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 皆が起きてきたので布団などを片付け、紅茶を飲み終わったら食堂へと移動する。大銅貨3枚で朝食を食べたら宿へと戻り、少し皆と雑談したら、おやすみなさい。


 ………蓮が起こしてくれたようだが、少し前まで寝ていた顔をしてるな。そう思いながら部屋と体を【浄化】して綺麗にする。皆と話すと。昼過ぎから蓮は俺の横で寝ていたらしい。布団の方が体が痛くならなくていいだろうに。


 起きて神水の樽を取り出し、コップに入れて飲む。蓮にも入れてやり水分を補給したら、部屋を片付けて食堂へ。大銅貨4枚で食事をするも、朝と同じで聖人だらけなのでさっさと宿へと戻る。



 「ここアリホム町が終わったらドーレント王国は終了だが、この国には2度と来たくないな。聖人だらけの国というのは怖ろしすぎる。西の樹海の蛮族どもも同じにせざるを得ないんだけどさ」


 「樹海なぞ一度抜けたら2度と入る気はあるまい? そもそもダンジョンで移動できるのだから、わざわざドーレント王国や樹海に来る意味があるまい。仮にこの国に来るとしたら香辛料の種を貰うくらいか?」


 「聖人ならくれそうですけど、握手したり拝まれたりとか凄く面倒臭そうですよ? ボクはゴメンですね」


 「蓮もイヤ。聖人に関わるとおかしくなっちゃうかもしれないし、関わりたくない」


 「まあ、関わる理由が無いから、関わったりなんてしないさ。ようやく聖人どもから解放されるしな。後は樹海の蛮族のみとなれば、そこまで大きな苦労も面倒臭さも無いだろう。集落という事は100人~150人ぐらいだろうしな」


 「その程度なら一晩で終わるだろう。200人ぐらいになると大変だろうが、樹海にそこまでの集落を作る事など無理だろうしな」



 話しているとダリアがトコトコ歩いてきたので相手をした後、神獣の毛のブラシでブラッシングを始めた。ダリアはいつも通り撃沈し、寝息を立て始めたが納得するまでブラッシングを続ける。


 終わったらフヨウ、イデアと続け、最後に寝ていた蓮を梳く。眠った2人と2匹を布団に寝かせ、【昏睡】を使って深く眠らせたらウェルの番だ。襲ってきたウェルを返り討ちにしたら綺麗にし、服を着せて寝かせブラシで綺麗になるまで梳いたら終了。


 部屋と体を綺麗に【浄化】したら、最後の聖人化に出発する。隠密の4つの技を使い、赤く光る者を聖人化していくのだが、残りは多くなく簡単に終わっていく。


 残りは大きな屋敷1つとなり、俺は中に居る者を全て聖人へと変える。特に聞く事も無い為ひたすら3つ嵌めては2分待つ事を繰り返し、終わったら宿へと戻る。罪を暴く腕輪を確認するが、赤く光る者は居ない。


 やっと終わったと思うも、自分の体を綺麗にしたらさっさと部屋に戻り、ベッドに寝転ぶ。疲れたという事もあり、自分に枷を1つ着けたら、おやすみなさい。



 <呪いの星120日目>



 おはようございます。今日は休養日であり、ゆっくりと休みます。苦労に苦労を重ねてやっと終わったのだから、1日ゆっくりしたいというのが本音だ。いや、本当に大変だったんだよ。冗談でも何でもなく。


 朝の日課を終わらせて紅茶を淹れ、飲みつつボーッとする。この優雅な時間を堪能できるのが本当にありがたい。ここ最近は夜に聖人化していたので、朝は眠たくて仕方なかった。幾ら神様が降臨する際の肉体だと言っても限度はある。それを超えると眠たいんだ。


 流石に起き続けても問題ないような肉体はしていない。神様の使う肉体とて限界は設定してある。っと、下らない事を考えていたらダリアが起きたようだ。今日も早く起きてきたが、何かあったのかね?。


 神水を出したら飲み、今は足下で丸まって寝てしまった。俺は気にせず静かな朝を堪能し、起きてきた皆に挨拶する。トイレから戻ってきた皆が紅茶を入れ、話し始めたのだが、どうも予定が変わりそうだ。



 「アルドの体が大丈夫なら今日出発したいのだが? 申し訳無いが私達はとっくに飽きているのでな。この町に見るべき所など無いし、町には聖人しかいない。表を歩く事もできん町に居てもな」


 「あー、成る程。皆ならそうなるか。俺は夜中に聖人化ばかりしていたから知らなかったが、流石に皆が飽きてるなら進もう。言われてみれば、聖人ばかりの町では休むに休めないだろうしな」



 蓮とイデアも賛成のようなので、さっさと町を出る事にしたのだが、その直後いきなり頭の中に声が響く。



 『貴方が【呪魂環】のあった場所に行くのは問題無いのですが、少しこちらも見る事が出来たので貴方のアイテムバッグに紙を入れておきます。私達に見えたという事は【世界】が貴方を巡らせたいのでしょう、ですから回りなさい』



 そう一方的に言われ【念話】は切られた。俺は皆に【念神】から【念話】があった事と、俺のアイテムバッグに紙が送られてきた事を伝える。アイテムバッグの中を調べると、確かに中には知らない紙が入っていた。


 それなりに大きな紙だが開くと、この町が右端に書いてあり、簡易な地図が描かれていた。それは良いのだが、真ん中にあるこの真っ黒な環。これが【呪魂環】のあった場所だろう。そしてダンジョンと書かれてる。マジかー。



 「どうやら【呪魂環】があった所は現在ダンジョンになっているようだな。ここに呪いが封じ込められていると考えて間違いなさそうだが、それだけに怖ろしい。いったいどれだけの呪いが封じ込められているのやら……」


 「考えたところで意味は無いだろうが、考えたくないほど溜め込まれているだろうな。それでも行って【浄化】するのが俺の仕事だ、しっかりと【浄化】しに行くしかない。行けと言われた以上は突破できるんだと思う」


 「他にも丸が書いてある所が幾つかあるけど、これって集落? とかいう場所かなー。それとも行かなきゃいけないところ?」


 「多分だけど集落じゃないかな? ここに行っても聖人化するだけだから、近くにカマクラを作って見つからないようにした方が良いかも。蛮族っていうくらいだから、いきなり襲ってくるかもしれないし」


 「あー、確かにな。その可能性は十分にあるか。村人なんかと一緒にする訳にはいかないな。一方的に殺しにくる可能性もあるし、中には人肉を喰う部族も居るかもしれん」



 蓮とイデアは「ギョッ」としたが、かつての地球にも人肉喰いの部族などは居たからなぁ。俺が生きていた時代にも居たのかもしれないが、俺は詳しくないので分からない。まあ、分かりたくもないというか、知りたくもないのが本音だ。


 そんな事を考えつつ後片付けをし、すべて終わったら部屋を出て、宿の従業員にキャンセルと返金不要を言って出る。食堂に行って大銅貨3枚を支払い、朝食を注文したら席に座る。周りには聖人しかいない。


 居心地の悪いまま食事を終え、退散するように町を出る。門番には名残惜しそうな顔をされたが、俺達は全く名残惜しくない。さっさと西へと走って行くと、久しぶりの速い移動に子供達は楽しそうだ。


 最近はゆっくり歩いて移動し、魔物を白くしてばかりだったからなー。そう思いつつも木々の群れという森に突撃していく。近付くと分かるが15メートルから20メートルくらいの太い木が乱立している森だった。


 これだけ高い木が聳え立っていたら、そりゃ呪いだと言いたくもなるだろう。【空間把握】を使って分かったが、密度も尋常じゃない木だ。硬くて切れないんだろうな。そりゃ呪われていると怯えるだろうさ。



 「そこまでなのか?」


 「そりゃドラゴンのパワーがあれば伐れるだろうがなぁ……」


 「成る程。私達ぐらいのパワーがなければ伐れんのか。それは硬いな」



 うん。よく考えればドラゴン並のパワーが要るって、結構とんでもないな。


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