0184
ギルドを出て、どこに狩りに行こうか考える。山には行ったから、次は大森林だろうか。川を跳び越えるのは今のディルなら簡単だろうし、大森林でも問題なく戦える。
その事を皆に伝えて、大森林へと出発した。川の傍の道を遡り、川幅が狭くなっているところを跳んで渡る。ダリアですら自分の足で川幅8メートルを跳べるようになったんだなぁ。
妙な事に感動というか感心していると、早速魔物が現れた。……と言っても安値でしか売れない奴等だが、折角なので持って帰って肥料にでもなってもらおうか。
「右上からジャンプスネーク5、左からコボルト2。コボルトはディルに任せる」
「「「「「了解」」」」」 「ニャ」 「グル」
ジャンプスネークの方は問題なく始末した。流石に数の暴力と言っていい酷さだが、戦いというものは所詮こんなものである。こっちが終わる頃には、コボルトの方も終わっていた。
ディルも危なげなく勝利していたものの、本人は納得していない様だ。身体強化が上手く使えなかったからだろう。必要な時に必要な分だけ強化する。これがなかなか難しいんだよな。
身体強化と言っても疲れは出る。強化すればする程に疲労は大きくなり蓄積していく。これは身体強化のデメリットである以上、受け入れるしかない。
ただし、適切な配分にする事によって疲労を緩和する事は可能だ。だからこそ、訓練中は【魔力】と【闘気】を僅かに纏うだけにする。それによって少ない量の感覚を覚え込ませる訳だ。
それさえ出来るようになれば、次のステップに進める。そんな事をディルを含めて皆に教えていく。その時、ふとディルの顔の紋様が目に入った。ディルって幽人族だっけ……?。
「あーっ!? しまった、忘れてた!」
「な、なんだ? 一体どうしたんだ?」
「済まない大きな声を出して。ディルに【念術】の訓練をさせるのを、すっかり忘れていたんだよ。ディルが幽人族だったのを今思い出した」
「「「「「………」」」」」
おおぅ……。凄いジト目で見られてるな。久しぶりかもしれない。身内にジト目で見られる事って滅多に無いから逆に新鮮だ。それにしても、紋様って見慣れると気にならなくなるな。
「アルド……幾らなんでも紋様を見れば分かるでしょうに」
「そうなんだが、幽人族が【念術】が得意なのとディルが一致しなかった。それに【念術】を教えてほしいとも言われなかったので、完全に抜けてしまってたんだ」
「そういえば、何故ディルは【念術】を学ぼうとしなかったのさ? 私達は馴染みがあまり無いんだけど、ディルもそうなのかい?」
「……私は【念術】が全く使えないんだ。念力が多いのは顔の紋様の大きさで分かっているのだが、父から教わった事が無い。教わる前に亡くなったのでな」
「ああ、そうなのね。里の者はディルに教えなかったの?」
「里では顔の紋様が殆ど無い者ばかりなのだ。ここまで顔の広範囲に紋様が広がっているのは、父と私ぐらいしか居ない」
「どんどん力が落ちていって【念術】自体も伝えられる者が居なくなってしまったんだな。もしかしたらディルの父親が最後の1人だったのかもしれない」
「そういえば、私達でも【念術】というのは使えるのかい? それとも幽人族じゃないと無理って決まってる?」
「いや、誰でも使える。ただし【念力】を消費するがな。【念力】は【魔力】や【闘気】と似たような物と考えれば良い」
「なら、アタシ達でも使えるね。使い熟せるかは別だろうけど」
「まずは、【念話】と【念動】だな。【念術】の中には悪用厳禁の技が多いのと、危険な技が多いので、迂闊に教える事が出来ないんだ」
オレは皆に【念話】と【念動】の使い方を教える。特に重点的に教えたのは【念話】の方だ。声に出さなくても会話が出来る為、戦闘時にも役に立つ。それに離れていても会話が出来るのも理由だ。
その為か必死に練習しているのが何とも言えない。ちなみに、念神が俺に話し掛けてくるのも【念話】だ。神界からでも届くのは、念神の権能によるものなので俺には不可能な事になる。
念神から繋いでくれれば会話が出来るが、俺から神界の神々に繋げるのは不可能だ。その為、接続を切られたら、それ以上会話は出来ない。向こうからの一方通行なのは、それが理由だ。
皆は【念話】の練習をしているが、魔物が気を使ってくれる訳ではない。出てきた魔物には対処しないとな。
「前方左からフォレストベア2頭、右後方からポイズンスパイダー3匹。フォレストベアはディルに任せる」
「「「「「了解」」」」」 「ニャー」 「ガウッ」
ディルはフォレストベアの前に立ち、早速隙を伺い始めた。ポイズンスパイダーはメルが正面を受け持ち、ダナ、シュラ、アルメアが足を斬り落としている。何で3人とも嬉しそうなんだろうか?。
1本ずつ丁寧に根元から斬り裂いているのが何とも言えない。笑顔で魔物をスパスパ斬り裂く美女達。……うん、B級ホラーかな? 映像だと、きっと大した事は無いんだろう。
下らない事を考えていたら戦闘が終わっていた。ディルの方は危なげなくフォレストベアの隙を突いて、首を斬り裂いていたな。上手く踏み込むタイミングを見極めているようで何よりだ。
武器が非常に良いので、踏み込んで斬れば致命傷を与えられる。後はどのタイミングで踏み込むかだけだ。状況に合わせて無理をせず、敵を一つずつ潰していくのが勝利への道となる。
それだけで十分勝利していけるだろう。駄目そうなら、最初から一目散に逃走すればいい。命さえあれば幾らでもやり直しは出来るんだよ、俺達は不老長寿なんだから。
さて、処理も終わったし先に進むか。再び歩き出すと、また【念話】の訓練をしている。そこまでして使いたいのか? ディルなら分かるんだが、皆の方が熱心なのがなぁ……。
『丁度、崖近くまで来たから昼食を食べようか?』
「「「「「!!!」」」」」
「ビックリしたじゃないか! いきなり使うのは止めておくれよ!」
「ゴメン、ゴメン。で、昼食にするんだが良いか?」
「いいよ。丁度お昼時みたいだしね」
「そうね。景色の良い所で食べましょうか」
「しかし、アレだね。邪生の心臓を食べるようになってから、何故か太らなくなった気がするんだけど……皆はどうだい?」
「確かに太らなくなったと思うよ。お肉ばっかり食べてる気がするけど、一向に太る気配が無いんだよね」
「確かにそうですね。今までなら間違い無く太る量を食べてますけど、全くその兆しがありません」
「私もそうよ。体は綺麗になって引き締まるし、色は綺麗になるし、胸の張りと弾力は良くなるし。悪い事が何も無いのよね」
「そんなに凄い効果があるのか。私は太りやすい体質で、暗殺の仕事の為に節制するのが当たり前だったんだ。これからは多少食べる量が増えても良いんだろうか?」
「皆の体は邪生の心臓で強化されている反面、その強化量に必要な食事量を取らなきゃいけない」
「つまり、沢山食べなければいけないんだね? そうじゃないと痩せていく……?」
「そうだな、多分痩せていくと思う。でも邪生の心臓を食べ続けた肉体がどうなるかは知らない。俺の肉体に近付いている感じはしてるんだが……」
「アルドの肉体に近付くのか? ……男になる?」
「それは無い。そうじゃなくて、神の使う肉体に近付くって事だ。この体は食事の量をそこまで必要としないし、睡眠もそんなに必要ない。ちなみにだが、沢山食べても太らない」
「前に聞いた事あるけど、何度聞いても凄い肉体だねぇ。流石は神様の使う肉体だよ。でも、それに近付いていくっていうのは良いのかね?」
「多分なんだが、神の肉体に近付くのは不老長寿だけだと思う。流石に神の祝福を持たない奴等にまで、それを認めるとは思えない」
「確かに、そうだね。神様達がそこまで好き勝手をさせるとは思えないよ」
「分かるんだけど。それ以前の問題として、邪生の心臓を食べられるまで浄化出来るのは、アルドくらいのもんさ」
「ああ、その事だけどな。邪生の心臓を完全に浄化するには、浄神の権能を貸し与えられて使うか、【神聖八重浄化】を完璧に使い熟せないと無理だから」
唖然としてるが、事実だからな?。
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0184終了時点
大白金貨1枚
白金貨2枚
大金貨14枚
金貨71枚
大銀貨92枚
銀貨69枚
大銅貨309枚
銅貨2枚
ヒヒイロカネの矛
ヒヒイロカネの小太刀
剣熊の爪のサバイバルナイフ
アダマンタイトの十手
二角の角の戦斧
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
剣熊の骨の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
強打猪の革のジャケット
強打猪の革のズボン
真っ黒なブーツ
大型のアイテムバッグ