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 「お主らはいったい何者じゃ? まあ、子供を連れとる以上は悪さをしに来た訳じゃなさそうじゃが……」


 「俺達は東から旅をしているだけだよ。色んなところ見て回ったり、色んな物を食べたり、それと魔物を狩ったりとかな。今日はここまでなんで、村の外にカマクラを作らせてもらっただけさ」


 「ふーむ……まあ、それなら良かろう。しかし、それ以上は村に入るでないぞ。一歩でも入って来たら容赦はせんからな」


 「今までにも色んな村の入り口でカマクラを作ったが、妙に警戒するな? むしろ不自然なんだが……何かあるって言ってるようなものだぞ? 入らせたくないなら、余計な事は言わない方が良い」


 「五月蝿いわ!!」



 こっちに来た爺さんは肩を怒らせながら去って行ったので、俺はその後姿を見つつ【空間把握】で調べる。すると、村の中には女性と子供と老人しか見えない事が分かった。……働き盛りの男が居ないという事は……。



 「働き盛りの男が居ない……か。アルドが言っていた戦か小競り合いか。とはいえ大規模なものではなさそうだな。この村の人口も150~200ぐらい。その中で働ける男の割合ともなれば50人~80人ほどか? その程度しかおるまい」


 「だな。仮に最大数の80人が2つ、町で150人ほど集まっても総数は310人か。これが1領主軍と考えたら少ないな。そのうえ最大数がこんなものだから、実際にはもっと少ない可能性が高い。完全に小競り合いだな」


 「この人数では殺し合いまではせんだろう。農民が減ると困った事になるのは目に見えておる。むしろもっと増やさねばならん筈だ。にも関わらず小競り合いをするのか? 私には理解できん」


 「【呪魂環】が壊れて飛び散った後、この辺りがどうなったかは分からないからな。それと、仮に口減らしをすると言ったって相手の事情の場合もある。こちらは小競り合いをする気が無くても、向こうが攻めて来たなら守る必要があるしな」


 「ああ、それはそうか。何もここの領主が攻め込んだとは決まっておらんな。迎え撃っておる可能性もある訳だ。何だか面倒だな。思っておるよりも、ややこしい。それに盗賊が徒党を組んだりするのであろう? もはや意味が分からん」


 「さて、それもなぁ。盗賊団を結成して領主の座を奪ったというが、それも【呪魂環】が壊れた当初の話かもしれない。【呪魂環】が壊れて30年ほどは経過してるからな、いつの情報かまでは分かってないし」


 「確かにな。【呪魂環】が壊れてからゆっくり衰退していったのかもしれん。それなら昔はもっと人の数が多かった筈だろうし、それならば下剋上は起きるか。唯でさえ混乱の時代だ。多くの者が好き勝手をしたであろう」



 子供達が舟を漕ぎ始めたのでカマクラの中にすのこを敷き、その上に布団を敷いて準備をする。子供達と2匹を寝かせたら【昏睡】を使って深く眠らせて、入り口を閉じるとウェルの相手をする。


 椅子に座ってジッと待っていたが、俺が近付くと立ち上がってゆっくりと服を脱ぎ始める。俺に魅せるように大事な部分だけを隠しながら、少しずつ挑発するように脱いでいくウェル。段々と誘い方もストレートではなくなってきたな。


 十分に目の保養をした後は【止音】を使いながら貪り、大満足したウェルを綺麗にして服を着せたらカマクラへ。寝かせたら外へ出て入り口を閉じる。


 隠密の4つの技を使って村の中へと侵入し、赤く光る者を聖人に変えていく。村の中に入ってくるなと言っていたが、その村の中は赤く光るヤツばっかりだぞ。俺達を威嚇する前に生き方を改めろよ。だから聖人に変えられるんだぞ。


 赤く光る者は子供であろうが容赦なく聖人にし、村の中を移動しながら進めていると、村の入り口で声をかけてきた爺が居る家に来た。文句を言ってきたのも村を守る為だったんだろうが、腕輪はガッツリ赤く光ってる。


 まあ、当然だろうな。そう思いながら2つの枷を着けて話を聞いていく。



 「何故、村の入り口であそこまで威嚇していたんだ? 何か余所者を排除しなきゃならない理由でもあったのか?」


 「余所者なぞ何をするか分からん。ワシがせっかく長年貯めた金を奪っていく奴等かもしれん。もしそんな事をするならば、地の果てまで追って必ず殺してやる」



 更に突っ込んで聞くと、悲しいぐらいの額だが必死に貯めこんだ金を守ろうとしているだけだった。何だか呆れるというか、でも村人が長きに渡って必死に貯めたので何とも言えなくなり、さっさと聖人にする事にした。


 ちなみに家の床下の壺の中に入っているそうだ。【空間把握】見ると確かに壺があり、中に小銅貨がそれなりには入っている。小銅貨なうえ、それなりな数でしかないのが哀愁を誘うな。ま、これ以上は何も考えまい。


 他の家にも行き、赤く光る者を全て聖人にしたら終了。カマクラへと戻る。この村では2人の赤ちゃん以外は赤く光ったので聖人に変えた。しかしながら本当に小競り合いなんだろうかね?。


 仮に戦で動員するならアモッチ村からも動員する筈だ。カロッソ村からだけっていうのが引っ掛かる。いったい何の為に動員したんだ? アモッチ村の長老が裏切っているのに気付いたから攻める? ……それもどうなんだろう。


 もしそうなら情報を与えない為、マーテンロ町を出発してカロッソ村の男性を編入、アモッチ村を攻めるという形だろう。そうしないと逃げられる可能性高いし。わざわざカロッソ村からマーテンロ町に集めて、それからアモッチ村に進軍する理由が無い。


 ま、理由はマーテンロ町に行けば分かるか。カマクラの中に入って綺麗にしたら、おやすみなさい。



 <呪いの星97日目>



 おはようございます。今日はマーテンロ町に行きますが、どうにも男性が居ない理由が判然としません。納得がいかないというか、何が起きてるのか分からず困る。場合によってはタイミングが非常に悪い可能性も。


 俺達がカロッソ村から離れたタイミングで戻ってきたら困るんだよなー。働き盛りの男は居なかったので全く聖人に出来ていない。村長っぽいのに聞いたが、マーテンロ町に行ったと言うだけだ。正しくは兵士が来て連れて行ったらしいが……。


 困った事に理由は村長すら知らなかった。ただ働き盛りの男を連れて行かれただけで、畑の事とかで恨みを募らせていたくらいだ。おそらく村長にとっても寝耳に水だったんだろう。


 朝の日課を終わらせてカマクラを出た俺は、紅茶を入れつつ様々に考えてみるものの答えは出ず、思考を止めてボーッとする事に。すると蓮が起きたらしく、トイレの後でカマクラから出てきた。


 紅茶をコップに入れた後で膝の上に座ってきたので好きにさせる。2人でボーッとしているとダリアが起きてきたので、【念動】で神水を入れてやると飲み始めた。十分に飲んだら、何故か蓮の膝の上にジャンプ。そこで丸まった。


 蓮はダリアを撫でながら紅茶を飲みつつ、俺を背もたれにしながら優雅に寛いでいる。王女様かなんかか? とは思うも、少なくとも清華家の子供である事は間違いない。こっちだと伯爵家の娘ってところか。


 ならばイメージ的には間違いないのか。貴族の娘が膝の上の猫を撫でながら紅茶を飲む。……まあ、普通っていうか、漫画やアニメでありがちな光景って感じ。これがスーツを着たオッサンだとゴッドファ○ザー的なイメージに変わるけど。


 そんな下らない事を考えていたらイデアとウェルも起きてきた。2人がトイレの譲り合いをしている最中にフヨウが起きて転がってきたので神水を出す。フヨウが「ズゾッ」と吸い上げて首に登ってきても、まだ譲り合いをしているようだ。


 どっちが先でもいいから、さっさと済ませなさい。


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