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 「お前さん達が学ぶうえでのお薦めは【聖浄】の魔法だ。浄化魔法は主に<清潔系>と<浄化系>に分かれる。もちろん他にも色々あるがな。浄化魔法の中には、この両方を兼ね備えている魔法もある」


 「<清潔系>というのは綺麗にする魔法ですよね?」


 「そうだ【清潔】と【聖潔】だな。<浄化系>は【小浄】と【清浄】に【聖浄】とある。<清潔系>と<浄化系>の両方を兼ね備えているのが【聖浄四重浄化】に【神聖八重浄化】、そして【聖浄世界】と【神聖世界】だ」


 「「「「………」」」」


 「先ほども言ったが、お前さん達にお薦めするのが【聖浄】の魔法。この魔法は浄化しか出来ないが、消費魔力に比べて浄化効果が高いのが特徴だ。それに呪いの浄化も可能なだけの力がある。これより上の浄化魔法は、そもそも複合効果の魔法だからな」


 「あの……説明を受けているところ申し訳ないのですが、本当にそういう魔法があるのですか?」


 「まあ、言うとは思ったけどな。では見せてやろう。【小浄】、【清浄】、【聖浄】、このうち【聖浄】がお前たちに覚えてもらう魔法だ。この先が複合効果の魔法である【聖浄四重浄化】に【神聖八重浄化】」


 「すご!! 魔法陣が四重だったり八重だったりしてる。スゲー!! マジでスゲー!!!」


 「更に高位魔法の一つである【聖浄世界】………そしてこれが最高峰の浄化魔法、【神聖世界】だ」


 「「「「………」」」」


 「私も初めて見たが、とんでもない規模の魔法だな。メチャクチャだとしか思えんが、よくもまあ神様はこんな魔法を創り出したものだ。まず間違いなくアルドしか使えんだろう」


 「これねー、自分の周囲2キロぐらいを浄化するんだって。神様の権能を擬似的に再現? したものらしいよ。アルドは権能の劣化版とか言ってた」


 「「「「「………」」」」」


 「ウェルも含めて唖然とするか? 流石に見せた事は無かったが、単に目立つから使わないだけだぞ? それと使う意味も無いからな。この魔法、使うと高い確率で誰が使ったかバレるからなぁ。誰も知り合いが居ない町で深夜に使うならバレないだろうけど」


 「でも、そこまでして使う意味ないよね? わざわざ使わなきゃいけない事ってなんだろう?」


 「さあ? 俺も使わなきゃいけない状況が思いつかないな。それよりも、魔法陣はこうだ。強力な魔法ほど魔法陣は緻密で複雑な物になる。そういう意味でも【聖浄】の魔法がお薦めな訳だな。この魔法は難しくない」


 「いや、結構分かり難いけど? まあ、さっきの意味不明な規模の魔法に比べれば遥かにマシだけどさ。アレ使えって言われたら、頭がオカシイとしか思えないけどね」


 「そもそもの話、お前さん達じゃ魔力が足りなくて使えないぞ? 後、制御も極めて難しいから、そっちの意味でもお前さん達には無理だな。ウチの子供達でも使えないくらいだから、考えるだけ無駄なんだけども」


 「そういえば子供と一緒に居ますけど、あまり子供連れでウロウロするのは良くありませんよ? 私達が言っていい事でもないんでしょうが……」


 「そうだな。俺からすれば、余計なお世話という言葉を返そう。俺達のようなのは転々と色々な所を旅する必要があるんでな、お前さんらのように一ヶ所に留まる訳にはいかないんだよ」


 「どうしてですか? 子供達に旅をさせたりするのは大きな負担だと思います。子供達が成長するまででも……」


 「だから、それが余計なお世話だと言っている訳だ。俺達には俺達のやるべき事があり、使命と神命がある。俺達はお前さん達と違って、不老長寿、つまり寿命の無い存在だ。俺と子供達は神の加護によって、ウェルはドラゴンだから寿命が無い。俺達は寿命が無いんだよ」


 「「「「………」」」」


 「何と言うか、本当にファンタジーという感じがするね。まさか寿命が無い人達が居るなんて……。流石に寿命の無い人達の事は、寿命のある私達には分からないよ。口出しして良い事じゃないね」


 「まあ……そっすね。流石に驚きですけど、でも魔法がある世界なんすから、何でもアリっちゃ何でもアリなんすかね?」


 「流石に何でもアリだとは思わないけど、寿命がなく1000年も2000年も生きるっていう人は、伝説の中には居るからねえ」


 「あー、エルフっすね。漫画とかアニメじゃ寿命があったりしますけど、元々は寿命が無いのがエルフだって聞いた事がありますよ」


 「エルフ? アルドさん、エルフって確か250年ぐらいじゃなかったですか? 寿命は」


 「そうだな。魔女族が300年、エルフが250年、ドワーフが200年ぐらいか。他にも沢山種族が居るが、人間と獣人が一番寿命が短いからなぁ。短命種族の感覚で語られても困るっていうのが正直なところだ」


 「そうだな。私でさえ群れを出て400年以上経っておるし、短命な種族の感覚を長命な種族に押し付けられてもなあ。更に言えば、一つの所に留まらぬ方が子供達にとっては良かろう。神の加護がある不老長寿など、腐った権力者が何をするか分からんからな?」


 「それは……」


 「自分が責任を持てないなら、無責任な事は言うなって事さ。俺達にとっては一ヶ所に留まらない方が安全なんだよ。いつでも逃げられるようにしておいた方がな? それでも手を出してくる阿呆には、さっきのドラゴンと同様に容赦はせんが」


 「「「「………」」」」


 「魔力を使いすぎたからか、お前さん達これ以上は無理そうだな。水に対して【聖浄】を何回か使えば綺麗になるだろう。食材も呪いで汚染されているから、そっちも綺麗にしなきゃいけないけど。ま、明日か明後日からは綺麗にした水と食材なんかで頑張れよ」


 「え? あ、はい。ありがとうございました」


 「「「ありがとうございました」」」


 「まあ、色々あったが、阿呆なドラゴンさえ居なきゃ起こっていない出来事でもある。今日は観光の日だったんで暇はあったからな、気にしなくていい」


 「明日からはダンジョン?」


 「ああ、いつも通りダンジョンだ。さて、そろそろ夕方が近い、さっさと聖都に戻ろうか」



 俺達は脱出紋に向かい、外に出た。何故か4人も一緒だが、そこは気にしなくてもいいだろう。俺達は料理人の店の前で別れ、普通の食堂に入る。中銅貨6枚を支払って夕食を頼んだら、席に座ってゆっくりと待つ。



 「知ってるか? 何でもダンジョンの中でドラゴンが殺されたらしいぞ? 本当かどうかは知らないけど、少し前にそれを知った奴が聖教の建物に駆け込んだんだってよ」


 「聖教のか? あそこの人達って胡散臭いんだよなー。人助けはしてるんだけど、どうにも心の中では見下してる気がするんだよ。何か目線がそんな感じっつーか」


 「聖教って元々は昔の王族が、く生きましょうって言ってたのを纏めただけだろ? 昔の王族が素晴らしい方だったのは知ってるぜ、でも今の聖教の奴等って偉そうにしてるだけじゃねえか」


 「そうそう。お前ら下々を助けてやってる……みたいな感じなんだよな。あいつらはその事すら理解してないみたいだけどさ」



 何だろう? 物凄くアバウトな日本の仏教……みたいな感じだろうか? ブッダは立派だったけど、最澄と共に伝来し、時が過ぎて腐っていったのと同じ臭いがする。日本の仏教も、長い歴史の中で非道な事を山ほどしてきてるしなぁ。


 組織になると腐る、創始者が居なくなると腐る。こういうのは本当によくあることだ。それこそ”腐る”ほどある事でしかない。やはり連中には近付かないのが一番だな。それしか避ける方法が無いとも言うが。


 さて、夕食も終わったし、そろそろ宿に戻るかね。


 宿に戻った俺達は適当に過ごし、子供達がウトウトし始めたら布団に寝かせた。2匹を左右に寝かせたら【昏睡】を使い、ウェルも寝かせる。部屋と体を綺麗にしたら、おやすみなさい。


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