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 ウェルを眠らせたのは良いのだが、外に居る奴等は未だに侵入してこない。いったい何がしたいのか分からないが、奴等の狙いはこちらの筈だ。そもそも連中の悪意がこちらに向いている以上は、絶対にこちらに何かをする気なんだが……。


 ようやく宿に侵入してきたか。そして俺達が泊まっている部屋に一直線……に来たな。何で俺達の泊まっている部屋を知ってるんだ? まあ、それは聞けば分かるか。俺は外で見張っている奴が居ないのを確認して、部屋の前の奴等を【衝気】で気絶させる。


 その後はいつも通りに【念動】で浮かせ、部屋の中に入れたらドアを閉めて鍵を掛ける。両腕両足に枷を着けたら【止音】と【白痴】を使いつつ【覚醒】で起こし、全てを聞き出したら首を刎ねて収納していく。


 全員から聞き出して分かったのだが、こいつらはフィオム山の向こう側からやってきた連中だった。で、フィオム山の向こうには、こいつらに似た連中が多いらしい。この国では目立つものの、かといって居ない訳でもないんだと。


 こいつらの目的自体は強盗でしかないんだが、重要なのはこいつらがどうやって聖国にやってきたかだ。で、その方法なんだがフィオム山を越える事だった。このセプテイソ町には向こうで暮らせなくなった連中が、フィオム山を越えて決死の覚悟で逃げてくる。


 こいつらは子供の頃に連れて来られただけで、どんなルートだったかはよく覚えていないそうだ。ただし冬にしか越えられないらしく、その事だけは侵入者全員に共通した情報だった。という事は今の時季に行っても越えられないな。俺も無理矢理に行く気は無いし……。


 とりあえず死体を町の外で処理してくるか。窓から外に出たら町の外へと移動し、穴を掘って【浄炎】で火葬、穴を埋めたらさっさと【浄化】して戻る。部屋に戻る前に再度【浄化】したら、部屋に入ってベッドへ。それじゃあ、おやすみなさい。



 <呪いの星79日目>



 おはようございます。今日は一日情報収集です。朝の日課を終えたら紅茶を淹れてゆっくり飲みつつ、朝の静かな時間を過ごす。今日は随分と皆が寝ていた御蔭で、俺は静かな時間をゆっくりと過ごす事が出来た。


 部屋を片付けた後、食堂へと移動して中銅貨6枚を支払い、朝食を食べたら情報収集を開始。色々な人に大銅貨1枚を渡しながら聞いていく。その結果、どうも聖都から北へ行くルートで西へは行けるらしい事が分かった。……まあ、仕方ないか。


 昼まで色々な人に聞いたが、やはり共通しているのはフィオム山を越えるのは止めた方が良いとの事。聖都から北のルートがあるんだから、危険な事をする必要もないか。そう思い、皆とも話し合って聖都に戻る事を決めた。


 食堂に行って中銅貨6枚を支払い、昼食を食べたら宿に行きキャンセルを言って町を出る。そのまま東へと走って行くも、この日はメメネマ村を過ぎた所で終了。カマクラや焼き場などを作ったら食事をし、カマクラに入ってゆっくりと休む。


 すのこと布団を敷き、子供達が寝たらウェルを寝かせる。綺麗にしたら、おやすみなさい。



 <呪いの星80日目>



 おはようございます。今日は聖都へと走って移動です。朝の日課を終えたらカマクラの外に出て、焼き場で紅茶を淹れたら静かに過ごす。今日はイデアが一番早かったが、その後は雪崩を打つように皆が起きてきた。


 朝食を作って食べた後、後片付けを終えたら全てを更地にして出発、東へと走って行く。この日はバッテオス村を越えた所まで移動できたが、ここで終わりだ。昨日と同じくカマクラや焼き場を作って、夕食を作る。


 ここ最近自炊が多いからか皆の機嫌が良い。まあ、食事が美味しいからな、気持ちは分からなくもない。その美味しい食事を終えた後は、カマクラに入って各々が好きに過ごす。子供達が舟を漕ぎ始めたので寝かせ、既に寝ている2匹を左右に寝かせて【昏睡】を使う。


 今日はリクエストがあるらしく、カマクラの外に出て入り口を閉めると激しく求めてきた。自分のやりたい事を全力でやり、されたい事を全力でされたウェルは大満足、今はピクピクするだけになっている。とりあえず綺麗にするか。


 体を綺麗に【浄化】した後で服を着せ、カマクラに入って寝かせる。俺も寝転がり、綺麗にしたら、おやすみなさい。



 <呪いの星81日目>



 おはようございます。今日で聖都に戻れるでしょうが、余計な事に巻き込まれるのは確実でしょう。それでも聖都で北ルートの事を聞きだしたりなどしなければいけない以上、一度は戻る必要があります。


 朝の日課を終えたらカマクラの外に出て、紅茶を淹れてボーッと過ごす。特に誰かが起きてくる事もなく静かな時間を過ごし、ある程度経ったら朝食の用意を始めた。今日の朝はうどんだ。


 途中で起きてきた皆にも手伝ってもらい、パパッと終わらせて食べたら、後片付けを行う。終わったらカマクラなどを壊して更地にし、聖都へ向けて出発。いつも通りに走って行く。


 ……昼前には聖都に着いたんだが、門番どもがザワザワしているうえに、何処かへと走って行った。おそらく何かを伝えに行ったのだろうが、俺達が気にする必要は無い。順番が来たので登録証を出し、見せたら中へと入る。


 前回と同じスラム近くの宿に行き、大銅貨15枚で5日間部屋をとる。大銅貨も使わないと無くならないんだよなー。とりあえず昼食を食べに行こうと思ったら、見たことのある青年が来たぞ?。



 「すみません、食事ならショウジさんの店でお願いします。裏の建物に王太子様が来られるそうっすから」


 「またか。いちいち呼び出すなよな、と言いたいが、お前さんは伝えにくるだけだしな。ま、とりあえず行くか?」



 俺は皆に声を掛けて、料理人の店へと移動する。料理人の店の裏には彼等が寝泊りしている一軒家があった。青年が食事を持って来てくれるらしいので、カレーを頼んで中銅貨24を枚払う。


 少しは浄化して美味しい料理になったのか気になるところだ。そう思って待っていると、表に豪華な馬車が来た。わざわざここで話すのに、無駄に目立つ事するなよなー。鬱陶しい。


 そんな事を考えていると、入ってきた王太子はかなり怒っているようだった。玉座の件か? それとも赤ん坊の件か? それ以外に何かあったかな。まあ、何でもいい。再び戦争となれば殺すだけだ。



 「そなた、やってくれたな!!」


 「開口一番なんだ? まずは話せ、説明しろ。何の事を言っているのかサッパリ分からん」


 「キサマ! 我が国の玉座に何をした!!!」


 「玉座? 玉座って……王の座る椅子か? それがどうかしたのか?」


 「白々しいぞ!! 玉座が穢され、異常なほどの臭気を発していた! 知らぬとは言わせんぞ!!!」


 「知らんな。そもそも玉座ってのは王城にあるのが普通だろ。そこに俺がいつ行った? そもそも俺がどうやって王城に入るんだ? 濡れ衣を着せようとしているなら再び戦争だぞ。覚悟は出来ているんだろうな?」


 「………くっ」


 「何が、くっ! だ。俺に無実の罪でも着せようと思ったのか? ここで今すぐ死にたいのか? だったらそう言え。今すぐ殺してやる」


 「………」


 「結局、思い込みで人を犯罪者に仕立て上げようとしただけか。随分と素晴らしい”聖国”とやらだ。この国は王太子の思い込みで犯罪者にされるらしい。ビックリだな」


 「ぐっ……」


 「で、何の用だ? 下らん事をホザきに来ただけなら、さっさと失せろ。飯が不味くなる」


 「魔法士団と近衛騎士団の団長と副団長だ!! あれは何をした!!」


 「何を? と聞かれてもな。俺には何を言っているのか分からん。先ほどと同じように説明しろ」


 「魔法士団の団長と副団長、それに部屋に居た者。近衛騎士団の団長と副団長、それに部屋に居た者。全員がまともな受け答えすら出来んではないか!!」


 「で、それがどうかしたのか?」


 「ふざけるな!! キサマがやったのだろうが!!!」


 「その証拠がどこにある? また言い掛かりか? この国の王太子とやらは、とことん腐っているな。狩人に言い掛かりをつけて殺したいらしい。醜い奴だ。違うなら証拠を出せ、それを集めるのはお前らの仕事だ」


 「ぐぅ………」


 「はぁ……証拠も無しに喚くとは随分な国だな。法も何もあったもんじゃない。法がまともに機能しない国って、どれほどの蛮族国家だよ。それを証明してるって事を理解してないのか? 王族の言葉ってのは、そんなに軽いのか? この国では」


 「それは違いますな」



 王太子の横に居て、こちらをジッと見てきていた爺さんが口を開いた。俺が警戒しているのは、そもそもコッチだ。ポンコツの王太子ではない。


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