0185
「もしかして、まだ甘く考えていたのか? 【浄化】の権能に比べたら【神聖八重浄化】はその程度としか言えないぞ」
「いや、甘く見てた訳じゃないよ。唯、そこまでの事をしないと食べられない物だとは思わなかっただけさ」
「ちなみに、そこまでの浄化をせずに食べた場合、どうなるのかをアルドは知っていますか?」
「知ってるけど想像通りだぞ? 食べたら邪生になるだけだ」
「「「「「やっぱり……」」」」」
そもそも邪生の心臓って1番邪気が染み付いてる部位だからなぁ。だからこそ、そこまでしなければ浄化しきる事が出来ないんだが、その反面1番色んな力も染み付いていると言える。
食べただけで人体改造レベルの変化があるんだから、そりゃ簡単には食べたり出来ない。更に言えば、邪生の肉だって食べる為の浄化は結構大変だしな。……俺にとっては簡単だけど。
そんなに簡単なら誰かが気付いてるだろうし、この世界の歴史上やたらめったらに強い奴とか居そうだしな。そういう奴が居ないって事は、邪生の心臓の浄化は難しいって事だ。
「つまり、世界中で邪生の心臓を食べられるのは私達だけという事か……。私にとっては毒でボロボロになった体が治っているそうなので、ありがたい事なんだが……」
「アタシ達だってそうさ。酒の影響だったり、長年の歪みだったり、昔の無茶の所為で受けた傷だったりが治ってるからね」
「それに、体が引き締まったり、綺麗になったり、張りが出てきたり、弾力が強くなったり、子供の頃の色や肌になったりと良い効果を受けられてます!」
「いや、シュライア。そういう意味じゃないよ……」
「ディルが言っているのは、私達だけこんな効果を受け続けて良いのか? ……という事よ」
「そんな事ですか。そんなの気にしても意味なんてありませんよ。貴族や王族が自分達だけ贅沢をしているようなものです。誰かが咎めますか?」
「いや、咎めはしないが……。大半の者はそもそも気にしな……そういう事か。成る程。黙っていれば誰も気にしないし、分からない」
「ええ、そういう事です。こそっと贅沢をするなんて、普通の人でもやっている事ですよ。その延長線上にある事なんですよ、邪生の心臓というのは」
「それに、私達は自分達の力で狩りをしているでしょう? だから、他人に文句を言われる筋合いじゃないのよ。狩りで得た物をどうしようが、傭兵の勝手というものでしょ?」
「確かに、そうだな。他人を気にする必要もない訳か。欲しければ自分で取って来いとでも言えば済む話だ……」
「まぁね。ただ、邪生を倒してるのはアルドなんだよ。アタシ達が倒してる訳じゃないところはちょっとモヤモヤするけど、気にしてもしょうがない。同じ事は出来ないし」
邪生を安らかに送る……。【神聖八重浄化】を使い熟せれば出来るんじゃないかな? そこまで使い熟す為には相当の修行をする必要があるだろうけど。流石に無理だろうなぁ……。
俺が全力で【浄化魔法】を教えて、徹底的に鍛え上げる。それで、最短10年ぐらい掛かるかな。これは答えを知ってる俺が鍛えての事だから、今の下界じゃ絶対に無理だろう。
ただでさえ、神殿のアホどもが【浄化魔法】そのものだったり、【浄化魔法】のコツを秘匿しまくってる所為で下手な奴等ばっかりなんだ。邪生の心臓を浄化出来るようになんて、なる訳がない。
浄神がその事で激怒してるっていうのに、神殿のアホどもは暢気なもんだ。そんな事を愚痴混じりに皆に話すと、ディルが物凄く驚いている。
「神様がお怒りになっているって……私達は大丈夫なのか?」
「俺達に関係ある訳ないだろう? 神罰が落ちるとしても神殿のアホどもだけだよ。そもそも神殿のアホどもが努力して、下界の邪気を減らしていれば良かったんだからな」
「神殿は神様をお祀りする所だけど、浄化をする場所でもあるのさ。浄神様が古い時代に降臨されて、世界を浄化する拠点として神殿を作られたからね」
「ダナはよく知ってるね。だからこそ、神殿が世界を浄化しようとしていない事に浄神様はお怒りなんだよ。当たり前と言えば当たり前の事さ」
「つまり、本来は世界の浄化を行う拠点だった筈が、今は権威主義の塊どもの巣窟になってしまったという事ですよ」
「それは……。浄神様がお怒りになって当然ではないか。神罰を落とされない事が不思議でしょうがない。何故そこまで我慢をなされるのだろうな?」
「「「「「………」」」」」
俺の方をジーっと見るのは止めてもらえませんかね? 神罰を落とすのは難しいんだよ、幾つもの段階を踏まないと神罰は落とせないんだ。そして必ず止まるところがある。
それが【世界】の許可だ。最終的に【世界】が許可を出さないと神罰は落とせないんだが、この【世界】が余程の事でない限り許可を出さないんだよ。その所為で怒りが凄いんだが。
というか、マグマのように溜まりに溜まった怒りが、俺を複製する切っ掛けだったんだ。俺的には色々笑えない原因であり、微妙な気分になる。……悲しいけど、これ現実なのよね。
「神罰落とせないなら複製寄越せ!」って【世界】に申請したら、「良いよー」って返ってきた。簡単に言えばこんな感じだ。……な? 微妙な気分になるだろ?。
一応説明しておくと、神罰だと広範囲に影響が出過ぎるって事と、複製なら後で指示を出したり出来るという事もあって申請したらしい。神様達も通るとは思っていなかったそうだ。
【世界】の事を神界で1番偉い方という風に、ボカして皆に説明する。流石にボカしているのは皆が分かっているが、触れてはいけない事も分かったようだ。
「しっかし……神殿への怒りが発端だったとはねぇ。怒っていいのか分からないのが困るところさ」
「確かに……。神殿がそこまで腐ってなければ、アルドは居ない訳ですから。何とも言えませんね」
「そうね。アルドが居ないなんて考えられないもの。でも、神殿を褒める訳にもいかないし……」
「悩ましいところだね……。碌でもない連中だという事には異論は無いんだけど……。腐ってなければ、私は今でも世界中を孤独に旅していただろう」
「私も、そうだ。今も真相を知らずに使われ続けていたか、どこかで死んでいただろう。絶対に今のような幸せは手に入ってなかっただろうな」
「まぁ、アレだ。今後、奴等に近付かなければいいさ」
奴等がこっちに近付いてくる可能性はあるんだよなぁ。前に【神聖八重浄化】を見せた事があるんだが、あれから接触は一切してこない。取り込む事は考えていないみたいだ。
こっちを見下して、放ってるならそれで良いんだが……。余計な事を企んでると面倒な事になる場合もあるしなー。まあ、なったらなったで秘密裏に始末すれば終わる話でもあるんだが。
ただでさえ、権威があって面倒な連中だからな。闇に葬った方が早いんだよ。神殿がどこまで力を持ってるかは知らないが、俺と同レベルの力を持つ暗殺者を抱えてはいないだろう。
なら好き勝手に始末する事は難しくない。浄神からも神殿と敵対したら、「一切容赦せず根切りにしなさい!」と言われているしな。神様にそこまで言わせる奴等も、ある意味凄いが。
「ね、根切り……。神様が根切りを命じるのか……。どれだけお怒りなのか。怖ろしいな」
「しかも、奴等はそれを知らないと」
「呆れればいいのかしら……、それとも怒ればいいのかしら……」
「何も考える必要は無いさ。こちらと敵対すれば潰せばいい。浄神様のお許しもあるんだ」
「姉上の仰る通りですね。敵なら始末すればいいだけの事です。シンプルに行きましょう、シンプルに」
「敵になるなら楽なんだが。神殿はどこにでもあるからな……。おかしな噂を流すっていう、搦め手で出てこないとも限らない」
「まぁ、気をつけながら生活していけばいいさ。何があるか分からないしね」
いきなり神殿を潰すイベントとかは止めてくれよ。浄化魔法を使える奴等は、村の皆には必要なんだからな。
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0185終了時点
大白金貨1枚
白金貨2枚
大金貨14枚
金貨71枚
大銀貨92枚
銀貨69枚
大銅貨309枚
銅貨2枚
ヒヒイロカネの矛
ヒヒイロカネの小太刀
剣熊の爪のサバイバルナイフ
アダマンタイトの十手
二角の角の戦斧
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
剣熊の骨の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
強打猪の革のジャケット
強打猪の革のズボン
真っ黒なブーツ
大型のアイテムバッグ




