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 カーナント王国のダンジョンに特に難しい地形は無い。さっさと越えて行き、25層の森の地形の半分ほどで昼食にする。美味しい昼食を終えて十分に英気を養ったら、再び最奥へと移動を開始。


 35層で出てきたのは、呪いの鹿だった。さっさと【浄化】して綺麗にしたら、心臓を取り出して全員に等分する。多少の魔力や闘気が増えたものの、それだけでしかなかった。


 脱出紋ではない転移魔法陣の上に乗ると、行き先が3つ脳内に浮かぶ。よしよし、王国、獣国、帝国に移動可能になってるな。皆、帝国に移動するぞ。


 俺が声を掛けると皆が転移魔法陣の上に移動してきたので、全員が乗っているのを確認して移動を選択する。一瞬フワッと浮き上がったと思ったら、帝国のダンジョンの外に居た。おお、本当に転移してる!。



 「いやぁ、驚きの一瞬だったな。それはいいとして、さっさと宿に行って今日は休もう。ついでに明日も休みな?」



 そんな話をしつつスラム近くの宿に行き、部屋を2日とる。中銅貨12枚を支払ったら、食堂に行って中銅貨6枚を支払って少し早い夕食にする。既に武術大会も終わったからだろう、噂話には上っていなかった。



 「我が国は随分獣国から退いてるらしいが、やっぱり重荷だったのかねえ。塩の貴族を潰す為に戦争をしてたって聞くけど、その貴族を簡単に潰す事は出来なかったのかって思うよなー」


 「無理だったんだろうなあ。塩が押さえられてるんじゃ、帝都に塩が入って来なくなったり、田舎の方に塩が回らなくなるかもしれねえ。そしたら叛乱とか起きると思うぞ?」


 「そうか、お国の為にも潰す必要があったんだなあ……まあ、その家は潰れてもう無いから文句も言えねえが、碌な事しねえな」


 「貴族だぞ?」



 本当にな。貴族という一言が全てを物語っている。貴族だから碌でもないのか、碌でもないから貴族なのか。永遠に分からない問いだな。そんな事を考えつつ食事をしていると、一角で騒いでる奴等が居た。


 よくよく見ると帝国の狩人ギルドで突っ掛かってきた4人組だが、あいつら何してんだ? ………ああ、調子に乗ってるだけか。本戦に出場していいトコまで行った、ねえ? 怪しいもんだ。


 食事を終えた俺達はさっさと宿の部屋へと戻り、ゆっくりと休む。明日も休みなのは言ってあるからか、皆もゆっくり寛いでいるようだ。俺もゆっくりとしつつ、余っている素材をどうするか悩んでいる。


 流石に呪いの魔物の素材は狩人ギルドに売れない。間違いなくヤバい素材だからな。しかし、何に使ったものやら? とりあえずは解体しておくか。俺はそれぞれの部位に分けつつ、白い鹿と白いコボルトをバラした。


 目玉とか脳とかの要らない物をフヨウに食べてもらい、残りは冷凍したりして保存する。少し部屋の床が汚れたが、それもフヨウが綺麗に掃除してくれた。



 「仕舞ってしまったという事は、先ほどの素材は使わんのか? アルドにしては珍しいな、今までなら色々な物にしていたであろうに」


 「既に作ってしまっていて、作る物が無いんだよ。後は子供達の十手を白い素材で作るぐらいだが、別に無理して白い素材で作る必要が無いしなー。ウェルが何か使うか? それを作っても構わないが……」


 「私がか……気になるのは盾か。アリシアが居なくなったからな、私が盾を使った方が良い気はするのだが、それ以外は何とも……と言ったところか」


 「ウェルが小回りの効く武器を持っても悪い訳じゃないし、大刀は流石に重すぎたか?」


 「そこまで重い訳ではないから、あれはあれで構わんのだが……手数が多い武器が欲しいといったところか。アレはドラゴン相手ぐらいで、他の魔物相手だと威力があり過ぎるのだ」


 「あー、成る程な。確かにウェルの膂力りょりょくだと、明らかなオーバーキルになるか。盾はまだ作れる木材があるから良いとして、武器はどうするんだ? 斧かメイスか、それともか剣か」


 「途中のが分からんかったが、私としては楽に振り回せるのがいい。だからメイスだな。アルドはフランジというヤツが付いていない物の事を前に言ってなかったか?」


 「ああ、球形のメイスだな。先が丸い形になっており、それでブン殴るメイスだ。フランジ付きの物は、フランジの刃に威力が集中するので高威力になるんだが、気にせず振り回せるのは球形のメイスなんだ」


 「どこが当たっても似た様な当たり方になるからか。私としては楽に使える物が良い。私自身、そこまで器用でもないからな。大刀はともかく、片手で振り回す武器は楽をしたい」


 「了解だ」



 ウェルに作る盾はアリシアのと違いカイトシールドの形にした。当然ドラゴンのパワーで扱えるので、アリシアのようにラウンドシールドの形にして軽量にする必要が無い。


 前面に白いコボルトの骨を被覆して完成。魔力を流せば魔法でさえ楽々と防げる。そして白いコボルトと白い鹿の骨を使って野太い球形メイスを作っていく。最後に爪を球に被覆すれば完成だ。


 ウェルは室内で盾とメイスを構えて振り回している。なかなか気に入ったらしい。まあアリシアと違い、ウェルなら盾で突っ込んでも余裕だろうから安心感が違うな。相手からしたら戦車が突っ込んで来るようなものか。


 それをボーッと見ていた子供達が、急に思い出したように話し掛けてきた。



 「アルドさん、前の星で使っていた飛ばす短剣って作れませんか? アレがあれば切り札みたいな使い方が出来ると思うんです」


 「そう。もしくはアルドが使ってた棒手裏剣が欲しい。投げる武器も持っておいた方が良いと思う」



 子供達が言うので考えたが、相手の虚を突く事を考えたら短剣の方が良いだろうとなった。残っていた骨を使い短剣を作りつつ、覚えていた魔法陣などを中に刻んでいき、最後に白いコボルトの爪と牙でコーティングすれば完成。


 もう一つの短剣は丸ごと全て鹿の角で作り、どちらもの鞘を鹿の角で作ったら完成。残った角とか牙とかはフヨウに食べてもらった。これで大体の素材を使い切ったな。次は皮か……。


 適当に子供達の着るジャケットにしてしまい、これで皮も終了。子供達は引っ付くけど動きを妨げないジャケットを着て喜んでいる。そういえば前の星でも皮のジャケットを着させてたなぁ。



 「魔力を篭めると短剣が飛んでいくのか、それも神がつくられたとは……。いや、別に私が良い悪いを言う立場には無いのは分かっているのだがな、神々は意外に過保護なのか?」


 「子供達にはな。とりあえずこれで白い素材を使い切った。肉はゆっくり食べればいいから、これで悩む必要も無いな」



 子供達は射出短剣を持って遊んでいたが、宿が壊れても困るので止めさせた。その後はトランプで遊ぶ事に戻ったが、すぐにウトウトし始めたので布団に寝かせる。


 2匹も左右に寝かせて【昏睡】を使うと、ウェルが抱き付いてきた。今日はそれだけかと思ったら、とっくに全裸になって抱き付いている。何か段々と神界で修行中の女性陣に似てきたな。


 【房中術】と【鋭覚】で相手をしたら、あっさりとダメになったので寝かせ、部屋と体を綺麗にしていく。全部終わったのを確認したら、おやすみなさい。



 <呪いの星68日目>



 おはようございます。今日は1日休みの日です。頑張って移動する羽目になったので大変だったし、今日はゆ……。ウェル、朝早くに起きたのはいいんだが盛るな。ちょっと、おい! ああ、もう。


 何かスイッチが入ったのか、朝から急に押し倒してきたウェルを反撃で撃沈させた。少々「イラッ」としたので強引にしたが、むしろチョロゴンは大悦びだ。何で朝から盛るかね?。


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