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 <呪いの星111日目>



 おはようございます。今日はダンジョン攻略1日目ですが、一度で攻略できるとは思っていません。昨夜は十分に休めたので体力も問題無いし、眠たさからの失敗なんて事も起きないだろう。体調が悪いと妙な失敗をしかねないからなぁ。


 ダンジョンの攻略に慣れているとはいえ、余裕は隙にもなるので十分気をつけよう。朝の日課を終えて、紅茶を淹れつつも久しぶりのダンジョンに気を引き締めていると、蓮が起きて部屋を出た。今日は早かったな。


 紅茶をコップに入れて飲んでいると戻ってきたが、久しぶりに俺の膝に座り紅茶を入れ始めた蓮。危ないので鍋を【念動】で支えてやりつつ、紅茶を入れるとハチミツを溶かす。後はいつもと同じく「ふーふー」しながら飲んでいる。


 会話は無いものの静かな時間を過ごしていると、ダリアが起きてきたので神水を水皿に入れてやった。半分ほど飲んだダリアは足下で丸まって二度寝を始め、そのタイミングでフヨウが起きてきた。


 ダリアの残した神水を吸い上げたフヨウは、椅子の足から俺の首まで上がってきて、いつも通り巻きついたら力を抜く。2人と2匹でゆっくり過ごしているとイデアが起きてトイレに行き、その少し後にウェルも起きた。


 2人が戻ってきて紅茶を入れたタイミングで話しかけ、今日のダンジョン攻略を再確認しておく。要するに久しぶりだけど無理しないように、という事だ。1度で攻略出来ればいいが、焦って怪我をするのもバカバカしい。



 「まあ、それはな。とはいえアルドの言う通り、久しぶりだとその辺りの感覚を忘れているかもしれん。ここ最近はアルドが聖人化する事ばかりだったからな。私達は宿で休んだりしているだけだったし」


 「仕方がないとはいえ、後は村2つと町1つで終わりだ。それ以降は樹海に入るからな、集落だって言うなら数は多くあるまい。それにしても30年で埋めつくす程の呪いの樹木なぁ……」


 「呪いの樹木と言っているだけで、本当は曲がりくねってるだけだったりして。頑丈で曲がってたら呪いの所為って怖がるかもしれないよ?」


 「呪いそのものを怖がってると、その可能性はありそう。怖がってると関係無いものまで呪いの所為って言い出しかねないし」



 確かにな。そう思いながら部屋の片付けを行い、終わったら食堂へ。大銅貨3枚を支払って朝食を注文し、食事を終えたらダンジョン街へ。迷宮紋の前で待っていると、首から上が牛の女性が横に居た。


 俺達というより俺に頭を下げた後、首から上が可愛い系の女性に変わり、もう一度頭を下げた後で去っていった。俺も皆も驚きながら見送る事しか出来なかった。どうやらあの女性も、呪いの姿と普通の姿に変えられるらしい。


 驚きから立ち直ってダンジョンに進入し、1層目を確認すると荒地だった。周囲に牛の魔物とか、鹿の魔物とかが見えている。食堂の食事に肉が多い理由がコレか。俺は呪いの無い方角を調べ、そちらへと皆で走って行く。


 転移紋を発見したので2層へ、次の2層も直ぐに見つけて3層へ。そうやって進み10層に到達。そこは川の流れる草原であり、ちょこちょこと野菜類も見える。僅かに出回っている野菜はこの地形の物だったようだ。


 呪いの無い場所を調べ、そこにある転移紋で更に先へと進む。ここでは多少の人が居るので水を補充できない。どんどんと進んでいき、19層に到着。人間種の気配は欠片も無いので、ここで神水を補充し、ついでに早めの昼食をたべよう。


 神水を樽に補充して満タンにした俺は、蓮に麦飯を頼み、イデアにスープを頼む。ウェルにはサラダとマヨネーズを頼み、俺はイエローボアの唐揚げを作っていく。久しぶりの唐揚げだからか、揚がっている最中の匂いと音を楽しむ蓮。


 麦飯を炊くのに失敗されても困るから集中するようにな。何度かそう言うも、やはり唐揚げの魅力にはなかなか抗えないらしい。久しぶりだから余計にかな? 仕方なく麦飯の方も確認しながら揚げていく。


 失敗する事もなく全ての料理が終わり、盛り付けも完了したので食べようか。それじゃあ、いただきます。



 「あちゅ! あふっ! ほふっ! ………むふーっ!! 唐揚げも美味しいし、ご飯が美味しい!!」


 「イエローボアのお肉だけど、それでもじわーっと脂が出てきて美味しいね。それに噛み締めると味が出てくるタイプだから、ゆっくり美味しい味が来るのも良いよ」


 「うむうむ。肉と共に野菜があるのが良いな。野菜が無ければ落ち着かないし、何か片手落ちのように感じていた。野菜で休んで、肉。これがベストだな」


 「まあ、肉ばっかりも疲れるからな。肉を食うのは構わないんだが、呪いの肉で美味しくなかったうえの肉尽くしだ。アレは今思うと苦行に近かった気もする」



 子供達も「うんうん」と頷いているので厳しかったんだろう。食事を終えた俺は再び川で神水を補充し、完全に満タンにしておく。


 皆の食事も終わり、少しゆっくりした後で焼き場やテーブルなどを壊す。更地にしたら出発し、次の地形へと進む。


 20層は丘のある草原で起伏がある場所だった。いきなり丘の向こうから奇襲してくる可能性のある場所で、スマッシュボーアやアーマーベアなどが居る。ま、俺達にとっては然して強くもない相手だが。


 さっさと進んで行き、次の地形である30層へ。最後に厄介な地形が来るのはいつもの事だが、今回は森だった。それもデスボーアやヘビーブルにアサルトタイガーやソードグリズリーの居る森。自然にあったら地獄だな。


 そんな中でデスボーアとヘビーブルだけは入手していき、今まで持っていたデスボーアとヘビーブルは捨てていく。勿体ないけど傷んでいる可能性があるから、新しいのと交換しておこう。たっぷりと殺して手に入れたら35層へ。


 ホクホク顔をしながら進むと最奥は荒地で、出てきたのは暴食竜だった。何でコイツが!? と思うが慌てて【浄化】を行うも流石は竜、動いてくる。



 「皆! 逃げろ! 【浄化】してるのに動くぞコイツ!!」



 その声で一斉に逃げる皆。俺も後方に下がりつつ【浄化】するも、凄まじい呪いを噴出して【浄化】の権能に抵抗する暴食竜。メチャクチャ過ぎると思うも、動きは遅い為に助かっている。これで普通に動かれたらまともには戦えない。


 流石の暴食竜も1時間ほど【浄化】されていたので、溜め込んだ呪いも限界を迎えたらしい。徐々に動かなくなっていき、動けなくなった瞬間、【集中】して一気に【浄化】した。


 目の前の暴食竜は真っ白になり、完全に息絶えている。やれやれ、やっと終わったか。まさかここに来て暴食竜とか反則だろう、本当にそう思う。



 「これはトカゲか何かか? 異様なまでに大きく、涎を垂らしながらこちらを見ていたが……。それにコイツを見て分かったが、異常なまでに強い筈だぞ本来は」


 「これがね、暴食竜だよ。前の星に居た竜、ドラゴンと言っていいのかな? この暴食竜はとにかく食べる竜だよ。お腹が減ったら同族でさえ食べる竜が、この暴食竜なの」


 「同族食いまでするのか……尋常ではないな。確かに聞いていた通り、こやつらからは知性を感じなかった。呪いを抜きにしても、唯の生き物というところか。まあ、些か以上に凶暴だとは思うが」


 「アルドさんが解体してますけど、竜のお肉ってメチャクチャ美味しいんですよ。ボク達が食べてきた中で一番美味しいのが竜の肉です。かす肉も脂も肉も最高で、竜の素材の武器は凄い切れ味になりますから」



 竜は全身が素材だからなー。特にドラゴンじゃない恐竜タイプは。


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