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0188




 「よし、革鎧としては完成した。ディル、魔鉄の剣をくれ」


 「ああ、分かった」



 俺はディルの持ち物だった魔鉄の剣を分解してパーツ毎に分ける。刀身や鍔が魔鉄だったので【融合】した後に【抽出】等を使い精錬したのだが、その結果は酷いものだった。



 「駄目だ。魔鉄の質が悪過ぎて、これだけしか残らなかった。これじゃあ、前面を被覆する事すら無理だな。仕方ない、ソードグリズリーの牙を被覆するか」


 「これは……どういう事なんだ? 何故私の剣がこんなに小さな塊に分けられている?」


 「この小さな塊が魔鉄だ。そして横に分けたのが、それ以外の不純物や鉄だ。魔鉄の含有量が低いんだよ。つまり、非常に質の悪い魔鉄というか、鉄だ」


 「この剣は長に言われた所で買ったのだが、そういう事か……」


 「本当に碌な事をしない奴ですね。こんな質の悪い武器に命を懸けさせられていたなんて」


 「まぁ、今は違うんだから良かったじゃないか。そうやって前向きに考えた方がいいさ。アルドが居てくれなかったら、知る事も出来なかったんだ」



 全くもってそうだと思うが、こんな質の悪い魔鉄の武器で生き残ってこれたんだから、やっぱりとんでもない才能してるよな。ディルに1番嫉妬してたのは、今の長なんじゃないか?。


 結局、兄の血筋に勝てないんだからな。ディルを助けたのも、優秀な兄の子を自分の下に置きたかっただけなのかもしれない。そんな事を皆に話すと、激しく頷いている。



 「今までの事を聞いてると、さっきアルドが言った事は多分正しいと思うよ。かなりの小心者で欲深い、よく居る小悪党さ」


 「その小悪党が、大きな悪を犯して大失敗した。そんな感じなんでしょうね。非常に下らないとしか言えませんが……そういえば、ディルの母親は?」


 「私の母は、私を産んで直ぐに亡くなっている。それは父から聞いたので間違いは無い。ただ、私の母は幽人族ではなく、普通の人間族らしいのだが……」


 「普通の人間族だと何か問題があるのか? 血が濃くならないで済むんだから、外から血を入れた方が良いと思うんだがな。里ではどういう風に考えられていたんだ?」


 「血が濃く……? いや、里の方針などは知らない。ただ、父は率先して外と交流をしていたらしいのは知っている。それが気に入らないという者が里の中に居たのは確かだ」


 「成る程なー。よくある集落の揉め事か。外と交流しないと駄目だという現実派と、身内だけでやっていくべきという妄想派の下らない争いだ」


 「妄想派とは上手く言ったものだね。確かに妄想だよ。アルドが言ってたらしいけど、血が濃くなると子供が出来難くなったり、病気に弱くなったり、奇形児が生まれたりするそうだし」


 「だからこそ、外から血を入れるしかないのさ。それも、内側に篭ってた年月が長ければ長いほど、外の血を大量に受け入れなきゃいけない」


 「1代や2代で済む程、血の澱みというのは甘くは無いんだ。血の澱みで滅んだ国なんて、いっぱいあるんだよ。それぐらい危険な事なんだけど、この世界では理解されてないな」


 「この世界……か。うん……これで問題は無い。ソードグリズリーの革鎧なんて、相当高価な物だが本当にいいのか? せめて自分で狩ってくるべきだと思うんだが」


 「この前狩ってたろ? あれで作っても良かったんだが、すっかり忘れてたんだよ。だから、お詫びみたいなもんさ。気にしなくていい」



 本当に気にされても困るんだよ。ガチで忘れてたから。重い鎖帷子を外させて訓練させてたら、才能の方に目がいってしまって鎧の事が頭から抜け落ちたんだ。


 思い出したら、流石にそれは駄目だろうって事になって、慌てて狩りに行ったという体たらく。これは明日の訓練の指導で挽回しないと、情けないままになりかねないな。


 ……ん? 夕日か。もう夕方だったのか。なら食堂に行って、夕食にしようか。全員異論は無いようで、俺達はゾロゾロと食堂へと行って大銅貨8枚を支払い注文をする。


 水を出してもらい浄化して飲んでいると、女将さんがやってきた。何か困ったように見える微妙な表情をしているが、いったいどうしたんだろう。



 「おかえり、皆」


 「「「「「「ただいま」」」」」」 「ニャー」 「グルゥ」


 「皆に関わる事なんだけどね。実は村長のところに、前に来てた近衛の偉い人が来てるらしいよ」


 「あー……。ライブルが来たのかい。間違いなく戦争の事に関してだろうね」


 「やっぱり、そうかい? 戦争なんて、お国の軍隊がやる事だろう? 何でダナさん達のところへ来るのかね」


 「仕方ないさ。軍隊って言ったところで、無能な貴族、無能な家臣、無能な兵士、そんなのが足を引っ張り合うのが軍隊だからね。少しでも有能な味方がほしいのさ」


 「辛辣ですな。とはいえ、何も間違って無いところが何とも言えませんが……」


 「随分早かったですね、ライブル。もしくは遅かったと言うべきでしょうか? 帝国の進軍は4、5日前だと聞いていますよ」


 「正確には4日前ですな、セルネットを乗り継いだ伝令兵が半日で届けて参りましたので。そこから御前会議にかけられ、近衛と王軍の派遣が決まりました」


 「近衛を出すのかい? 城の守りが手薄になる気がするけどねぇ……。もしかしてワザとかい?」


 「……ふぅ、その通りです。陛下はこの際、膿を全て出してしまうべきだと仰られました。帝国にいいようにやられてしまっていたが、千載一遇の好機だと」


 「確かに、掃除をするには良い機会だろうね。本来ならこうなるまでに対処しておくべきなんだけど、言っても手遅れだから意味は無いか」


 「………この方は何処のどなたでしょうかな?」


 「ライブル、堪えて良かったですね? その方は私の姉上ですよ。2代目の王妃を育てた方だと言えば分かりますか?」


 「!!! ……初めて御目に掛かります! 近衛騎士団長の位にある、ライブルと申します!」


 「ああ。とはいえ、面倒だからそういうのは止めてくれたまえ。シュライア、こうなると分かっていて言ったね?」


 「あ、姉上……。私は事実を言っただけで、他意はありません。………本当です! 本当に他意はありませんから!」


 「はいはい。喧嘩は無しで頼むよ。宿が壊れたりしたら困るんだからなー。ところでライブルは俺達に何をさせたいんだ? 今の内に腹を割って話してもらわないと困るんだが……」


 「ああ、そうですな。簡単に申し上げると、遊撃をお願いしたいのです。森を行って偵察、もしくは敵方の斥候の始末をお願いしたい。我等は森の進み方も知りませぬので」


 「軍が森を行っても被害が増えるだけだからね。相手も森は傭兵に任せるだろうさ。しっかし、森を想定してるって事は国境線で叩くのかい?」


 「ええ。わざわざ帝国の者どもを我が国の領土に入れる必要は無い。それが御前会議で決まった事ですので。そうなると、国境線で敵を叩く事になります」


 「そうなると、帝国の方が早いんだから遅滞行動はしてるんだよな。……厄介なのは、裏切りの侯爵家か? 地理的にも邪魔でしかないぞ」


 「近衛と王軍は殿下が率いておられる。殿下は近衛と王軍で侯爵家を潰す事を決められた。……という事は、陛下からお許しが出たのだろう。第二王妃様のご実家だからな」


 「あの子も許可を出したんだろうね。まぁ、侯爵家の血は第三王女が残してくれるんだから悪くはない筈さ」


 「今から村を出るのかしら、それとも明日の朝から?」


 「明日の朝からですな。申し訳ありませんが、私が乗ってきたセルネットが走れませんので」


 「それは仕方がないですよ。セルネットは足が速い代わりに、体力がありませんからね」



 夕食も終わっていたので、これで解散となった。ライブルは宿の部屋で寝るそうだ。あれでも急いで村まで来たらしい。


 明日から村を出るので、女将さんに銀貨3枚を支払い部屋をキープしておいた。どうせ帰って来るんだし。



 ▽▽▽▽▽


 0188終了時点


 大白金貨1枚

 白金貨2枚

 大金貨14枚

 金貨71枚

 大銀貨92枚

 銀貨66枚

 大銅貨301枚

 銅貨2枚


 ヒヒイロカネの矛

 ヒヒイロカネの小太刀

 剣熊の爪のサバイバルナイフ

 アダマンタイトの十手

 二角の角の戦斧

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 剣熊の骨の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 強打猪の革のジャケット

 強打猪の革のズボン

 真っ黒なブーツ

 大型のアイテムバッグ


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