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 ウサギ肉の唐揚げは好評だったが、ちょっと騒ぎすぎでもあった。近くに魔物が来るかもと警戒していたが、幸い来る事も無く、俺は後片付けをしたらさっさとカマクラに入る。子供達はリバーシをしながらも聖都の話をしているようだ。



 「魔法士団の団長と副団長、近衛騎士団の団長と副団長が赤ちゃんになってるんだよね? ……そもそもアルドが教えた魔法の使い方を、何故自分達のものだって言い出したんだろう? 国のやり方なんて知られてるんじゃないの?」


 「さてな。そいつら秘技とか言ってたらしいし、王族にも話していない方法だとかホザいたんじゃないか? 根本的な魔法の使い方が間違っている事に気付いたのか、それとも基本が間違っている事に気付いたか。どっちかだろうさ」


 「つまり魔力を感じ取って、それを流すっていう当たり前の事をしてなかったという事ですか? ………そんな事ってあり得るのかな? だって大前提の技術ですよ?」


 「魔法が使える事を評価しているなら、基本を疎かにしている可能性は十分ある。俺がよく言う、魔法が”使える”だけの連中だ。その使える事が正しいと勘違いする可能性はある。実際そんな奴は前の星にも居たしな」


 「アルドは言っているからな、魔法が使える事は始まりでしかない、と。その後に研鑽していくのであって、魔法が使えるだけで満足しては駄目なのだ。とはいえ、私も使えるようになったらそれ以上の努力はしなかったので、何とも言えんのだが……」


 「そういう奴は多いみたいだな。使えるという結果が出るからか、それ以上を求めなくなる。だからこそ魔法の威力も上がらなきゃ、効率化も出来ていない。所詮その程度なんだが、何故か妙に偉そうなんだよなー」



 そんな雑談をしていたら子供達が舟を漕ぎ始めたので、すのこを敷いて布団を敷き、子供達を寝かせていく。2匹も左右に寝かせて【昏睡】を使ったら、ウェルと一緒に外に出て裸になり、満点の星空の下で貪り合う。


 いつもと違い外なのでウェルも大きく悦び、最後には色々な意味で大満足をアピールする結果となった。綺麗に【浄化】した後で服を着せ、カマクラに戻したら寝かせる。いつも通り体などを綺麗にしたら、おやすみなさい。



 <呪いの星78日目>



 おはようございます。今日も西へと走って行きますが、今日は何処までいけるでしょうか? 朝の日課を終わらせた俺はカマクラの外に出て、紅茶を淹れてゆっくりと飲む。そうしているとウェルが起きたようだ。


 ウェルが出てくるので入り口を壊してやり、出てきたら再び閉じる。子供達や2匹はまだ寝てるからな。朝の挨拶をした後で俺の横に座り、紅茶を飲みつつボーッとしていたウェルは、突然動き出すと襲ってきた。



 「んふっ♪ ……チュウッ………ごちそうさま。昨夜が大変素晴らしかったのを思い出してな、そうすると堪らなくなってしまったのだ。アルドも満足してくれたようで、私も嬉しい」


 「まあ、それはそうなんだが……朝からはなー。子供達が起きてくる可能性があるので冷や冷やする。なのであんまり……よし、【浄化】終わり」


 「ありがとう。まあ、確かに気もそぞろとなってしまうのは仕方ないか。アルドの雌として、それは宜しくないな。雌の御奉仕を、万全の態勢で余す事なく味わってほしいし……どうしたものか?」



 いや、子供達が居るので難しいと思うぞ? それはそうと、そろそろ朝食の準備を始めるか。今日の朝食はタコスモドキにするつもりなので、簡単にパパッと作ってしまおう。まずは全粒粉と塩と神水だ。


 混ぜ合わせた後で捏ねていき、途中からウェルに任せて俺は呪いコボルトの肉とかす肉を炒めていく。味付けは神水と灰持酒と黒砂糖を混ぜて甘くした味噌だ。炒め終わったら新鮮な野菜とマヨネーズを用意して準備完了。


 途中から起きてきていた子供達と2匹の分も用意し、早速食べよう。それじゃあ、いただきます。



 「うん、今日も上手く出来てる。それはともかくとして、今日はちょっと急ぎで走ろうか。場所が場所なんで、上手く走ればセプテイソ町に着けるかもしれないんだ。そうなれば明日一日ゆっくりとフィオム山について情報収集出来る」


 「まあ、それで良いのではないか。いつもと同じ速度では身体強化も上達せぬであろうしな。1つ1つ努力して伸ばしていくには良いと思う。それよりも西の山が越えられるかどうかと、越えて意味があるかどうかだな」


 「そうだね。無理に越えても何も無いんじゃ意味ないし、何も分からないのに頑張って越えても……」


 「もし何も分からなかったらどうするんですか? もしかして戻る事も?」


 「可能性としては無い訳じゃないな。その場合は少々面倒な事になるだろうが、それは仕方ない。絡んでくる可能性としては極めて高いが、代わりにフィオム山の西側の事を聞くさ。流石に王族なら何がしか知ってるだろ」


 「それはそうだろう。向こうに何も無い事を知っておるかもしれんし、国がある事を知っておるかもしれん。少なくとも、この国は西の山までが国家の領土なのだ。西の山の先がどうかという事くらいは調べた事があろう」



 朝食を終えた俺達は後片付けをし、カマクラなどを壊したら出発する。淡々と走り続けメメネマ村付近で昼食をとり、その後も黙々と走り続けてセプテイソ町に到着。なんとか夕方には辿り着く事が出来た。


 門番に登録証を見せて中に入り、大銅貨を渡しながら宿の場所を聞く。スラムに近い場所に安い宿があったので行き、2日で中銅貨10枚を渡す。その後は近くの食堂に行き、中銅貨6枚を支払って夕食を食べた。


 特に聞くべき情報も無かったので宿に戻り、布団を敷いたりしてからゆっくりする。子供達も少々疲れたらしく、既にウトウトしている。しかたなく両膝に乗せて座らせたまま、少しの間背もたれになってやろう。



 「子供達が眠たそうにしておるのは良いのだが、これは賊か何かか? 宿の周りをウロチョロしているようだが……」


 「そうじゃないか? どうも初めて見る種族とかが居るなぁ。二足歩行の狼だが、人間種の獣人よりも狼に近いか? 耳が頭の上の獣耳だし、背中に結構な毛が生えてる。それに歯というか牙のような物もあるようだ」


 「ふむ、話だけ聞くと獣人と獣の中間みたいなものか。アルドから聞いた呪いの狼とも違うな? それよりは若干ながら人間種寄りといったところか……【呪魂環】が壊れた後、多様な種族が生まれたと聞いたが、こちらの方に居たのか」


 「もしかしたらだが、ここから西が爆心地。つまり、かつての魔導王国があった場所なのかもしれない。俺はあくまでも神様から話を聞いただけで、何処にかつての国があったか知らないんだよ」


 「私は見た事があるが、だからといって気にしていた事など無かったからな。そのうえ空を飛びながらだ、何処がどういう国かという事には興味も無かった。なので覚えていないといったところか。群れを出た後は長く隠れていたからな、余計に分からん」


 「おっと、子供達が寝たみたいだし布団に寝かせよう。それにしても周囲の連中は諦める気が無いようだな。侵入してくるのか、それとも他に何かあるのか……」



 呪いではないが、それでも獣の部分を多く残すという事は人間種より能力が高いかもしれない。そういった事を踏まえれば侮れないんだよな。相手の能力が分からないので迂闊な事もできないし。


 警戒もしなきゃいけないんで申し訳ないけど、今日は【絶頂】と【法悦】で勘弁してもらおう。命の安全の方が先だ。ま、それでもウェルは悦んでるし、帰ってこれないけど。


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