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 宿に戻って休みつつ、先ほどの事を考えてみる。とはいえ絡んでくるならコッソリ殺すくらいしか出来ない訳で、他にどうこうする気にもならない。というより、出来得る限り関わりたくないのが本音だ。


 そもそも転移させられた奴等が、おかしな能力を持っていないとは言えない訳で、【世界】が変な能力を持たせている可能性はある。もしくは過剰に魔力や闘気を持たせたとか? あるいは知識を与えたとか。


 可能性としてはゼロではない以上、関わると碌な事にならないだろう。全ては行ってみないと分からない訳だが、心構えをしておかないと何処かで失敗をやらかすかもしれない。……おっと、子供達が寝そうだな。


 子供達を布団に寝かせ、その左右に2匹を寝かせたら、襲ってきたウェルを大満足させて寝かせる。部屋と体を綺麗にしたら、おやすみなさい。



 <呪いの星71日目>



 おはようございます。今日も西へと走って行きますが、今日から聖国入りです。それなりに移動してきたが、ここから更に移動する事になる。まずは聖国のダンジョンを目指そう。転移ポイントの登録みたいなものだ。


 昨日聞いた勇者どもはともかくとして、俺は俺のやるべき事をしていかないとな。朝の日課を終わらせて紅茶を淹れて飲む。いつもの事だが、今日は皆が起きてこないので優雅な朝を過ごしている。外にも変な奴はいない。


 そうやって朝の静かな時間を過ごしていると、急に何かが高速で飛んでいった。【探知】は使っているのでドラゴンだと分かったが、聖国の方へ向かって飛んでいったな。そういえば、勇者どもは何故ドラゴンと戦えるんだ?。


 ドラゴンが本気ならとっくに殺されてないとおかしいが、何故かどちらも死んでいない。勇者どもが死なず、ドラゴンも死んでいない。奇妙な状態だし、もしかして八百長試合でもやってるのか?。


 聖国はドラゴンと戦えるアピール、ドラゴンは……暴れてストレス発散? 何かメリットがあるから暴れてるんだと思うが……それが何なのかは分からないな。何がしかの理由があるんだと思うものの、やはり行かないと分からないか。


 子供達が起きるのと同時ぐらいに2匹もウェルも起きたので、朝の挨拶をして見送る。戻ってきた皆と雑談しつつ部屋を片付け、紅茶を飲み終わったら食堂へと移動。中銅貨6枚で朝食を食べるも、碌な噂は無し。


 町を出発し、俺達は一路西の国境へと進んで行く。ある程度走ると国境の砦があったものの、帝国側はともかく、聖国側は簡易的な物だった。ここで守る気は無いのかな? そう思いながら進むと、その向こうに本格的な砦があった。


 なるほど、あそこは検問専用の場所なのか。ちょっと小高い丘みたいな場所の上に建てられているし、周りは荒野だから見晴らしはいい。夜なら侵入し放題な気もするが、そこは諦めてるのかね? 環境的に制限は難しいだろうな。


 そんな事を考えつつ移動し、国境の町に到着したので中に入る。狩人の登録証で問題なく入れたので、聖国でも狩人の登録証は使えるらしい。中に入った後、大銅貨1枚を渡しながら話を聞くと、様々な事が分かった。


 ここはエドイ町で、西にはレーニ村、カソン村、ナナト町、コイム村、アロテロ村、バナンブ町、テオグ村、オルトン町、聖都シールとあり、聖都の近くにダンジョンがあるそうだ。


 そしてドラゴンの事だが、どうも噂と違う。ただ、こっちはプロパガンタとして流されてる可能性もあるので何とも言えないが、ドラゴンは魔物じゃなく、その場に居た狩人を殺していたと聖国では言われている。


 どちらが正しいかは分からないし、どちらも間違っている場合もあるので、ここでは決め付けない。とりあえず行ける所まで行くか。


 エドイ町を出発した俺達は順調に走っていき、ナナト町まで走ってきた。既に夕方なので宿を取り、高めだったが中銅貨10枚を出す。食堂に行き中銅貨6枚を出すと、出てきた食事はパンとスープだけだった。


 具材は多いが、それよりも香辛料が多いからか美味しい。いや、水の影響は出ている、それでも香辛料の御蔭で気にならないレベルになっている。まあ、香辛料の強さで呪いを誤魔化している感じだ。


 それでも今までの料理より美味しいからか、子供達もテンションが高い。ウェルも美味しそうに食べているので、俺だけじゃなかったみたいだな。美味しい食事を終え、部屋に戻って話す。



 「聖国に香辛料が多いのは本当だったみたいだな。綺麗な水は多分だが聖都にしかないんだろう。少なくともこの町では、呪いの含まれた水で料理してるみたいだし」


 「そうだね。あの盗賊の人達が言ってた事だから本当かどうか分からないけど、でも呪いの水は色んな所に流れてるみたいだし」


 「でも聖国は浄化魔法が使えるんじゃありませんでしたっけ? 普通の人じゃ使えないんでしょうか? いつもの通り、一部の人の権威に利用している……とか」


 「可能性は高そうだな。ドラゴンとて子供の頃に習うというのに。人間種に習わせればもっと浄化が進むと思うが、己の地位と権力が大事なのであろう」


 「それもあるだろうが、多少使える程度では呪いに対抗するのは難しい。呪いを浄化するには、ある程度の実力が要る。それは仕方ないんだが、全員が全員暇じゃないからなぁ」


 「実力を磨く余裕が無いか。働いておる者に、仕事が終わった後で実力を磨けと言うても難しかろうな」



 ダリアが胡坐の中に入ってきたので、出してからブラッシングする。最近しているから毛艶は凄くいい。手触りも随分良くなったので、この美猫状態は続けたいところだ。という事でブラッシング開始。


 あっと言う間に寝たが、気にせずブラッシングを続けて綺麗にしていく。十分に綺麗になったらフヨウを撫で、蓮とイデアもブラッシングして寝かせる。子供達を寝かせ、左右に2匹を寝かせて【昏睡】。


 抱き付いてきたチョロゴンを寝かせ、優しく丁寧にじっくりしてやると大悦びし、現在は大満足をアピールしている。まだ意識があるようなので、ブラッシングしてやると寝てしまったようだ。


 最後に部屋と体を綺麗に【浄化】したら、おやすみなさい。



 <呪いの星72日目>



 おはようございます。聖都の近くにダンジョンがあると聞いたので、とりあえずは聖都を目指して移動していきます。自称勇者どもが居そうなので長く滞在したくなかったんだが仕方ない。諦めるしかなさそうだ。


 朝の日課を終え紅茶を淹れて飲んでいると、ウェルが起きてきて抱き付いてきた。また朝から盛っているのかと思ったら少し違い、じっくりと自身の愛情を伝えるようなキスだった。


 十分に満足したのだろう、ウェルはそのまま部屋を出た。良い感じに落ち着いたのだと思うが、もしかしたら違うのか? イマイチ心境の変化が分からないが、何も言わない方が良さ気だ。


 そう思っていたら、戻ってきたウェルは俺の横に座ると、いきなり襲ってきた。おい、ちょっと待て、何やってるんだウェル。



 「んふぅ……チュッ、ごちそうさま。前に言ったであろう? 朝からお口で御奉仕したいと。冗談だと思っていたかもしれんが、私は本気だ」


 「何を考えてるのかよく分からんが、子供達が起きなくて良かった。とりあえず【浄化】しておく」


 「子供達が居るから仕方ないが、雌としては愛しい雄に私だけを見てほしいのだ。もちろん子供達をないがしろにしろと言っている訳ではないがな。朝から私を意識してもらうには御奉仕が一番だと思ったのだ」


 「そこまでしなくても見てるけどな?」


 「雌はな、愛しい雄の視線には敏感なのだぞ?」



 ちゃんと見てると思うんだが、ウェル的には納得できなかったという事かな?


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