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夕食後。宿の部屋へと戻り、子供達の遊びに付き合う。ダリアとフヨウはリバーシで遊び、アリシアとウェルは雑談をしている。そうやってダラダラ過ごし、子供達が舟を漕ぎ始めたら布団に寝かせていく。
2匹を寝かせて【昏睡】を使ったら、急に黙って妖しい目をし始めた2人を寝かせる。今日はアリシアが先だったが、ウェルはまた違う事をリクエストしてきた。それ自体は構わないんだが、なかなか好みが見つからないのだろうか?。
単に楽しんでいるだけならいいが……。まあ、考える事でも無いしさっさと寝よう。それじゃあ、おやすみなさい。
<呪いの星45日目>
おはようございます。今日はダンジョン攻略の日ですが、別に急いではいません。美味い肉の出る層があれば、少し集めても良いんだよなぁ。海の物に関しては浅すぎるので流石に美味しい物は無いだろうと思う。
次に攻略するのは砂漠だが、おそらく5層で終わりだと考えている。その次がどうなってるかによって変わるけど、厄介な地形でなければ肉の魔物の可能性は高い……かな?。
朝の日課を終えて紅茶を淹れ、ゆっくりと飲んでいるとウェルが起きてきた。戻ってきた後にキスしてきたのでそれに応えると、更に情熱的に返してくる。あまり朝からもアレなので【房中術】を使い撃沈し、床に寝転がしておこう。
ある程度経つと復帰してきたが、コップに紅茶を入れて話し掛けてきたので雑談を始めた。その後すぐにアリシアが起きたのでギリギリだったろう、ウェルだけとなると五月蝿かっただろうし。
アリシアが起きた後は続々と皆が起きてきて、いつもの賑やかな朝になっていった。皆が飲み終わるまでゆっくりし部屋を片付けたら食堂へと移動、中銅貨7枚を支払って朝食を頼む。近くから大きな声が聞こえてくるが、朝っぱらから五月蝿い奴等だ。
「今日の予選はどうなるんだろうな? 皇族の方々は順当に勝ち上がるだろうけど、昨日まさかの試合があったからなー! 驚きなんてもんじゃねえよ、オズファーノンが予選で敗退するなんてさ。毎年の本戦出場者だぜ?」
「とはいえ、仕方ないだろう。外に出ちまった以上は負けなんだしさ。どんなことでもそうだけど、新しいヤツっていうのは出てくるもんさ。そういうヤツが出てこなきゃ駄目だとも言えるしな」
どうやら有力な奴が負けたらしいな。とはいえ予選で負けるって事は、その程度の実力しか無いって事だ。良い悪いは別にして、敗退した以上は予選で落ちる程度の実力って事だからな。本当に強い奴は予選でコケたりはしない。
朝食後、帝都を出てダンジョンへと向かう。相変わらずそれなりにはダンジョンへ行く奴が居るのだから、誰も彼もが武術大会を観戦しに行く訳じゃないようだ。もしくは単に金が無いだけか?。
そんな事を考えていると、昨日の5人組が居た。どうやらあの後で謝り倒したらしく、5人はチームとしてもう一度やっていくんだろう。こちらに気付いていないみたいなのでスルーし、俺達はさっさとダンジョンに入る。
1層から身体強化を使って一気に進んでいき、21層の砂漠へと到達。そこからも素早く進んで行き、暑い層を素早く突破していく。ジリジリと焼けるような光が降り注ぐ層を越え、26層へと踏み込むと再び砂漠だった。
勘弁してくれとも思うが、ここは夜の砂漠だ。真っ暗なうえ、今度は風が吹いて寒いという地形。なかなかに厄介なものだが、ここも身体強化をしていれば寒さを軽減できる為、一気に走って突破しよう。そう思ったら黒い蠍が出てきた。
何という名前の魔物かは知らないが、倒して肉の部分だけゲットしていく。前の星でも大型の蠍の肉は、海老みたいな味で美味しかったんだよな。子供達はそれを知っているので嬉しそうだ。しかし、何に使うかな?。
そんな事を考えつつ、蠍を狩りながら突破していく。30層へと辿り着くと、一転して今度は暖かな草原だった。長閑な風景……とは言い辛いな。何故ならデスボーアにアーマーベア、ソードグリズリーにヘビーブルが見える。
ここはどうやら肉の天国らしいが、まずは遅い昼食からだ。まさか30層以降でこいつらが出るとは思わなかったからな。近付いてくる魔物は倒しつつ、焼き場と椅子とテーブルを作って料理を開始する。
アリシアとウェルには生地を作ってもらい、蓮にチャパティを焼いていってもらう。イデアにはスープを任せ、俺は中の具材を作っていく。といっても蠍の肉と細かくしたかす肉を味噌ダレで炒めていくだけだ。野菜は解凍して用意している。
具材を挟んでタコスモドキにしたら、椀にスープを入れて食べていく。料理が完成するまでにデスボーアとアーマーベアを倒す羽目になったが、いちいち近付いてこなくていいよ。
「んー! 蠍がね、プリプリで美味しい!! 海老も美味しいけど蠍も美味しいの。お味噌が良い感じに絡んでて、かす肉の味も合ってる!」
「うん、かす肉はアクセントになってて美味しいね。何というか、無いと味気なくなるんだと思う。こういう目立たないけど重要な具材ってあるよね」
「子供達が相変わらず過ぎて、何とも言えなくなってきますね。美味しいという感想しかない私は何なんでしょう?」
「そこは考えなくてもいいのではないか? そもそもアリシアにそんな事を期待している者もおらんしな。むしろ豪快なくらいでいいのではないか?」
「ニャー」 「………」
俺はノーコメントだが、ダリアとフヨウはウェルの言葉に同意してるな。俺はスルーしてるんだから睨むんじゃないっての。それより魔物が襲ってくるかもしれないんだから早く食べなさい。
アリシアは渋々といった感じで食事をしていく。それにしても何故に俺を睨むんだか、俺は何も口に出してないぞまったく。まあ、そんな事は放り捨てておくとして、それよりも魔物の事を考えないとな。
超魔鉄があるからソードグリズリーは横に置いておくとして、それよりもアーマーベアだ。あれは皮系の防具素材としては最高に近い。あれ以上となると呪いの魔物の皮になってしまうからな。
できればここで全員の装備の更新をしておきたい。なので、最奥まで行くのは無しだ。今日はここで魔物を出来得る限り狩る。それを皆に説明し、主にアーマーベア。そして肉の美味いデスボーアとヘビーブルを狩る。
肉が美味いと聞いたからだろう、アリシアとウェルが物凄くやる気だ。俺は血抜きをしたり肉を冷凍したりとやる事が沢山あるうえ、旨味干し肉も作らなきゃいけない。なかなかに大変だが、装備と食べ物の為に頑張ろう。
とにかく加工は後回しにし、アーマーベアの皮を手に入れたら脂肪層などを排除して収納していく。もちろん全員分のきぐるみを作成する為の皮も収納する。ソードグリズリーが邪魔だが、爪だけゲットして後は【浄炎】で燃やす。
デスボーアとヘビーブルは肉だけ手に入れ、要らない部位は纏めて【浄炎】で燃やしていく。流石に死体を放置する気は無い。どれぐらい必要か分からないのでそれなりに狩り、満足したら脱出紋で外に出た。
ダリアと子供達は味を知っているのでホクホク顔だし、その子供達の顔を見て期待するアリシアとウェル。フヨウは味を感じないので動きが無い。竜の肉なら喜ぶんだけど、あれはやっぱり栄養価も高かったんだろうなぁ。
それとも内臓を食べてたので、今は満足してるだけかね? 【浄炎】で焼く前に内臓だけ食べてたんだよな、それはダリアも同じだったけど。適当に食い散らかしてたから、美味しいトコだけ食べてたんだろう。
さて、夕方には早いから宿に戻って作成するんだが、柿渋も無いからなぁ。いつも通りソフトレザーにするかな?。




