0183
戦争に関してなのだが、この世界でも当然ではあるが国同士が行うものだ。傭兵が戦争を嫌った後に、各国は示し合わせたように1つの国際条約と言うか、決まり事を作った。
それは傭兵を戦争になるべく介入させない事だ。傭兵国家ヴェスティオンが中心となり、この条約と言うか暗黙の了解は出来上がったと言われている。
各国が最も危惧したのは、ヴェスティオンに情報が筒抜けになってしまう事であり、ヴェスティオンはそれを理由に攻められる事を危惧した。その結果出来た、裏条約のようなものだ。
裏条約がある為、戦争には戦争当事者である国か、その国の貴族からの依頼がないと勝手に参加は出来ない。だからこそ情報を取られないように駒扱いし、前線で使い潰そうとする。
そういう扱いをされる為、傭兵は更に戦争嫌いになるという状況が続いている。ちなみに、傭兵に無理矢理依頼を強制した場合、傭兵ギルドが撤退してしまうので強制は難しい。
過去、実際に何度か傭兵ギルドが撤退し、戦争以上に経済にダメージを受けた国があるそうだ。その為、普段ならともかく、戦時は強制したりする事は殆ど無いと言われている。
どこにでもバカは居るのだが、バレると傭兵ギルドの前に当該国に処分される。それをもって傭兵ギルドへの謝罪としているそうだ。だから俺達に強制は無いと思うんだが……。
「戦争の事を話してたんですか……」
「どうも、辺境伯の領地が攻められるみたいですね。いつも通り攻めたバカが負けて撤退するのか、それとも本気で戦争をするのかは分かりませんが」
「多分、ある程度は本気じゃないですか? 帝国に居た時にそんな話を聞きましたよ」
「どういう事ですか!? 詳しく話しなさい!!!」
「……ブググ……ギブ……ギブです……たす………」
「シュラ、ストップ! そのままじゃ死ぬよ!!」
「ハッ! 駄馬の顔を見ていたら、つい」
「つい、で殺そうとするの……ゲホッ。止めて下さいよ……ゴホッ」
「それはいいとして、帝国がある程度は本気というのは?」
「ゴホッ……簡単に言うとですね。皇帝はバカな貴族を使って、王国の戦力の把握と国内のバカの処分をする気だという話は聞きました」
「国内のバカを処分する話まで噂になるのか? むしろ皇帝の側近なんかが意図的に流してないか、ソレ?」
「男の癖に鋭いですね。どうも上の人達には、バカな貴族がどういう失敗をしたかがバレてるみたいです。その責任を取らせる為に攻め込ませる。そう聞いたんですよ」
「そりゃいい。バカな貴族が捨て駒かい? 堪らないねぇ」
「何と言うか、この事で溜飲が下がる人は多いでしょうね」
「それも狙ってるんじゃないか? そのぐらい考えられないと皇帝なんて出来ないだろう。幾ら貴族が役立たずでも、皇帝まで役立たずなら国が倒れてるさ」
「そうだね。……となると、私達が出来る事は何も無いか。このまま村でゆっくりしているのが1番だと思うよ」
「私もそれに賛成だ。無理に戦争に参加する必要は無いし、捨て駒扱いも気に入らない。それよりも実力をつけるのが先だと思う」
「アタシも鍛錬しないとねぇ……。流石に色々マズい。このままだと本気でディルに抜かされかねないんだよ。400年も戦ったりしてきたのに!」
「仕方ありませんよ、ダナ。そんなに全力で戦ってきた訳でもありませんし、アルドという答えがあった訳でもないんですから」
「あの、オレもういいですかね? 食事したいんですけど?」
その一言で、この場は解散となった。俺達は部屋に戻り準備を整えて、まずは傭兵ギルドに情報の確認に行く事にした。女将さんを疑う訳じゃないが、詳細が分かるかもしれない。
ギルドへの道を歩いていると、目の前で2匹が遊びながら進んでいるのが見えた。……焦ってもしょうがない。2匹の御蔭で心が和んだ気がするな。心の中で2匹に感謝しながら歩く。
傭兵ギルドの扉を開けて中に入ると、物凄い喧騒となっていた。その中を進んで行き、ミュウさんの所へ行く。誰も並んでもおらず喚いているだけなので、事情を聞いてみた。
すると、ヴェルが説明しようとしているらしいのだが、大半の傭兵が大声で喚いていて収拾がつかないそうだ。仕方なくギルド全体に殺気と殺意を、【闘気】と【念力】を込めて放つ。
一瞬で喧騒が止み、失禁する者が続出したがどうでもいい。そのままヴェルの元に行き喋らせる。なお、注目を浴びている内に、こっそりと床を浄化して綺麗にしたので臭くは無い。
「ヴェル! アタシ達は戦争の事を聞きに来たんだけど、本当の事かい?」
「え、えぇ……。本当の事のようです。少し前から帝国が怪しかったそうで、辺境伯領に近衛の伝令兵と斥候が入っていたそうです。斥候が進軍する帝国軍を確認したと報せが来ました」
「ふーん。……それっていつの事です? 5日前ですか? 6日前ですか?」
「えっと……。5日前ですね。昨日の夜遅く、私の所と村長の所に伝令が来ましたので」
「そうなのね。進軍中の情報だったのなら、そろそろ戦争は始まっているかしら?」
「どうだろうね。かなりの帝国寄りで情報を手に入れていたら、まだまだ戦争は起きてない……と言うか移動中だね」
「唯でさえ軍っていうのは鈍足だからな。あれらは的にしかならないっていうぐらい足が遅いから、まだ移動中だろうと思う」
「言い方が酷いというか辛辣だな。そこまで軍というのは遅いのか?」
「軍が遅いというより集団が移動する場合においては、必ず遅い者と合わせる必要があるんだ。一塊で進軍しないと意味が無いからな。となると、どうしても遅くなる」
「成る程。遅い者に合わせないといけないのは大変だな。だが徒歩の者も居れば、何かに乗る者も居るだろう? それらも遅い者に合わせるのか?」
「ああ、そうさ。さっきアルドが言ってたけど、一塊で進まないと個別に狙い撃ちにされてしまうからね。反撃の為にも全員一緒に進軍する必要があるんだよ」
「5人や10人の集団なら襲えても、50人とか100人の集団は襲い辛いでしょう? つまりは、そういう事です」
「確かに、大量の兵士に襲い掛かるなんて自殺以外のなにものでもないな。……そういえば、どれくらいの人数が攻めてくるんだ?」
「斥候が確認したのは、およそ2000人だそうです。前回の小競り合いの4倍の人数を動員していますね。だからこそ、慌てて報せが届いたんですが」
「2000人というのは輜重隊を含めてなのか? それとも含めずに2000の戦闘員が居る?」
「いや、流石にそこまでは分かりません……」
「どうしたんだい、アルド? 普通は輜重隊を含めての筈だけどね。変な情報を混ぜると作戦の立てようが無くなるから」
「この国さ、結構帝国に入り込まれてるだろ? 伝令が偽者だった場合、輜重隊を含めずに報告されていたら、かなり厄介な事になると思ってな」
「近衛の伝令兵だろ? 流石にそれはないんじゃないかい?」
「裏切りの侯爵家があるだろ。そこがな、どうしても引っ掛かるんだよ。侯爵家が動いた情報が無いからさ。動けなくされているなら良いんだが、暗躍されると面倒でしかない」
「あー……。伝令兵を捕らえて、偽の伝令兵に替えたり、買収したり。もしかしたら斥候が偽者の場合もあるのかね?」
「味方の中に裏切り者が居る時点で、厄介な事にしかならないんだよな。とはいえ、この村に居る限り戦争とは関わらずに済むと思う」
「まぁ、流石にここまで戦火が拡大する事は無いでしょう。それは村長とも話しましたし、村長も同じ意見でした」
「あの子も冷静な判断が下せたようで、何よりね」
ギルド内での話は、周りに聞かせるようにしていたので事情が分かった様だ。話の途中から威圧を解除していた事もあり、傭兵達も落ちついている。もうパニックは起こさないだろう。
それに、戦争に関わる事が無いと分かったのか、狩りに行こうと話してる奴等も居るぐらいだ。もう大丈夫だな。
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0183終了時点
大白金貨1枚
白金貨2枚
大金貨14枚
金貨71枚
大銀貨92枚
銀貨69枚
大銅貨309枚
銅貨2枚
ヒヒイロカネの矛
ヒヒイロカネの小太刀
剣熊の爪のサバイバルナイフ
アダマンタイトの十手
二角の角の戦斧
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
剣熊の骨の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
強打猪の革のジャケット
強打猪の革のズボン
真っ黒なブーツ
大型のアイテムバッグ