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 「昨日、後ろをつけてくる者達がまた居たが、アルドはどうしたのだ? まあ、何もしていないとは私も思っていないが、連中が諦めた可能性もあるのでな」


 「その可能性は低いと分かってて言ってるんだろうけど、予想通り侵入してきたぞ? その時点で聖人化決定だ。ただ、昨日の奴等は今までと違い、呪いで変貌した奴を3人も抱えている組織だった」


 「えっ、3人も居たの? ……その人達って消えた? それともアリシアと同じで元の姿に戻ったの?」


 「残念ながら蓮の予想のどれでもない。最初に会った<ドクロの花>の女ボスみたいだったんだ。植物系の男でな、枷を4つ嵌めて浄化能力を持つナニカに変貌させてから【浄化】したら、消えなかった」


 「それは………つまり、呪いに汚染された者じゃなくて、別の何かに変わってしまったって事ですか。前の星でオークに使った時も何だかおかしな事になってましたしね」


 「真っ白に変貌した<浄化オーク>な。今回は真っ白にならなかったが、それは元人間種だからなのかもしれないな。それか改良されて白くならなくなっているか。どのみち呪われた連中は完全に聖人と化したから悪さも出来ないが」


 「呪われていた者どもが、今や浄化の力を持つ者に変貌している訳か。そのうえ聖人とやらにされて、ニコニコしながら善を説き続ける……と。ある意味で消滅したリョクディマは幸せだったのかもしれんな。己が己で無くなるという事は無かったのだから」


 「そうかもしれんが、変えられた者は元の自分を嫌悪するから、変わった事に幸福を感じているぞ? それが良いのか悪いのかは知らないが。とはいえ呪いに汚染された以上は元の自分とも言えないしなぁ。その時点で戻れないだろ?」


 「確かにアルドの言う通りか……。リョクディマも呪われた段階でおかしくなっていた。支離滅裂な事を言い出し、自分の力でもない呪いの力に酔っていたな。結局、アルドに【浄化】されて終わったが」



 話ばかりしていても仕方ないので部屋を片付け、宿を出たら食堂へといく。大銅貨を3枚支払って食事をとったら、町を出て西へと走って行く。今日でエイテシャ町に着くので、明日1日は情報収集にあてても良いな。


 そんな事を考えつつドンコオ村を越え、エリューサ村を越えた辺りで昼食にし、それなりに早い時間にエイテシャ町までやって来れた。門番に登録証を見せるも、割とジロジロ見られた後で通された。難癖はつけられなかったが、何だったんだ?。


 そう訝しみつつエイテシャ町に入ると、意味を理解した。町中には普通に西の国の見た目の奴等が居るからだ。この町ではケモナーが泣いて喜びそうな光景が広がっている。まあ、彼らも元々は普通の人間種なんだろうが、かつての魔導王国の所為でああいう姿になっているだけでしかない。


 あんまりジロジロ見るのは止めよう。そう思い、大銅貨を1枚渡しながら宿の事や食堂の事を聞く。その後、少し外れた場所にある宿に行き、大銅貨4枚で2日間部屋をとった。明日は情報収集と休みの日だと説明すると全員が納得する。


 部屋に入って少し休んだ後、聞いていた近くの食堂に行き大銅貨を3枚渡して食事をとる。周囲に面白い話をしている人はあまり居ないようだ。



 「昨日の客ってどう? 何というか西のヤツっぽいんだけど、何しに来てるか分かる?」


 「さあ? こっちの国を攻めるとか、そういう事は無いと思う。そもそもショテーム山があるんだし。幾ら低い山だって言っても、大量の人数の兵士が山越えとかしてたら流石に気付くでしょ」


 「だよねー、なら大丈夫か。もう向こうの奴等と関わりたくないし、顔も見たくないのよね。あっちの奴等って、とにかく偉そうだし見下してくるしさ。親が殴られたり蹴られたりしてたのよ? 忘れる訳ないっての」


 「私もよ。子供の頃の事だけど今でもハッキリ覚えてる。ちょっと前に逃げて来た奴が言ってたらしいけど、相変わらず向こうは変わってないみたい。誰かが領地を奪って争うって事の繰り返しみたいよ」


 「まだそんなバカな事を繰り返してるの? 頭がおかしいのか、それともバカしか居ないのか………どのみち私達にはもう関係無いんだし、バカが殺し合いしてればいいのよ。関わりたくもない」



 西の方では群雄割拠の戦国時代? もしくは国が作られる古代ぐらいなんだろうか? 領地を奪って……と言ってるって事はだ、戦国時代の方が近いのかな? 西には国があると思ってたけど、普通の国と同じだとは思わない方がいいな。


 ………うん? この星に来る前に乱世になるかもって言われてたけど、爆心地に近い西の国では乱世になってる? そう考えれば逃げてくる人が沢山居るのも分からなくはないな。ただ、乱世を鎮めるなんて俺には無理だ……いや、出来るか?。


 時間を掛けて全員聖人にしていけば解決する気もしないでもない。ただ、それを解決と言って良いのかはなはだ疑問ではある。それはともかくとして、やるかやらないかは現地に行かないと分からないな。


 向こうに行って、あまりにも無体な状況だったらやるかもしれない。その辺りはどうなっているのか調べる必要があるし、一方的に決め付ける訳にもいかない。困ったな。


 それより何より向こうには食糧があるんだろうか? こっちで買って行った方がいいのかもしれないし、そこも考えないと……。


 食事も終わって既に宿に帰ってきているが、上辺で返事をしていたからか蓮に怒られた。



 「すまん、すまん。西の国の事を考えていてな。さっき食堂で西の国の事を話していた女性2人が居たんだが、どうも西は戦国っぽい。領土を奪ったりとか言ってたからな。群雄割拠の戦国時代をイメージしてた」


 「それってヤシマの国と同じって事ですか? ならあんまり気にする必要は無いと思いますけど……」


 「イデアはそう思うんだろうが、あれでヤシマの国はマシな方だからな。まだ秩序はあったし、魔物の被害がバカにならず、そこまで大規模な争いも無かった。魔物がそこまでなら、もっと大規模に人間種同士が争っているんだよ」


 「つまり、山を越えた西では人間種同士が大規模に争っている可能性があるという事か。大規模に争ってないと、領地を取った取られたとはならんな。で、ある以上は大規模に争っておると」


 「可能性としては……だがな。大規模と言っても争いが続いているなら、双方が疲弊していて人数は多くないかもしれん。数が減れば食糧の生産力が減り、そうなると生きていける人の数も減る。だから途中で止めるとは思うが……」


 「数が戻ればまた始めそうだな。愚か者というのは、愚かだからこそ止まらん」


 「圧倒的な強者が現れないと泥沼と化すからなぁ……。俺達が纏めてやる義理も無いし、全員聖人にすりゃ治まるといえば治まるんだよ。面倒だけど」


 「「「「「………」」」」」



 皆が絶句しているが、争いを大規模に続けるような連中だし、それに慣れている奴等は自分が上に立てるかもって思ったらやるぞ? 例えそれが農民であろうが変わらない。自分が上に立つ為なら寝首を掻くのは当たり前だ。


 だからこそ戦国時代なんだし、多くの場所で戦乱が起きるんだよ。そして、それが当たり前だから簡単には争いが終わらないんだ。誰かが強引に終わらせるしかない。


 おっと子供達がウトウトし始めてきたので布団に寝かせるか。2匹を左右に寝かせて【昏睡】を使い、その後で抱き付いてきたウェルも寝かせる。最近は技を使わなくなったなぁ。


 部屋と体を綺麗に【浄化】したら、おやすみなさい。


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