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 「ゴハァッ!? ゲホッ! ゴフッ!! ガハッ!! ハー……ハー………」



 クソガキが気を取り戻した後、他の連中が席に座るように促している。クソガキは何が起きたか分かってなかったが、思い出したのか俺の方を悪意が篭もった目で睨んできた。必要な事を喋らせたら殺すか。



 「もう1回最初からだ。料理人は俺達から魔法を学んだ後、何をどうしていたんだ?」


 「あの日は定休日で休みだったので、店に戻ってきてから4人で練習していました。すると先ほども言ったように片山君に見られていて、彼が王宮の人達に報告したと聞きました。私達は店の裏の建物に寝泊りしていますが、彼らは王宮の一角に寝泊りしていますので」


 「うん。つまり、こいつらは食事の時だけ料理人の店に来ている訳だな。ついでに魔法の練習を見ていて告げ口したと。で、次はお前だクソガキ。お前は魔法の練習を見た後に何をした?」


 「……おっさんどもが、魔法の練習して、たんで……聞き出して、王宮の……魔法士団長に、正しい方法なのか聞いた……クソッ!! どうなってる!?」


 「それは俺の使える技の1つで【白痴】という。簡単に言えば、使われたら本当の事しか喋れなくなる技だ。クソガキ、お前の意思などはどうでもいいんだよ。あまり舐めた態度とってると、喋らせた後に殺すぞ?」


 「………」


 「その後、料理人はその魔法士団に呼び出されたって事か? それとも呼び出したのは別の奴?」


 「呼び出された私達が王宮に行くと、魔法士団の団長殿と副団長殿、それと近衛騎士団の団長殿と副団長殿がおられました。流石に詰問されれば答えないわけにもいかず……」


 「まあ、料理人達は戦闘能力も何も無いからなぁ。で、次の日の朝、騎士団の連中が俺達の泊まっている宿に来て剣を抜いた訳か。それについては、お前らが命令した事か? それとも騎士団が勝手にやった事か?」


 「城下に異界の者達に魔法を教えた者達が居ると、その者は魔法士団から魔法の使い方の秘技を盗み取った者だと報告を受けた。だからこそ捕縛しろと命令を出したのは事実だ」


 「という事は魔法士団の団長と副団長、そして近衛騎士団の団長と副団長、この4人がこの事態を引き起こした犯人か……夜中に始末しておくか」


 「「「「「「「「「「なっ!?」」」」」」」」」」


 「当たり前だろうが。喧嘩を売ってきた以上、殺される覚悟があると見做す。騎士どもは俺達の前で抜剣した、である以上は殺し合いだ。俺達は治める気などない、騎士団が頭を下げない限りは戦争は継続する」


 「「「「「「「「「「!!!」」」」」」」」」」



 周りの兵士達が即座に剣を抜いたが、俺は兵士達を【念動】で空中に持ち上げつつ首を絞める。途端に俺を殺すどころではなくなった兵士ども。それにしても、兵士と騎士って仲が悪いのが普通だがなぁ。



 「あの、兵隊さん達が宙に浮いているのですが……アレはいったい……」


 「アレねー、アルドの技で【念動】っていうの。アルドは<サイコキネシス>? とも言ってたよ。ああやって宙に浮かせて首を圧し折ったり、転倒させてアキレス腱を捻じ切ったりしてる」


 「「「「「「「「「「サイコキネシス……」」」」」」」」」」


 「??? さいこきねしす? とはいったい何なのだ……?」


 「サイコキネシスというのは、何かに触れていなくても物を動かしたり、持ち運んだり出来る力の事です。別名<念動力>とも……ああ、成る程。っていうか、実際に使える人が居るんですね」



 ご飯が炊けたので茶碗に盛り、大皿に角煮を盛って、味噌汁を椀へ。サラダを盛りつけマヨネーズを掛けたら食事を始めよう。それじゃあ、いただきます。



 「んーーーー!! やっぱりデスボーアの角煮は美味しい! トロトロで柔らかいのに、噛むとお肉の汁がドバーって出てくるの。それに脂が美味しい、凄く美味しい!!」


 「うん、簡単に出来る割には美味いんだよなぁ。やっぱり角煮は便利で助かる。うん? どうかしたか?」


 「いえ、兵士の方々が浮いたままなんですが、食事をするんですね?」


 「俺達にとったら、今食べている食事より価値の無い連中だからな。奴等が死のうがどうでもいい。そもそも敵対するという事は、すなわち殺し合いをするという事だ。こっちは何の権威も権力も無い、ただし圧倒的な暴力はある。だから殺し合いだ」


 「「「「「「「「「「………」」」」」」」」」」


 「それで、そこのクソガキを含めた連中は何だ? 何となく想像はつくが……」


 「彼らは王宮に居て、魔法士団の方々などと魔法の訓練などをしていたりする、私達と同じく聖都近くに倒れていた人達です」


 「ああ、王宮に囲われた飼い殺しの連中な。必要なくなればポイされるのに、クソガキみたいに調子に乗ってるのか? 頭の悪い連中だな。しかも2~3個の魔法陣しか知らないんじゃないのか? そっちの男女もそうだったろ?」


 「あっ、はい。聞いた話では全員そうだったみたいっす。本当かどうかは知りませんけど……」


 「なら早晩捨てられるだろ。大した知識も無く、大した技術も持ってないんだ。そのうえ王宮に出入りできる身分だと調子に乗ってるんじゃな。そんな奴等は要らんだろ、どこの国でも」


 「「「「「「「「「「………」」」」」」」」」」


 「そもそも王宮に囲われる事を良しとしておる時点で話しにならん。所詮は2~3個の魔法が使えるだけ、そんな者は狩人としても役に立たんぞ。いつまでもこの状況が続くと考えるのは大間違いだ。そもそも世の中というのは甘くない」



 俺に悪意を向けてきていたクソガキは、【念動】を使って兵士を宙に吊り上げてから怯え、今では顔面蒼白になっている。今ごろ自分の力の無さに気付いたか? まあ、阿呆はどうでもいい。


 どうやら兵士どもは完全に気絶したらしい。床に転がしとくか。一応、全員死んでない事は確認してる。



 「そういえば料理人が言ったかどうかは知らんが、俺達の泊まっている宿に来た騎士? どもは何も言わなかったぞ。所属も目的も、誰からの使者かも言わず、唯ついてこいと言うだけだ。そのうえ拒否すると抜剣。スラムのチンピラと何処が違うのか教えてほしいんだがな?」


 「「………」」


 「何だ、知らなかったのか? 俺達は帝国の皇女に頼まれて教えた事があるが、聖国は随分と”野蛮”な国なんだなぁ……?」


 「「!?」」


 「ディランドロス、テリオス、フェルデリア、カルディナ……カナイスではなくて……イル、ファリアだったかな? あの時はお忍びでカナイスと名乗っておったが、我々は帝国の皇太子達と会ったし、戦い方を教えた事もある。確かにこの国は帝国とは随分と違うようだ」


 「よく覚えてるな、ウェルは。俺は人の名前なんぞ、いちいち覚えないんだよ。面倒臭いから」


 「アルドさんの場合、覚える気が無いのは殺すからですよね。殺すかもしれない相手の名前なんて、いちいち覚えないというスタンスですし。だから殺さない事が確定しないと相手を名前で呼ばないんですよ」


 「「「「「「「「「「………」」」」」」」」」」


 「いや、殺す奴の名前なんて覚えても無駄だろ。死体に名前なんぞ要らんし、唯の死体だ。そこに何の価値も無い。そんな死体になる可能性のあるヤツの名前なんて、覚えても無駄だろ? どうでもいい」



 えらく怯えた目で俺を見てくるが、そもそも敵対しない限り殺したりなんぞしないがな? まあ、こいつらの中で2人は喧嘩を売ってきてるんだがな。クソガキは個人で、王太子は命じた者として。


 さて、どうやって落とし所にもっていくのかねえ?。


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