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 「よく分かりませんけど、何かしましたよね? 何か急におかしな事を言い始めましたし……。村人の仇とか言っていた筈なのに、世の中の人全てを救うとか言ってましたよ?」


 「アルドってねー、前の星だと神様の道具を使って善人に洗脳してたんだよ。それと似た感じがする。もしかしたら、神様の道具が無くても出来る?」


 「ああ、何かそんな感じがしたね。あれって書き換えたっていうか洗脳したっていうか……そんな風に見えたよ。まあ、狂った人だったみたいだし、アレぐらいしないと駄目だったと思う」


 「洗脳……な。よくもまあ、そんな事をするものだ。とはいえ、そこまでせねば狂った者は如何にもならんか。村人の仇だから何をやってもいいなど、完全に狂っているとしか思えぬからなぁ」


 「流石にな。あそこまでおかしな奴は、殺すか洗脳してしまうしかない。前の星なら蓮の言う通り神様の道具で善人にしてしまうんだが、この星に来る際に取り上げられてるから無いんだよ。だから自前の技で善人に洗脳した」


 「善人……なら良いんですかね? 誰にも迷惑は掛かりそうにないですし、反省……はしてなさそうですけど、おかしな事をしないなら構いませんか。とはいえ、一度失った信頼は取り戻せなさそうですけど」


 「それは仕方なかろう。あれほど狂っていたのだ。しかもあれだけ言われて、正気に戻るでもなく意固地になるだけ。そのうえ呪われたのだぞ? 私なら改心したと聞いても取り合わんよ」


 「そういえば呪われてたけど治ったね。あの人が2人目だけど話は聞けなさそう……。でも、呪いの言う事を聞かないと元に戻れるっていう可能性は高いみたい。やっぱりアリシアもそうなんじゃない?」


 「………ですかね? 呪いの声………聞いたような、聞かなかったような? ……やっぱり思い出せません。呪いの声を聞かなかったから戻れたのでしょうけど、呪いは私に何を言ったのでしょうか?」


 「さあ? それより、そろそろクソガキも居なくなってるだろうし先へと進もうか? あんまりここでウダウダと話しててもしょうがないしな。それに誰かが来て邪魔になるかもしれん」



 俺の一言で移動を始める皆。ドラゴンがやった碌でもない事で余計な怨みを向けられたが、お門違いの怨みを向けられてもなー、ハッキリ言って傍迷惑なんだよ。怨みや憎しみはやった本人に返せとしか思わないんだが、その恨みの相手を俺が殺してる可能性がある。


 その辺りは何とも言えないが、黙ってスルーが一番だ。あのガキ共に教えてやる義理は無いし、あのガキ共も分からないだろう。そもそも人間種からすればドラゴンなんて全部同じにしか見えないし。


 鱗の形とか尻尾の形とか、角の形とか目の形とか。ウェルに聞くと違いは一目瞭然らしいが、俺達からすればサッパリなんだよなー。多分人間種の姿になれば違いはハッキリ出るんだろうけど、ドラゴンの姿じゃなあ……。見分けるのは無理だ。


 14層に到着したので呪いの少ない場所を特定し、進んで行く。あの連中も居ないので、言っていた通り脱出したんだろう。俺達は先へと進む為、転移紋の方向へと移動して行った。


 現在16層。何故か地形が変わっていない。平原のままだし……魔物が違うのか? 急に蟷螂かまきりの魔物や蛇の魔物、それと……あれはいなごか? それとも飛蝗バッタか?。


 急に虫だらけの層に変わってるのと、女性2人がウンザリした顔になっている。ウェルもドラゴンとはいえ、虫の魔物は好きじゃないらしい。



 「それはそうだぞ。アレらは食う所も碌に無いうえ、いちいち攻撃してくる。小さいのが体に集ってきて鬱陶しいのだ。別に我等ドラゴンの鱗を食い破れる訳でもないのに、いちいち噛み付いてくるのだからな」


 「ああ、虫が気持ち悪いとか、そういう事じゃないんですね。私は気持ち悪くて駄目です。蛇ならかろうじて戦えますけど、他のは絶対に嫌です」


 「まあ、何を言っても戦って進むしかないんだ、諦めろ。それと魔物のいなごは多分だけど食い荒らすぞ。あいつらの顎は結構強いからな、集られると皮膚や肉を食い荒らされて死ぬかもしれん。気をつけろ」


 「魔法使っていい? いっぱい襲ってきたら多分だけど捌けないと思う」


 「だね。流石にそれなりの大きさではあるけど、あれが一斉に大量に襲ってくるとマズいよ。魔法で早めに蹴散らしたいんですが……」


 「ああ、人の居ない方向になら問題無い。小さいって言っても体長15センチくらいはあるし、アレが群れで襲ってきたらシャレにならん。俺も全力で魔法を使ってどうにかしなきゃいけないかも……」



 いなごの群れって、通り過ぎた後には何も残らないって言われるほど食い荒らすからなぁ。元の星じゃ何処かの国の連中もいなごと呼ばれてたけど……。それは横に置いておくとして、それより早めに抜けてしまおう。


 皆にも言って、気合いを入れて進んで行く。そこまでいなご飛蝗バッタが多くないのと、蟷螂かまきりと死闘を繰り広げているので助かる。蟷螂かまきりの種類が多くてちょっと面白いけど、観察している場合じゃないな。


 4本腕のヤツとか、体が赤くて鎌で切りつつ燃やすヤツとか、羽ばたきが強力で敵を吹き飛ばしてから襲うヤツとか。蟷螂かまきりの魔物にも個性があって面白い。そして出てくるハリガネムシよ……。


 予想はしてたけど、それを食い荒らすいなごは何なの? 色々アレ過ぎて、あれは見たくなかったなー。アリシアもウェルもかなり引いてる。蓮とイデアは興味深そうに見てるけど……ああ、2匹は我関せずだ。


 ダリアは猫だけど、頭が良いから無意味に虫とか殺したりしないし、鼠を獲ったりもしない。狩猟本能が無いのかと言ったらそうじゃなく、魔物と戦って発散してたりするので、多分だけど小さい奴に興味ないんだろう。


 フヨウに関しては何でも喰うし、何でも溶かせるんだろうけどなぁ。そもそも狩猟本能とか無いし、戦闘自体を好まない。元々は死骸喰いだからか戦闘そのものをやりたがらないし、仮にやっても魔法でだ。体は強力になっている筈だが、それでも危険な事をする事は無い。


 まあ2匹の戦闘の事はいいか。さっさと進んで昼食にしないといけないんだが、虫の出る地形は流石にな。次が昼食の食べられる地形ならいいんだが、クソガキで結構な時間を使ってしまった。アレが無ければ……。


 そんな事を考えつつの21層目、そこはまさかの砂漠だった。勘弁してくれよー……という事で、皆と顔を見合わせて帰る事に決めた俺達。流石に砂漠で食事は御免だ。前の星でも虫のダンジョンぐらいだった筈だ、砂漠で昼食にしたのは。


 天然の砂漠なら食事は普通にするけど、ダンジョン内の砂漠はなぁ……食事をする気にはなれない。ダンジョンの中だけの砂漠だから、余計に食事をする気分にならないんだよ。これならまだ洞窟の方がマシかもしれない。


 そんな話をしつつダンジョンを脱出する。そもそも初日でクリアしなきゃいけない理由も無いし、最奥まで行って呪いの魔物を倒すだけだからな。急ぐ必要も無ければ、期限が決まってる訳でも無い。


 今日は終わりとしてダンジョン街から離れた後、焼き場などを作って遅い昼食にする。周りに多少の人が居るが、知った事ではない。今日は全粒粉で作ったうどんだ。かす肉を魚醤などで少し煮込み、それと炒めた野菜を具材とした。


 【熟成】を使えば麺もささっと作れるので問題なく、出汁は謎の魚節と野菜の旨味でとった。優しい味になったが、かす肉がアクセントになっているからか、皆も美味しそうに食べている。


 これは成功かな?。


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