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 「私どもは貴殿が様々な事をやったと思っております。しかし、貴殿が言われたように証拠が無い。ですので私どもは動けません。しかしながら聖教の者達は違いますぞ? 神の名の下に貴殿を裁くかもしれませぬ。我々なら執り成す「要らん」事もでき……」


 「聖教とかいう所の連中が、神の名の下に俺を殺そうなどというならばな……やらせろ。浄神、つまり浄化の神の使徒である俺が連中を殲滅してやる。今から行って伝えてこい、暗殺者なり何なり送ってこいとな。俺は逃げも隠れもせん、皆殺しにされたいなら手を出してこい」


 「「………」」


 「勘違いしているかもしれんが、お前らもだぞ? 殲滅されたければ手を出してこい。そもそも俺にとっては、この国が無くなったところでどうでもよければ、興味も無いんだよ。お前ら勘違いしてないか? お前らの足下はいつ崩れても不思議じゃないんだがな?」


 「「………」」


 「相変わらずの阿呆どもだな。アルドはよく言っておるが、権威や権力では己の身を守る事はできんぞ? 身を守るには暴力が要るが、その暴力が圧倒的なのがアルドなのだ。我らドラゴンでさえ殺されるしかない圧倒的な暴力を敵に回して、どうやって勝つ気なのか聞いてみたい。本当にどうやって勝つのだ?」


 「……はぁ、ここまで話が噛み合わないとは思いませんでした。あまりにも愚かで呆れる。貴方がたの言葉はそのまま陛下にお伝えいたしましょう。明日の朝日は見れないでしょうが、きっと貴方にとっては良い人生だったのでしょうね」


 「ふん! 頭を下げれば寿命まで生きられたものを! 所詮は矮小な下民か!! さっさと殺せば良かったのだ!! ゴミなどな!!!」



 そう言って王太子と爺さんは去っていった。久しぶりだなー、真正面から喧嘩を売ってきた奴は。しかしながら、どうやらこの国は崩壊が決定したようだ。とはいえ、俺にとってはどうでもいいので興味ないな。さて、どうしたものか?。



 「あの、良いんですか? 完全に怒ってましたよ、王太子様も宰相様も。このままじゃマジで殺されますよ? 冗談でもなんでもなく」


 「先ほども言ったであろうが。我らドラゴンを容易く殺せる者が、人間種相手にどうにかされると思うのか? そんな事は無理だ。どう足掻いたところで、連中は殺されるしかない。だいたい魔法士団の者と近衛騎士団の者が赤ん坊に戻されたのを忘れたのか? それが自分に降りかからない保証が何処にある?」


 「「「「「「………」」」」」」


 「後、お前達も身の振り方を考えておけよ? 王族や貴族が一気に居なくなった国っていうのは崩壊するからな。スラムの連中は大暴れするだろうし、住民も略奪に走る。お前達が殺されそうになっても誰も助けんぞ」


 「「「「「「!?」」」」」」



 俺の言葉を聞いた転移者どもは急に「どうする?」と言い始めたが、俺が本当にそんな事をするのか疑問なんだろう。そうなってからでいい。そう思い始めたようだ。平和ボケしてるねえ……と思っていたんだが、青年と女性2人は真剣だ。あの3人は俺がドラゴンを殺すところを見ていたからな。


 料理人が料理を運んでくれと言いに来たので、青年が慌てて料理を取りに行った。話し合いがアレ過ぎて料理を忘れてたのか。まあ、この国が崩壊すると聞かされてもなー、普通は現実感など無い。そして現実感が無いままに崩壊する。


 俺は浄化されたカレーを食べ、久しぶりのカレーにウェル以外が満足した。ウェルは普通のカレーを初めて食べたので、何故か猛烈に感動していたが。


 それはともかくとして、店が終わった料理人がやってきたので話しておく。この国が崩壊する事を。



 「いや、国が崩壊すると言われましてもですね……いきなり言われても受け止めるのは難しいですよ?」


 「そんな事を言われてもな。奴等が喧嘩を売ってきたら潰す、当たり前の事だ。喧嘩を売ってきた相手に対し、何もしないなどあり得ない。反撃は当然される。この国の連中は魔法士団や近衛騎士団の連中が赤ん坊に戻されても危機感が無かった。だから崩壊するんだよ」


 「はあ……あの、私達はどうすればいいのでしょう?」


 「知らん。俺達が言ってやれるのは、この国は崩壊するから身の振り方を考えておけ。それぐらいだ。スラムの連中が暴れるのか庶民が暴れるのかは知らん。とはいえ、古い時代の国など権力者が居なくなれば略奪と暴虐の嵐だ。お前さんらも、いつ強姦や殺人という目に遭うかは分からん。その覚悟はしておけと言っている」


 「「「「「「「………」」」」」」」


 「じゃ、そういう事だ。恨むなら現実を何も理解していない馬鹿どもを恨め」



 そう言って、俺達は宿へと戻った。そもそも夜の間に潰す事は容易く出来る。全てを赤ん坊に戻すか、それとも首を圧し折って始末するかだ。然してどうこうという事も無い。宿の部屋で子供達にそう言い、朝起きたら全て終わっていると言うと呆れられた。



 「だってそうなるっていうか、アルドがそうするんでしょ? だったらこの国は絶対に壊れるよね?」


 「だよね。アルドさんが言ったにも関わらず、向こうは自分達の事だと思ってなかったし。自分の事だと考えられずに騒ぐんだから、滅んでも仕方ないよ」


 「国崩しか……かつての時代にはあった事だし、そこまで珍しい事ではないな。一個人がやるというのは、歴史上初めての事であろうが」



 そんな話をしていた子供達も眠りにつき、2匹も左右に寝かせて【昏睡】を使う。ウェルも寝かせ準備は完了。いつでも良いんだが、何故か宿の周りに誰もいないぞ? おいおいさっさと暗殺者を、って今来たな。


 さてさて……人数が随分多いが、いつも通り部屋の前まで来た奴等を【衝気】で気絶させる。【念動】で浮かせて中に入れ、外の連中も気絶させたら部屋の中に入れる。1人ずつに聞いていくが、こいつらは国の暗殺者だった。


 前の連中と変わらないが、これで国が差し向けてきたのは確定した。ついでに聖教からも送られてきた奴が混じっている。どうも聖教は内部に子飼いの暗殺者が居たらしい。虎の子の部隊なので表に出た事も殆どないようだ。


 成る程と思いつつ、聖教の連中の建物を【空間把握】内に収め、1人ずつ殺害していく。もともと聖教のトップはこちらに暗殺者をけしかけてきた連中だ、容赦をする必要など欠片も無い。


 どのみち組織の者は腐るし、同じ事を繰り返す。一度崩壊させて無くし、ある程度の年数が経たないと綺麗にはならない。腐った頃を覚えている連中が残っていれば、また腐らせるからな。それは末端も変わらない。


 だから全員殺す。そこに慈悲も何も無い。そもそも慈悲をかけてやってたら、浄神から「ヌルい」と怒られたんだ。根切りにしろと、容赦するなと言われたんだぜ? 神様から「手ぬるい」って言われるんだから、乾いた笑いしか出ないよ。


 今は面倒なんて素早く【至天】を使い、完全に精神を破壊している。本人は幸せの中に居るんだから嬉しいだろう、帰ってくる事は不可能だが。聖教の連中は終わったので、今度は貴族街の連中だ。


 この国が喧嘩を売ってきた以上、国政に関わる全ての者は敵と見做す。といっても、先ほどと同じ様に精神を破壊して回っているだけだ。そもそも政治が回らないという時点で、国家としては崩壊するからな。国を壊すには頭を壊せばいい。


 元の世界では選挙で政治家が選ばれるから官僚を殺戮しないと意味が無いが、こういう時代では殆どが貴族だけだ。何故なら貴族が役職を牛耳るからな。


 つまり数としては多くないうえ、地方の連中を残しておけば必ず群雄割拠して揉める。つまり俺がやった事は有耶無耶になるだろう。


 自分が権力を握れると思えば、必ずと言っていい程に無視するだろうなあ。前の王朝なんて叩き潰し、諸悪の根源だと喧伝する。それは元の世界の大陸が証明しているしな。


 自分達が権力を握れれば何でもいい。それが次の連中の思考回路だ。


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