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 「昨夜は宿の客から始めて、徐々に周囲の者へと広げていった。これは安全を確保する為だな。他の客も信用できないし、何をしだすか分からない。そもそも俺達は余所者だ、何かをされる可能性は高い」


 「そうですね。余所者には何をやってもいいと思っている人も居るみたいですし、真っ先に聖人に変えて安全を確保するのは当たり前だと思います。それに赤く光る犯罪者しか変えていないんですよね?」


 「ああ、それは当然だ。流石に犯罪者ではない青く光る者を聖人に変えたら、俺が神様から何をされるか分からない。正直に言って、そんな怖い事をする気は無いぞ? 絶対に神罰を喰らうだろうしな」


 「うむ、それは怖いな。神罰を受けるような事は絶対にする訳にはいかんし、アルドがする訳がない。それはともかくとして、昨日で聖人に変えるのは終わったのか? 村とは違って人が多いし、昨日だけで終わるとは思えんのだが……」


 「昨日で終わったのは3分の1くらいだ。流石に町は人が多いだけあって時間が掛かる。これはどうしたって避けられないから仕方ない。皆には久しぶりの休みだと思ってもらうしかないな。という事で、おそらく宿を延長する事になる」


 「この宿は大丈夫なの? 宿の人とか」


 「問題ない。従業員も既に聖人に変えてある。安全は確保されているから新しい客以外は大丈夫だ。かわりに聖人という、ある意味で面倒な連中に変わってるけどな。それを除けばむしろ安全だ」



 皆は納得できるような納得できないような顔をしている。俺は気にせず部屋を片付け、紅茶を飲み終わった皆と共に食堂へと行く。大銅貨3枚を支払って朝食を食べるのだが、周囲の連中が微妙に注目してくるのが何とも言えない。


 俺達の邪魔にならないようにしているものの、それでいて注目してくるという状況だ。おそらく聖人ばかりなんだろうが、自分達の食事や会話をしていろよ。その思いが届いたのか、こちらに注目する事は無くなった。……やれやれ。


 朝食を終えた俺達は宿の部屋に戻り、俺は2度寝をする事にした。部屋のテーブルの上に中銅貨10枚と大銅貨10枚を置いて寝る。ウェルと子供達には小銀貨、中銀貨、大銀貨、小金貨を10枚ずつ渡し、好きにするように言っておく。それじゃ、おやすみ。



 「そろそろ夕方だよ。起きて! そろそろ夕方!」


 「あ、ああ。……まさか夕方まで寝てたか。疲れが溜まってたのかな?」



 俺は体を起こしつつ【浄化】し、綺麗にしたらベッドから出る。どうやら全員部屋にいるようだが、食事とかは大丈夫だったか?。



 「妙な声を掛けてくる者などは居ない訳ではなかったが、この近くの者は全て聖人にしたと聞いたからな。むしろこの地区に居た方が安全だと思い、あまり外には出ておらん。明日は色々な場所にいけそうではあるが……」


 「その為には今日はスラムを中心にする必要があるな。まあ、どこから始めても良かったんだよ。結局は町の住民の大半を聖人にする事になるだろうからな。さて、夕方が近いなら夕食に行くか」



 俺達は宿を出て食堂に行き、大銅貨3枚を支払って夕食を食べる。周りは変わらず微妙に注目してくるので鬱陶しいなと思いつつ、食事をしたらさっさ宿へと戻った。聖人に注目されるのは嫌すぎる。


 部屋ではダリアが胡坐の中に入ってきて、フヨウが首に巻きついて力を込めてくるが好きにさせる。単に甘えられなかったからしているんだろう。そんな事を思いながら、俺は3人に指摘していく。


 今日は暇だったらしく、3人とも魔法の練習をしていたらしい。その途中から本当に正しいのか分からなくなり困っていたそうだ。蓮は魔力の流れなどから正しいかどうか分かるのだが、自分の事は分からないので困っていた訳だ。


 俺は指摘しつつ蓮に調整させていく。イデアとウェルは間違っていないが、ウェルに関しては練度が足りない。仕方がないがどうしても大雑把だ。それでも他のドラゴンよりはマシなんだろうけどな。


 舟を漕ぎ始めた蓮とイデアを布団に連れて行き、左右に2匹を寝かせたら【昏睡】を使って深く眠らせる。抱き付いてきたと思ったら既に裸のウェルを満足させ、ベッドに寝かせたら部屋と体を綺麗に【浄化】。


 全て終わったので隠密の4つの技を使い部屋から出る。罪を暴く腕輪をしつつ昨日の終了地点からスタートし、スラムの方へと足を伸ばす。そこまでスラムの規模は大きくないのだが、それでもスラムはスラム。危険な場所だ。


 誰かが当たり前のように殺されていたり、男だろうが女だろうが犯されていたり。そんな中を【衝気】で気絶させ、枷を3つ嵌めて聖人にしていく。とにかく聖人にさえしていけばいいのでパパッと行い、さっさと移動しつつ終わらせる。


 スラムの住民全員を聖人にして出た俺は、更に範囲を広げるように聖人に変えていった。今日で町の3分の2は確実に越えただろう。残っているのは3分の1以下だが、もう時間なので宿に戻って寝るか。


 昨日と同じ位の時間に宿に戻った俺は、部屋と体を綺麗にしてさっさとベッドに寝る。それじゃあ、おやすみなさい。



 <呪いの星93日目>



 おはようございます。今日でこの町の聖人化は終わりますが、それにしても時間が掛かります。数が多いから仕方ないんだが、これからの事を考えると憂鬱ではある。まあ、これも自分のやるべき事であり神命だ。諦めよう。


 朝の日課を終わらせたら、紅茶を淹れつつボーッと頭を休める。というか何も考えないだけだが、こういう時間が貴重なんだから堪能しよう。そう思いつつコップに入れて紅茶を飲む。まだまだあるので買い足す必要はないだろう、売っているかは知らないが。


 蓮とイデアが起きてトイレに行ったが、その後でウェルも起きた。今日は珍しく2匹が遅い。眠たいなら寝かせておけばいい、そう思っていたら起きたのは食堂に行く少し前だった。今日はよく寝てたな。


 宿の従業員に大銅貨6枚を渡し2泊追加してから食堂に移動し、大銅貨3枚を支払って食事をしたら部屋に戻る。


 ダラダラしつつも昨日の夜にスラムを含めた3分の1を終わらせた事を説明し、それを終えたらさっさとベッドに横になる。おやすみなさい。



 「そろそろ起きてください。夕方ですからそろそろ起きてください」


 「お、今日はイデアか……ありがとう、今起きる」



 俺は起きつつ部屋と体を綺麗に【浄化】し、部屋の中を見回す。何故かダリアとフヨウが俺のベッドに潜り込んでるんだが、何かあったのかね? 俺がイデアに聞くと、特に何も無かったそうだ。



 「ダリアもフヨウもアルドさんのベッドに潜りこんだのは少し前ぐらいです。今日は市場を見たり、商店で買い物したり、町の屋台で食べ物を買ったりしてましたし」


 「成る程な。聖人化は大分進んでるんで安全だとは思うけど、何も無かったか?」


 「何もありません。聖人の人達が拝んできてちょっと怖いくらいです。後、まだ聖人化されてない人達が凄く戸惑ってたのが印象的でした」


 「まあ、そりゃそうだろうな。知り合いが次の日に聖人化してたら怖すぎる。頭が狂ったのかと思うだろうし、もしかしたら悪夢だと思うかもしれん。いきなりニコニコしながら善を説き始めたら、普通は狂ったと思うからなぁ」


 「実際に善に狂っておるのだから、間違いではないと思うが?」



 まあ、それはそうなんだけどさ。そうすると神様が狂わせる道具を作った事になるんだよ。実際そうなんだけどさ、それはどうなんだろうという気持ちもない訳じゃないんだよ? 俺でも。


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