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 「それにしてもオーガ……だったか? 確かに人間種と同じ知恵を持ち、魔物として強い身体能力を持つというのは厄介だな。例え狩人が良い装備を持っていたとしても、あの体の大きさと力の強さで容易く殺されるぞ」


 「オーガが厄介な最大の理由は、罠を使うのと弓矢を使う事だ。人間種と同じ知恵を持って罠を使われると、足を掬われる可能性は十分にある。更にオーガの力で使われる弓矢の威力は、簡単に人間種を殺す」


 「うむむ……私のようにドラゴンであったり、アルド達ほど強ければ問題ないのであろうが、普通の者達ではとても勝てんな。全ての集落がオーガかどうかは知らんが、全てが協力して東を攻めると国が滅びていた可能性すらあるぞ」


 「おそらくは仲が悪いんだろうな。こうやって点々と集落がありながら協力しないところを見るに、おそらくそれぞれの集落で独立し、更には殺し合いもしてきているだろう。よほど強力な力を持つ奴が現れない限り、纏まる事は無いさ」


 「それで東を襲う事はあんまり無いんだね」


 「多分な。食料が無く切羽詰まったら協力するかもしれんが、仮に食料が手に入ったら取り分で揉めるだろうしなぁ。こういった集落単位になっている事からも、仲が悪いのは分かる。仲が良ければとっくにくっついてるだろ」


 「仲が良いなら大きな集落というか村になっている筈で、集落でしかない時点で仲が悪いという事ですね? という事は聖人にしたらくっつく可能性があるんじゃ……」


 「かわりに聖人がくっついても争わないぞ? 俺達が攻略した後、ダンジョン近くに村を作る可能性もある。浄化能力を持ったならダンジョンの中から食料を得るのが一番良いからな。オーガの力なら素手で戦えるだろう。人数も居るだろうし」


 「確かにオーガが沢山いれば、お肉とかいっぱい手に入るね。ダンジョンだから幾らでも手に入るし、そのうち魔物の骨とかで武器を作ってそう」


 「分かるけど、木が伐れるなら棍棒を作るんじゃないかな? アルドさんは密度の高い木だって言ってたから、棍棒としては適していると思う。見た目的にもピッタリだと思うけど、似合いすぎるのもどうなんだろう?」



 言いたい事は分からなくもないが、似合ってるんだから良いんじゃない? そんな事を思いつつ後片付けをし、終わったらカマクラに入る。魔物は居るが特に危険性の高いものは居ないと思われる。魔力や闘気が大きい生物もいないし。


 すのこを敷いて、その上に布団を敷く。子供達は上に座ってダリアとフヨウと遊び始めた。俺は外を監視しつつ、適当にウェルと話したり子供達の遊びに付き合ったりしている。ある程度したら子供達が眠たくなってきたのか、自分で布団に寝転んで寝始めた。


 なので2匹を左右に置いて【昏睡】を使い、深く眠らせたら次はウェルだ。リクエストがあったので好きにさせ、本人が満足したら綺麗にして寝かせる。俺は入り口を壊して外に出たら、硬く閉じて出発。まだ行ってない集落に行く。


 罪を暴く腕輪をし、地図を頼りに進んで集落を発見。【昏睡】で眠らせたら枷を4つ着けて真っ白に変えていく。1つの集落が終わったら次へ。既に終わった集落は地図に印を付けていき、3つの集落を終わらせたらカマクラへと戻った。


 流石に深夜までやる事じゃないので戻った俺は、自分を綺麗にした後カマクラの中に入って寝転ぶ。それじゃあ、おやすみなさい。



 <呪いの星121日目>



 おはようございます。今日は樹海に入って2日目です。昨日は日中に4つの集落、夜に3つの集落のオーガを真っ白にしました。なので残っているのは2つ、そしてダンジョンだ。2つの集落を変えたら前半は終わりとなる。


 正しくはダンジョンの東側に集落が9つ、そしてダンジョンの西側に集落が6つある。西側の方が少ないが、何か理由があるのか偶然なのかは分からない。単に西の方が食料が少ないだけだったりして。


 朝の日課を終わらせた俺は、カマクラから出て紅茶を淹れる。それなりの気温になってきたものの、それでも暑いという程の気温じゃない。この星の夏はそこまで上がらないのか、それともこれからか。


 そんな事を考えつつ、残っていた蟹の身と野菜を炒めて味噌で味付けし、終わったら全粒粉と米粉と塩と水で練っていく。生地が出来たら【熟成】を使い、その後は具を入れながら饅頭を作成し蒸篭に入れる。


 全て完了したら蒸し始め、後は完成を待つだけだ。既に全員起きており、ゆっくりと紅茶や神水を飲みつつ待っている。手伝いは断っているので休んでいてもらった。昨日の夜に3つの集落を真っ白にしてきたと言ったらジト目を喰らったが。


 饅頭が蒸しあがったら皿に乗せ、熱々のうちにいただきます。



 「あちゅ! あちちちち、ふわっ! 味噌の匂い。………あふ、ほふ、美味しい」


 「あつつ、……うん、味噌がちょうど良い濃さで美味しい。野菜の水分が出ても味が薄まってないから、結構濃い目で出来てたのかな?」


 「細かい事は分からぬが、いつも通りの蟹の美味さというだけで十分だ。野菜もちょうど良い感じの柔らかさだし、美味しいという以外に言う事はないな、私には」



 皆が喜んでくれているのは良いんだが、残念なお知らせとして蟹の終了を告げておく。どのみちそろそろ食べきらなきゃいけなかったので都合が良かったのもあるが、終わったと言った時の皆の顔よ。愕然としていたな。


 無い物は無いんだから諦めてもらって、さっさと意識を切り替えてほしいもんだ。朝食を終えたら少しゆっくりし、準備を終えたら壊して更地にし出発。オーガの集落を目指す。


 オーガの集落に着いたら【昏睡】で眠らせて枷を嵌めていき、終わったら【覚醒】を使って起こして次へ。元人間種なので青く光る奴は変えないのだが、青く光る奴は相変わらず居ない。


 この辺りはドーレント王国と同じだが、数が少ないのと日中に皆が協力してくれるので楽だ。さっさと集落2つを真っ白にしたらダンジョンへ。黒い環が地図に描かれているが、それっぽいのは見当たらない。


 そのままダンジョンのある方角へ進んで行くと、迷宮紋を発見した。しかし、その迷宮紋が真っ黒に光っている。そのうえ呪いが漏れ出しているのが目視で分かるほどだ。皆もおぞましさを感じているらしい。


 俺は皆に声を掛ける事もせず、【集中】して目の前の迷宮紋を【浄化】する。樹海の中で全く木が生えておらず、ここだけ平地になっているが、呪いが噴き出しているので生える事が出来ないんだろう。これじゃあな。


 ………自分の意識が戻ってきたので前を見ると、何とか灰色ぐらいの色になり、呪いの噴出は止まっていた。俺が【集中】して全力で【浄化】しても灰色かー。それでも色が薄くなっただけマシなのかねえ。


 子供達も2匹もウェルも、ようやくおぞましさから解放されたのか安堵している。気持ちは分かるが呪いに慣れている子供達や2匹でも駄目か。確かにかなりの濃い呪いが噴出していたが、おぞましさから動けなくなる程だったか?。


 とりあえず迷宮紋の近くに焼き場やカマクラを作り、ここで昼食にしよう。その後にダンジョンに侵入するんだが、入った直後に【浄化魔法】をブッ放した方が良いな。呪いが蔓延している可能性が高いし。


 蓮に麦飯を、イデアにはスープを頼み、ウェルにはサラダを頼む。俺は皆を手伝いながら、時間が来たので竜の肉に香辛料を付け、塊のまま焼いていく。竜肉の塊を出した途端、子供達も2匹も大喜びだ。久しぶりだからな。


 気合いを入れて、集中して火加減を調整する。一瞬たりとも見逃さず、最良の火加減で焼き上げよう。


 ……地味に俺のテンションも上がってるなぁ。


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