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<呪いの星55日目>
おはようございます。今日はダンジョンの最奥に行き、呪いの魔物を倒しに行く日です。出来れば聖国に行く前に、オルには呪いの魔物の心臓を一度は食べさせておきたい。
それなりには魔力や闘気は増えるだろうと思うし、何と言っても傷付いた体を治してやった方が良いしな。何となくだが尻が傷付いてるっぽい感じなんだよ。ああいう店で働いていたとはいえ、子供がコレだからなぁ。
碌な事をしないと思うも、それを考えるよりは治してやる方が先だ。おっと、朝の日課を終えてウダウダしていたら、本人が起きてきた。一番早く起きるとは、まだ魘されてるのか?。
夢見が悪いのか、単に早く起きただけなのかは分からないから難しいところだな。トイレに行くのを見送ったらダリアが起きたので……と思ったらどんどん起きてきた。今日は一気にラッシュだけど、全員早いな。
部屋の片付けをしつつ今日の予定を話し、紅茶を飲み終えたら食堂へと移動。中銅貨8枚を支払って朝食を食べる。食事後はダンジョンへ行き、オルを走らせつつダンジョンの先へと進んで行く。
夜の砂漠は俺が背負い、草原で昼食にした。その後アーマーベアを3頭狩って血抜きなどの処理を行ったら、最奥まで進む。再びの最奥で出てきたのは、呪われたゴブリンだった。身長は3メートルを超えている。
今回は何とか漏らさずに耐えた女性二人。オルが居るから気合いを入れて頑張ったのだろうか? そのオルは派手に漏らしているが、こればっかりは仕方ない。既にゴブリンは動けなくなっているが、まだ動けないようだ。
流石に蓮やイデアはスルーしているし、女性二人もスルーしている。俺は完全に【浄化】しきると、オルを綺麗にしてから解体に向かう。まずは心臓を取り出し、少し切って食べるも変化は殆ど無し。女性二人も同様なのでオルに食べさせる。
オルは嫌がったものの【人形】を使って無理矢理食べさせ、現在はうつ伏せで呻いている。体が痛いらしいが、お尻も痛いようだ。やはり傷付いていたか……。
そんな呻いているオルは放っておき、ゴブリンの皮を使ってブーツとグローブを作っていると、何故か【念話】が届いた。こんな所でわざわざ?。
『アルド、聞こえていますね? 移動を便利にする為とかいう理由で<空神>がダンジョンを弄ったようです。脱出紋の他にもう一つ魔法陣が出てきますから、他のダンジョンも2度攻略しなさい。そうすればダンジョンに転移出来るようになります』
『えっと……それはつまり、2度攻略したダンジョンに転移できるという事ですか?』
『そうです。その星の呪いを浄化する為には、様々な場所へと赴かなければいけないでしょう。その為にダンジョン間での転移を可能にさせたそうです。その分しっかりと頑張りなさい』
『いや、がんば』
強制的に切りやがった。それにしてもダンジョンを2度攻略すれば……か。獣国や王国に戻る必要があるぞ? 面倒な事になったなあ……。まあ、仕方ないか。転移となれば出来る出来ないで大きな差が生まれる。
出来れば最初にして欲しかったのと、最初から教えて欲しかったよ。おっと、ブーツとグローブ作りが先だな。とにかく皆に話して聞かせるか。
「つまり、ダンジョンを2度攻略せねばならんという事か? 面倒ではあるが、代わりに別のダンジョンに転移という事が出来ると……。あまりにも反則過ぎる気がするな。転移という事は、おそらく一瞬で移動出来るのであろうし」
「それぐらい蓮達はウロウロしなきゃいけないって事じゃないの? ……前の星でもウロウロしたし、転移っていうのも無かったから、こっちの方がマシかなぁ」
「ボクはマシだと思うよ。前の星と違って木像が無いし、一瞬で移動出来るみたいだから。あれが有れば速く移動できるけど今は持ってないし、それに転移を使うにはダンジョンの最奥まで来なきゃいけないんでしょ? ならアルドさんが居ないと使えないよ」
「ああ、呪いの魔物が居ますもんね。毎回呪いの魔物に勝たなきゃいけないと考えれば、アルド以外誰も使えませんね。身体強化を教えてもらった私達でも無理です」
「……あー、痛かった! あの! あれって変な物じゃないですよね!?」
オルが驚いて詰め寄ってきたので、呪いの魔物の心臓の効果を教えてやる。食べれば体の傷付いた部分や悪くなっている所が治る事、その際に激痛を伴う事。そして魔力と闘気が格段に増加する事を。
「えっ!? ………うわ! 凄い!! 魔力と闘気が凄く増えてる! こんなにいっぱいあるなんて、僕じゃないみたいだ!!」
喜んでるのはいいが、そろそろ帰るぞー。それ……っと、アレが転移の魔法陣か。試しに乗ってみると……ああ、行き先指定できるタイプなんだな。今は帝国のダンジョン、つまりここしか行き先にない。ついでに指定すると、そのダンジョンの外に出されるらしい。
つまり指定して転移すると、該当のダンジョンを脱出した形になるという事だ。まあ、最奥に飛ばされて毎回呪いの魔物と戦闘になるよりはマシだ。転移前に戦闘し、転移後にも戦闘って面倒臭すぎるからな。
オルにブーツとグローブを渡し、身に着けさせて脱出する。帝都へと戻った俺達は、宿へと一旦戻り今後の話し合いを行う。俺としては獣国と王国に戻り、ダンジョンを攻略しておきたい。何故なら転移が可能だからだ。
「まあ、言いたい事は分かります。私としてはどちらでも構いません。ですので戻りましょうか?」
「すまんな。流石に転移できるとなると話は変わる。何がこの先あるか分からないからな、転移しなきゃならない時がきた時に転移できないのは困るんだ」
「言っている事は分かりますし、いつでも移動できるというのは魅力ですからね。………ま、大丈夫でしょう」
アリシアとしては戻りたくないのだろうが、それでも納得はしてくれたようだ。そのまま食堂へと行き、中銅貨8枚で夕食をとる。まだ武術大会の話が多く、特に聞くべき噂話も無かった。
宿の部屋に戻ったらゆっくりし、オルと子供達が遊んでいるのを見つつ、アーマーベアを加工し鎧などの防具を作成する。オルにきちんと装備させたら、後はアイテムバッグの中に保管だ。
やる事が終わった俺は、久しぶりにダリアをブラッシングする。簡単に寝てしまったが、全身の毛が綺麗になるまで梳いてやった。次はフヨウな。
そのフヨウも今やでろーんとしており、完全に力が抜けてしまっている。おそらく寝ているのだろうから置いておき、次は蓮とイデアだ。2人も寝かせたらオルも梳き、子供達と2匹を布団に寝かせる。
最後に女性2人を寝かせたら、おやすみなさい。
<呪いの星56日目>
おはようございます。今日は獣国に戻るルートを走って行きます。それなりに面倒な事になったものの、後の事を考えたら、今の内に苦労しておいた方が良いだろう。朝の日課を終わらせて、紅茶を飲みながらボーッとする。
今日は静かに過ごせそうだと思ったら、アリシアが起きてトイレに行った。その後すぐにウェルも起き、静かな時間はほんの僅かにしかなく、騒がしい朝が始まる。今日は特筆して少なかったな。
皆も起きたので部屋の中を片付け、準備が終わったら宿を出て食堂へ。中銅貨8枚で朝食を食べたら帝都を出発。一路獣国へと向かう。ソーイント町まで強引に走ったが、やれば出来るものである。
この日はソーイント町の宿に中銅貨7枚で泊まり、中銅貨8枚を支払って食堂で夕食をとった。その後は宿に戻って眠らせて、部屋と体を綺麗にしたら、おやすみなさい。




