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 夕方になったので食堂に行き、大銅貨3枚で夕食を食べた。その後は宿に戻り、部屋でゆっくりと寛ぐ。この町では特につけられたりもせず、いちいち犯罪者を聖人にする必要も無さそうだ。


 今日はゆっくりと寝れそうだと安堵していると、俺達が泊まっている宿の周囲にチラチラと妙な連中がうろつき始める。今日こそは余計な事をしなくても済むと思ったのに、いったい何の用だよ面倒臭い。


 そう思って周囲の妙な連中を確認するも、怪しげな連中だ。見た目は小奇麗でスラムの連中には見えないが………人相というか目つきの悪い連中しかいない。悪人というか、犯罪者が身形みなりだけ整えたという感じか。


 集まってきた奴等に何やら伝えているものの、「ボス」とかいう単語が出ている時点で組織の連中だ。挙句にこちらの泊まっている……あーあー、そういう事かよ。また宿の従業員とグルのパターンか。実に”聖国”だな。



 「どうしたのだ、アルド? 1人で妙に納得しているようだが……周囲でウロチョロしている奴等の事か?」


 「ああ。どうやら犯罪者のようだが、見た目だけは綺麗に整えている連中でな。妙だと思っていたら、宿の従業員とグルのパターンだった。ここは立地が悪くて宿代が安いからか、従業員がそういう商売をしているらしい」


 「よくある事っていうか、今までもあった事だね。そんな事やってるから、アルドに殺されたリ聖人にされたりするんだよ。でも、悪い事してるんだから、仕方ないよね」


 「そうだね。そもそも最初から悪い事をしなければ良いんだし、聖人に変えられても文句は言えないよ。真面目に生きてれば良かったんだし」


 「無理矢理に真面目にさせられるというのも、それはそれでどうかと思わなくもないが、それでも犯罪が許される訳では無い。結局は自業自得なうえ、無理矢理に矯正されても文句は言えんな。自分ではなくなるようだが、諦めろというところか」



 まあな。最初から余計な事などしなければ良かった、それに尽きる。全ては余計な事をした奴が悪い。さて、それはいいとして、近くに寄ってきたダリアをブラッシングするかな。


 俺は綺麗に【浄化】しつつ、神獣の毛のブラシでダリアをブラッシングしていく。相変わらずのリラックス効果だが、ダリアが寝ても気にせず続け、十二分に綺麗になったら次はフヨウだ。


 スライムボディに意味があるのかと思うかもしれないが、柔らかさとか弾力が何か違う気がするんだよな。という事で十分に納得するまで撫で続ける。既に「でろーん」となっているが、気にせず撫で続け、納得できたら次は子供達だ。


 蓮を布団の上で梳いていき、寝ても【念動】で座らせながら綺麗になるまで梳き続けた。それはイデアにも行い、イデアも綺麗になったら布団に寝かせる。ダリアとフヨウも左右に寝かせたら、今度はウェルだ。


 ベッドに連れて行き、十二分に貪った段階で気を失っているが、【念動】で起こしてブラッシングする。服を着せつつしているのでゆっくりだが、外の連中は未だに入ってこないから余裕がある。まだまだ問題無いみたいだな。


 そう思っていると外の連中に動きがあった。あったのだが……何だアレ? かつての盗賊団<ドクロの花>の女ボスと同じアルラウネーのような感じだが、体が変わったら手首から先が触手みたいになったぞ?。


 まさか呪いに汚染された奴が居るとは思わなかったが、迂闊に【浄化】する訳にもいかないな。俺はふとした思い付きを実験する為に、アルラウネーのようになっている男を【浄化】しない事に決めた。男だからナルキッソスだろうか?。


 そこはどうでもいいとして、俺は触手でドアの鍵を開けようとしている植物男を含めて全員を【衝気】で気絶させ、【念動】で浮かせて部屋の中に入れる。プロではないのか、連中も見張りと思えるようなのは居なかった。


 侵入者である6人に枷を2つずつ着けて話を聞くと、スラムの連中だという事が判明。どうも3人ほど呪いで変貌した奴を抱えているらしい。普段は出さないものの、やはり強力な力だからだろう。こいつらはそれをキッチリと利用しているらしい。


 話を聞くにアリシアのような大猿とは違うものの、それでも身長2メートル越えの猿になれる者も居るようだ。呪いで変貌する姿はある程度決まっているのだろうか? そんな事を思いつつ、呪いに関わりの無い奴には3つ目の枷を嵌める。


 そして植物男には両腕両足に枷を嵌める。そのまま3分待つんだが、どう変わったのかは分からない。見た目的には変わったようには見えないのだが、3分は確実に過ぎているので枷を外し、強力に【浄化】する。


 その結果、あの女ボスやゾルダーク侯爵家の長男のように消え去る事は無かった。おそらく呪いの種族ではない別の種族に変貌したからだと思われる。それが何なのかは分からないが、確実に呪いを浄化してくれるだろう。そういう者を生み出す枷だし。


 俺は侵入者を窓から外へ出し、宿の前の道の端に寝かせたらスラムへと移動する。スラムの場所も組織の場所も知っているので、罪を暴く腕輪を着けて、手当たり次第に聖人にしていく。そこに慈悲は一切無い。いや、聖人にしてやる事が慈悲か。


 そんな事を考えつつ次々に聖人にしていき、ようやく侵入者の組織を残すのみとなった。この町のスラムには呪われている連中が所属している組織しかなく、小さくとも他の組織が出来ると潰しているそうだ。おかげで組織が1つしかなくて分かりやすい。


 組織の連中が固まっている区画の建物に侵入しては聖人に変えていき、呪われている奴かどうかを確認していく。どんどんと聖人に変えていると呪われた奴を見つけたので、枷を4つ着けて浄化能力を持つナニカに変えてしまう。


 それが何かは知らないが、俺が知る必要も無い。なので変えたら【浄化】して確認し、消えないと分かったら次へ行く。そのまま様々な奴を聖人にしていき、やっとボスを残すのみとなった。


 この組織のボスは二足歩行の虎の姿らしく、爪での攻撃や噛み付きが強力なんだそうだ。何人か喰い殺したんじゃないかとすら言われているそうで、怖れられていた。俺はそんなボスにさっさと4つ枷を着け、3分待ったら確認して宿に戻る。


 最後に宿の従業員を全員聖人にしたら、部屋に戻ってベッドに寝転がる。部屋と体を綺麗にしたら、おやすみなさい。



 <呪いの星87日目>



 おはようございます。今日は更に西に行く日ですが、一昨日、そして昨日と聖人化で疲れました。わざわざ関わってくるなと思うが、呪われた奴がいて実験できた事は良かった。おかげで枷を4つ着けて種族を変えてやれば消えない事も分かったし、浄化能力を持つ種族に変わる事も分かった。


 おそらく人間種でも変えられるだろうが、迂闊な事はしない方が良いと思う。この星が浄化能力を持った変な種族だらけになっても困るし、流石にそんな責任は持てない。なので呪われた奴を変えてしまうぐらいが一番良いだろう。後、ドラゴン。


 朝の日課を終えて、欠伸をしながら紅茶を淹れる。2日連続での聖人化は厳しいものがあった。今日はエイテシャ町まで行くが、そこでも襲われたら1日休憩してから山越えをしよう。流石に3日連続は休まないと駄目だ。


 そんな事を考えていると蓮が起きたので見送る。次にイデアも起きたので見送り、俺はゆっくりと紅茶を飲みながらボーッと休む。戻ってきた蓮は紅茶をコップに入れ、戻ってきたイデアも紅茶をコップに入れる。


 相変わらず適当にハチミツを溶かす蓮と、全てをしっかりと溶かしてから飲むイデア。そんな2人を見つつストレートで飲む俺。三者三様の状況だったが、ウェルが起きてトイレに行くと同時に2匹も起きる。


 水皿に神水を入れてやり、2匹に飲ませてダリアからペシペシされた頃にウェルが戻ってきた。紅茶を入れて一息吐くと話し掛けてくる。おそらくは昨夜の事が聞きたいんだろう。


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