表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1860/1948

1859




 <呪いの星88日目>



 おはようございます。今日はゆっくりと休む日です。ついでに西に関する情報収集と山越えに関する情報収集、そして食糧の購入などなど、やらなきゃいけない事を行う。休みと言いながら本当に休める訳じゃない。


 本当に休んでもいいけど、適当に情報収集するのもなぁ……それはそれで面倒な事になりそうだし、しっかりと情報を集めておいた方が良いだろう。唯でさえ西の方は戦国時代っぽい状態みたいだし。


 朝の日課を終えて、紅茶を淹れながら考えていたが、今日はこのタイミングでイデアが起きた。何かあったのかと思うも、単に目が覚めただけのようだ。トイレに行くイデアを見送り、俺は紅茶をコップに入れる。


 ゆっくりと飲んでいると、イデアが戻ってきて紅茶とハチミツを入れ、掻き混ぜながら溶かす。相変わらず溶けきるまで飲まないイデアは、スプーンで掻き混ぜつつボーッとしている。どうやらそこまで覚醒している訳ではないようだ。


 男2人。特に話す事も無く、静かな時間が流れている。それを良い時間と取るか、悪い時間と取るかは人それぞれだけど、俺はこの静かな時間が好きなので良い時間だと思う。そんな時間を過ごしていると、蓮が起きて部屋を出た。


 それを見送りつつゆっくりしているとウェルも2匹も起きたので、静かな時間はここで終わりのようだ。2匹の水皿に神水を入れ、飲ませていると蓮が戻ってきて紅茶を入れる。その後、ウェルも戻ってきて紅茶を入れつつ話しかけてきた。



 「今日はゆっくり休むのだったと思うが、全く何もせぬ訳ではないのだろう?」


 「ああ。今日は西の山越えと西の国というか地域に関する情報収集。それと西に行く前の食糧の補給だな。向こうで食糧が手に入るかは分からない。なのである程度の量を持っていく事になる。最悪はウェルにドラゴンになってもらって戻ってくる必要もあるかもしれない」


 「食べる物が無いから?」


 「そうだ。流石に食い物が無いと生きられないからな。向こうの人達が生きるギリギリの食糧しかないなら、どうにもならない。こちらが買おうにも、食べ物自体に余裕が無いんじゃ買う事も出来ないだろ?」


 「まあ、そうですね。お金が無ければ買えませんが、お金があっても買えるとは限りません。でも争いばかりの地域なら、権力者とかが食べ物を奪っているかも?」


 「根こそぎとは言わないが、聖人ついでに多少貰っていっても構わないとは思っている。どうせそういう奴はこっちに迷惑を掛けてくるだろうし、迷惑料とか慰謝料の名目で貰って行くかね?」


 「いつものアルドだけど、それで良いんじゃないかな? だって結局バカが悪いで終わるんだろうし、実際に聖人にされるなら悪い人だしね。争いばかりなら良い人なんて居る訳ないし」


 「そうだね。良い人じゃ争いの世の中は生きていけない。生きてるって事はそれなりに悪い事をしてるって訳で、それなら聖人にされても文句は言えないし、今までの悪事の所為だし諦めてもらおう」



 話をしつつ部屋を片付け、皆が紅茶を飲み終わったら食堂へと移動。大銅貨を3枚支払い朝食を注文したら席に座って待つ。食事後は町に出て、大銅貨1枚を支払いながら話を聞いていく。


 西の山を越える方法、西の地域の情報、食糧を向こうで購入出来るか等など。【白痴】を使っているので嘘を吐けず、若干喋り難そうにしている者も居たが全てを喋らせていく。


 情報は集まり、昼になったので食堂へ行き、大銅貨3枚で昼食を食べる。その後は食料店に行き、大銀貨1枚ずつ米、大麦、小麦、野菜を購入。食料店の店主はホクホク顔だったので問題は無いのだろう。


 流石に俺が買ったから値上げとかは止めてほしいところだ。まあ、そうなっても恨む相手である俺は西の国に移動しているだろうが。……それはともかく、面倒な奴等が後ろをついてくるなぁ。結局か。


 宿に戻った俺たちは寛ぎながら情報を整理していく。まずは山越えだ。



 「西のショテーム山は大した問題も無く越えられそうだな。そもそも道があるとは思わなんだが………とはいえ、向こうから香辛料を売りに来ている者がおる以上はな。道ぐらいは出来るか」


 「まあ、往復している奴等が居る以上はあるだろうが……それでも頻度が少ないだろうから、草は生え放題だろう。道と認識出来るかは行ってみないと分からんな。商人が草を刈ったりしているなら分かりやすいんだが」


 「向こうに行ったら多少は食べる物が買えそうだね。お金もちゃんと出回ってるみたいだし。ただ、高くて買えなかったって言ってたけど」


 「そんなものでしょ? 値段を吊り上げて悪い物を買わせるとか。危ない場所だとカビの生えた物とか売りつけてくるかも? ……まあ、聖人にされるだろうけどね」



 俺は宿の周りの連中を監視しているが、そいつらは俺達の泊まっている宿を確認すると足早に移動している。おそらく………やっぱりスラムへと行くか。ここのスラムのボスは狼獣人だが、大したヤツじゃなさそうだ。


 明日出発なんだからゆっくりさせてほしいところだが、こういう奴等がこっちの事情をおもんばかってくれる事は無いな。適当に監視しつつ、手を出してきたら纏めて聖人にしてやるか。


 雑談したり遊んだりしていると夕方になったので、食堂に行き大銅貨3枚で夕食を食べる。聞きたい情報は無かったので周囲の噂話をスルーし、食事を終えたら宿へと戻った。また後ろをつけてくるが気にする事は無い。末路は既に決まっている。


 宿の部屋で雑談をしつつ、ダリアをブラッシングする。いつもそうだが、気持ち良いからか大人しくブラッシングされるダリア。そしてすぐに眠ってしまう。それでも【浄化】しながら綺麗にしていき、終わったら次はフヨウだ。


 【浄化】しつつ何度も撫でていると「でろーん」となって撃沈。2匹が終わったら今日はイデアからとなった。組紐を外し、【浄化】しながら髪を梳いていくと、あっと言う間に頭が揺れる。【念動】で固定するかね。


 ウトウトしているイデアを十分に梳いたら、布団に寝かせて次は蓮だ。蓮も髪を梳き始めたらすぐにウトウトし始め、頭を【念動】で固定しながら綺麗になるまで梳き続ける。完全に寝てしまっている蓮を布団に寝かせ、2匹を左右に移動させたら【昏睡】を使う。


 ウェルが既に裸になって待っていたので貪り、十二分に満足させたらブラシで梳く。すぐに眠ってしまったが、【浄化】しつつ服を着せ、十分に梳いたらベッドへ。皆が寝たものの、俺は外の連中を未だ監視中だ。


 いつになったら突入してくるのか分からないが、全て終わったのでそろそろ来てほしいんだがな。このまま監視だけで終わるとかは止めてくれよ? そう思っていると、周囲に居た奴等が宿の庭に忍び込んできた。


 何をする気なのかと思ったら、庭の方から中に入る扉を開けて入ってきた。どうやら庭に続く扉は鍵が付いていないらしい。ワザとなのか、それとも宿の連中は悪用されているのを知らないのか。どちらかは判断がつかない。


 それよりも今は入ってきた連中をどうするかだ。一直線に俺達の部屋へ来たので、下調べは十分という事かな。まあ、外で何度も調べていたし、当たり前の事ではあるか。いつも通り扉の前まで来た奴等を【衝気】で気絶させ、【念動】を使いながら中へと入れる。


 枷を2つ着けて話を聞くと、監視通りスラムの連中だった。どうも俺達が西の事を探っているので、西の連中の下っ端だと思ったらしい。西の連中が雇った逃げた連中を探る役目。


 そういう風に認識しているようで、盗賊のように襲うというより、敵を始末する意味で侵入してきたようだ。恐れからかもしれないが、手を出して来なければ聖人にはならなかったのにな。残念な連中だと思う。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ