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0182




 「おはよう。ダリア、カエデ」


 「ニャーン」 「ガルゥ」



 2匹は朝の挨拶もそこそこに、椅子に座ってる俺を床に下ろそうとする。2匹の望み通り床に座ると、体を擦り付けて甘えてきた。今日はそういう気分の日らしい。


 2匹が満足するまで好きにさせ、その間にこれからどうするかを考える。昨日寝る前にも考えていたんだが、帝国の動きがまるで無い所為で戻って来た意味が薄れつつある。


 村に対する工作員なり、俺に対する暗殺者を始末するのは問題ない。だが、その事で村に迷惑を掛けそうなのが何とも言えないんだよ。


 村が心配で戻ってきたのに、村に迷惑掛けてどうすんだ? ……っていう思いはどうしても出てくるんだよなぁ。う~ん。困ったもんだ。



 「チュッ! おはよう、皆」


 「おはよう、皆」 「ニャ~」 「グル~」


 「また2匹は服に顔を押し付けてるのかい? 相変わらず好きだねぇ、ソレ」


 「前にも言ったような気がしますが、好きなのは服や匂いじゃなくてアルドでしょうね」


 「そうね。でも、好きな人の匂いを嗅ぎたいのは分かるわよ?」


 「ああ、その通りだね。私はどんな匂いでも嫌いにならない自信があるよ」


 「私は、どうなのだろうか……? 今の所、アルドの匂いで嫌いなものは無いが」


 「アンタは何でも好むタイプだよ。アタシ達の中でも1、2を争うくらいに重いんだからさ」


 「分かります。ディルは普通に受け入れるタイプですよ。多分疑問すら湧かないんじゃないですかね」


 「あー……。確かに、その通りね。どこが好きなのか聞いても、答えられないでしょう」


 「全部好きで当たり前だから、いちいち何処が好きかは考えないんだろうね」


 「??? ……好きになるとは、そういう事じゃないのか?」


 「……うん。アンタはそれで良いんだよ。まぁ、アタシもアンタの事をあんまり言えないから、これ以上は言わないよ」



 朝から重い話を、軽い感じでするのは止めて頂きたい。聞いているだけでもダメージあるし、答えられないんだよ。何も言えないし、聞かれたら困る話しは止めて下さい。



 「そういえば、アルドは朝から悩んでいたみたいですけど、何かありましたっけ?」


 「いや、何も無い。これからどうしようか考えていただけだよ」


 「これから……?」


 「ああ。帝国の工作活動なんかが気になって、ルーデル村に帰ってきたんだ。なのに、村に何かある訳でも無いし、俺は暗殺者に襲われた。俺って迷惑掛けてるだけじゃないか?」


 「うーん? ……どうなんだろう、難しいところさ。何処に居ても暗殺者は来ただろうから、アルドが悩む必要は無いと思うけどね」


 「ええ、私もそう思います。クズどもは、他人に迷惑を掛ける事しか出来ない生物ですからね」


 「それに、戦争は起きないんだから、村でゆっくりしてても良いんじゃないかしら」


 「全くもってその通りさ。前にも言ったけど、私達は”不老長寿”の生き方をするべきなんだよ。寿命がある人達のように生き急ぐ必要なんて、どこにも無いのさ」


 「私も不老長寿になった以上は、生き方を変えなければならないのか……。私に出来るのだろうか?」


 「無理に変えようとしなくていいさ。どうせ、いつの間にか変わってるよ。そういうものだからね」


 「もう少し、今のままダラダラ過ごすか」


 「言い方は悪いけど、それで良いと思うよ」



 悩んでもしょうがない。ゆっくり生きるって事は、小さな事は気にしないって事かもしれないな。しかし、村に何も無いなら他の国を見に行きたいんだけど。どうしようか……?。



 「本当なら、聖王国とか傭兵国家を見に行くつもりだったんだが……。村に帰って来てそのままだから、ちょっと考えてしまったんだよ」


 「まだ帰って来て10日も経ってないよ?」


 「えっ!? まだそんなものだっけ?」



 あれー? 何かおかしいな。物凄く時間がたってるような気がするんだが……。うーん? 俺の気の所為か……? まぁ、気の所為という事にしておこう。10日も経ってないんじゃなぁ。


 さっさと食堂に行って朝食を食べよう。いつも通り食堂の女性従業員に、大銅貨8枚を渡して朝食を頼もうとすると、お金を受け取らず話をされた。



 「今日はフォレストウルフのスープがあります。大銅貨1枚と銅貨1枚です!」



 どうやらフォレストウルフのスープが余っているらしい。折角なのでスープのセットを頼み、大銅貨9枚と銅貨3枚を支払う。初めて銅貨を使った気がする。銅貨ってこんな感じだったんだなぁ。


 よく分からない懐かしさを感じながら朝食を待っていると、女将さんが慌てた様にやってきた。随分鬼気迫った表情をしているけど、何があったんだ?。



 「大変! 大変だよ、皆! 帝国が攻めてきたって!」


 「「「「「はぁ?」」」」」


 「本当だよ! 辺境伯様の所に帝国の軍隊が進軍してるんだって。今日の朝、村長の家に皆が集まったんだよ。その時に、王国の近衛の兵士さんが報せてくれたって村長が言ってたんだ」


 「どういう事だ? 皇帝も皇太子も戦争をする気が無いっていうのに、なんで戦争が起こるんだ? まさか、下っ端の暴走か?」


 「そういう事で戦争が起こるというのも、よくある事さ。問題は何故戦争が起きたかじゃなくて、私達はどうするのかだよ」


 「起こってしまった以上は、対処するのが先って事か……。アルメア。済まない、助かった」


 「気にしなくていいさ。主様をお支えするのは、従者として当然の事だからね。どこかの妹とは違うんだよ、私は」


 「!!! ……わ、私だって支えていますよ。私だって……」


 「あー、ハイハイ。さっきのは完全にアルメアの勝ちさ。シュラだって分かってるだろ?」


 「むー。私だってちゃんと支えられるんですよ。私だって従者なんですから」


 「そうね。でも負けは認めないと強くなれないわよ。怒ったり後悔してるだけじゃ、決して良くならないわ」


 「それにしても、フォレストウルフというのは美味しいものなんだな。初めて食べたが、口の中で解けていく肉というのは凄い」


 「「「「………」」」」


 「ん? 私は難しい事は分からないからな、最初から邪魔をする気は無い。それで、帝国が攻めてきたみたいだが、何かするのか?」


 「どうだろうな。何かしてもいいし、しなくてもいいし。そもそも俺達は唯の傭兵だから、戦争には関われない。国から直接の依頼があれば受けてもいいんだが……ライブルぐらいか?」


 「そうだね。ライブルが依頼をしてくるなら、受けてもいいんじゃないかい?」


 「ですね。それ以外だと信用が全くありませんし、私達を捨て駒扱いしそうです」


 「捨て駒……かい?」


 「そうだよ、トーカ。戦争ではよくある事さ。傭兵に正式に依頼しておきながら、勝つ為の捨て駒にするのはね。昔から何も変わってないんだよ」


 「前線の危険な所に行かせるか、決死隊のようにして情報を取りに行かせるか。大体そんなところです。まぁ、その御蔭で傭兵の多くは戦争嫌いになりましたけど」


 「その事は悪い事じゃないのよね。傭兵が殆ど使えなくなったから、戦争が起き難くなったって祖母が喜んでいたわ。大事な”男”が減るのを防げるって……」


 「そ、そうなんだね……。やっぱり、<伝説の魔女>様は違うんだねぇ……」


 「昨日の馬人族も勝てない、3万人喰いの魔女様だからね!」


 「……オレがどうかしましたか?」


 「「「「「うわっ! 出た!」」」」」



 幾らなんでも、ゴキブリみたいに言ってやるなよ。流石に可哀想だと思うぞ。それにしても戦争の話だったのに、コイツが現れただけで吹っ飛んだな。今回に限ってはありがたい。


 正直に言うと、戦争という事でちょっといつもと違う雰囲気になっていたからな。何と言うか、浮き足立っていると言うか、地に足が着いてない感じだったんだよ。


 俺達が関わる事じゃないからなぁ、なるべく死人が出なきゃいいが……。



 ▽▽▽▽▽


 0182終了時点


 大白金貨1枚

 白金貨2枚

 大金貨14枚

 金貨71枚

 大銀貨92枚

 銀貨69枚

 大銅貨309枚

 銅貨2枚


 ヒヒイロカネの矛

 ヒヒイロカネの小太刀

 剣熊の爪のサバイバルナイフ

 アダマンタイトの十手

 二角の角の戦斧

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 剣熊の骨の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 強打猪の革のジャケット

 強打猪の革のズボン

 真っ黒なブーツ

 大型のアイテムバッグ


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