。訓練場に着くと大きな倉庫の前に職員の男性が居たので話しかける。
「ギルマスから、ここを使わせるように言われてる。少し待っててくれ、今開けるよ」
「ありがとう、助かる」
両開きの重そうな扉は大型の荷車がそのまま入れられるくらい大きい。倉庫の大きさは学校の体育館くらいで中は雑多な物が置かれていた。
職員は一応俺の見張りという事だろう。盗みなんてすれば賞金首にされるんだからやる訳がない。
とりあえず倉庫の片隅に石を全て運び倉庫を出た。軽くなった荷車を牽いて訓練場を後にする。ちょっと早いが屋台で昼飯にしようと思い串焼きとナンを購入。
本物ではないが見た目はナンだからナンでいい。薄いけど。地球の人間なんていないから文句は言われないさ。
セットで大銅貨1枚だったので支払う。面倒だったので、ナンで串焼きを挟み串を引き抜いてナンサンドみたいにして食べる。
ナンを半分に折りたたみ中に串焼きの肉が入っている、そんな形だ。俺は誰に説明してるんだろう? そのナンサンドを食べていると屋台のオッサンが話しかけてきた。
「ちょっといいかい? お前さんのソレ売ってもいいか?」
「このナンサンドを? 売るも何も食べてるが」
「そういう意味じゃねえよ! その料理の形にして売ってもいいかって聞いてるんだ」
「あーそういう事? 好きにすればいいんじゃないか?」
「いいのか金を払わなくて?」
「誰かが思いつくだろこんなもの。早いか遅いかだけだ」
「まぁ……こっちは金を払わずに済むなら、それに越した事はないが」
「食い終ったから俺はこれで。料理は勝手にしてくれ」
「ありがとうよ」
屋台のオッサンと別れ、村の門番に登録証を見せて村を出る。再び川の横を遡りながら先ほどの料理について考えていた。
ナンを使って挟んだだけなんだが、ああいう料理ってこの辺りには無いのかねぇ……。サンドイッチは有るっていうのに不思議なもんだ。
そういえば料理で思い出したが、俺は料理の異世界テンプレは今の所やる気が無い。
あれはアイテムボックスとかストレージのようなスキル、またはアイテムバッグがあるから出来る事で、両方無い俺がやる事じゃないし無理だ。
ただでさえ料理は模倣されやすい。その上プロの腕前がある訳でもなく、精々家庭料理レベルだ。つまり明確な差が殆ど無く、模倣されたら有象無象の一人になってしまう。
それが判っているからやる気が無い。個人で作ってもいいが、収納系スキルやアイテムが無いと後の処理に困る。
どう考えても収納系スキルかアイテムが無いと料理は地雷にしかならないので、料理のテンプレは今の所しない。料理を教えるのもイヤな予感しかしないので却下。
そんな事を考えながら荷車を牽いていると目的地に到着した。【探知】で周囲を確認するが魔物は近くに居ない。今日は本当にどうなってるんだ? むしろ嫌な予感がするんだが。
石斧で木を伐り処理して丸太を作る。午前中に一度はやっているので流れ作業の様に作っていく。
黙々とやっていると荷車が再び悲鳴を挙げかける程に積んでいた。流石にこれ以上は積めない。身体強化をかけながら荷車を牽き村へと帰ろう。
「ピィーーーーッ!!」
上空から何かが強襲してきた。斜め後ろからだった為、横っ飛びで回避する。顔を上げて上空を見ると大きな鳥が旋回していた。
襲ってきたのは鳥の様だ、恐らく魔物だろう。旋回していた鳥は急降下してきたが回避する。
相手は自分に攻撃が出来ない。鳥の方はそう考えているのか再び旋回している。しょせん鳥の脳だ、こんなもんだろう。
また急降下してきたので、一番低い所へ来たタイミングで【念動】を使い叩き落す。あっけなく鳥は地面に叩きつけられて死んだ。どうやら首が折れたらしい。
デッカイ鳥なんだがどう見ても燕だ。地球では絶対に見ない大きさで、両翼合わせて4メートルくらいある。
その無駄にデカイ燕の首を落としてから血抜きなどの処理をし、近くの木に絡まってる蔓を使って自分の体に無理矢理括り付けて村へ帰る。
やっぱり襲われたな~と思いながら。
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0018終了時点
金貨6枚
大銀貨1枚
銀貨7枚
大銅貨9枚
銅貨13枚
鋼の短刀
鋼の鉈
鋼の槍
オーク革の鎧
革と鉄の肘防具
革と鉄の膝防具
革と鉄のブーツ