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 「ぐ、う……くそぉ………ドラゴンはオレ達の故郷を潰したんだぞ! 何でアンタ達はそんなドラゴンに味方するんだ!! それともアンタ達もドラゴンを使って悪事を働いているのか!? だとすれば絶対に許さないぞ!!」


 「そうよ、悪人ども! 絶対わたし達が倒してやるんだから覚悟しなさい!! 最後にはわたし達が勝つのよ!!」


 「次は必ず勝つ。ドラゴンは絶対に倒す」


 「「………」」


 「うん? そう言えばこっちの二人はドラゴン云々とは言ってなかったが、お前さん達はドラゴンに何かをされた訳じゃないのか? それとも出身地が違う?」


 「えっと、まあ……。オレは仲間が欲しかっただけですし、帝都の出身です。良い所じゃないですけど、早めに家を出て狩人になりたかっただけなんで……」


 「私は親に反発して家を出た……それ以上は言いたくない」


 「まあ、言いたくないのを無理して聞く気は無いが……それにしても、こっちの3人は随分と間抜けだな? ドラゴンに故郷を襲われたというが、そもそもウェルは襲ったドラゴンと違うだろうに、何を言ってるんだか」


 「何をもなにもドラゴンだろう!!! お前のようなヤツがこの世に居るから皆が苦しむんだ、オレがこの手でころ、ぐぇぼっ!?」


 「鬱陶しいクソガキだな、まったく。あまり下らん事をホザいてると、殺すぞ」



 俺はこのクソガキどもに魔力と闘気の威圧を放つ。たったそれだけで恐怖に凍りつきながら漏らした。情けないガキどもなうえ、自分が何を言ったかも理解していないんだろう。それを教えてやるか。



 「そもそも先ほども言ったが、お前の故郷とやらを襲ったドラゴンとウェルには何の関わりも無い。つまりお前らは無関係の相手を襲った訳だ。これがどういう事か分かるな?」


 「な、何が……」


 「簡単だ。ドラゴンだというだけで無関係なウェルを襲ったという事は、お前達がやった事は盗賊と何ら変わらんという事だ。理由があろうが無かろうが、難癖を付けて襲った事は事実だからな。そのうえ相手に無実の罪を擦り付けている。つまり犯罪者は、お前らだ」


 「「「「「!!!」」」」」


 「何だ、今ごろ自分達のやった事を理解したのか? 俺達は今ここでお前らの首を刎ねても問題無い訳だが……そこまで理解していないとは思っていたが、予想通りかよ。本当に頭の悪いクソガキどもだな。そのうえ、あまりにも弱い」


 「まあ、私に勝てんのは当然ながら、アリシアや子供達にすら勝てておらんからな。アリシアの盾すら突破出来ておらんし、子供達には魔法を連射されてあっと言う間にボコられておるし」


 「で、お前らの首をここで刎ねても俺達は何の罪にも問われない訳だが……?」


 「「「「申し訳ございませんでした!」」」」


 「んー? そこのヤツ。お前は謝罪無しだが、ならば盗賊扱いでいいな? 謝罪するなら今の内にしておけよ。いつまでも自分の命がある訳じゃないぞ」


 「ドラゴンがオレ達の故郷を襲ったのは事実だ! ドラゴンが居なきゃ村の人達は今も生きてるんだぞ!! ドラゴンがこの世から居なくなればいい! オレは何も悪い事はやってない!!!」


 「お前はその答えでいいんだな? 俺は謝罪するなら今の内だと言ったぞ?」


 「五月蝿い!! ドラゴンの味方をするならお前も敵だ! 必ずオレの手でころ……」



 俺はギャーギャー喚くガキの心臓に短剣をプレゼントしてやった。自分が殺されないとでも思っていたのか、突き刺されて呆然とした顔をしているが、このクソガキは最後までクソガキだったらしい。



 「お前が何を勘違いしているのかは知らん。だが、こちらを襲ってきている以上は盗賊と同じなんだよ。つまりいつでも殺せるし、殺しても何の罪にも問われない。当たり前の事だ。お前は自分を正義のヒーローみたいに思っていたのかもしれんが、やってる事は人殺しと何も変わらん」


 「そのうえ反省の色も無しですからね。なら殺されても文句は言えないのですよ。貴方の故郷を襲ったドラゴンは別の者であり、ウェルは何の関係も無い訳ですからね。言うなれば無関係の人を盗賊のように襲っているだけです」


 「な、何て事を! わたし達の故郷はドラゴンに襲われたのよ!!」


 「何を勘違いしている? それを言っていれば他人を襲っても許される訳じゃないぞ? お前達がやった事は明確な犯罪だ、帝国の法に照らし合わせても盗賊と同じ重罪となる。俺達が手加減して捕縛してやっただけに過ぎない。勘違いしすぎだ」


 「あ、ぐ……ぐぞ……ご、ろじでやる。……おばえだ……ぢはーーーー。殺してやる!!!!」



 突然、ガキの周囲に呪いが集まり始め、猛烈な勢いで吸収され始めた。短剣である程度苦しんだら神薬で治してやるつもりだったんだが抜かったか? まあ呪いに溺れたなら仕方ない、ここで滅ぼすか。そもそも盗賊連中である事に変わりないし。


 俺は他の4人を【念動】で離し、呪いで体が変わっていくのを見届ける。前回のドラゴンの際に呪いの吸収中に【浄化】しても無駄だったからな。とはいえ吸収中に【浄化】すれば、それだけ多くの呪いを【浄化】できるんだろうか? ……ちょっと遅いけど【浄化】しておこう。


 少年というか青年というか、微妙な歳のガキは木の枷を破壊して大きな二足歩行の鰐になった。尻尾だけで2メートルほどあるが、何と言っても二足歩行で全身が鱗塗れだ。随分と硬そうだが、斬れるかね? とりあえずは試すしかないな。


 その鰐はいきなり俺の方に向かって走り出すと、右手で殴りかかってきた。……が、別に速くもない。俺はあっさり避けて腹を蹴り上げる。しかし大して効いていないのか、今度は左足で蹴ってきた。


 俺は前に出てブロックしつつ、相手の顎というか顔の側面をフックで殴ってバックステップ。やっぱり大して効いていないらしい。その後も我武者羅がむしゃらに攻撃してくるが、ことごとく全てかわして反撃する。


 すると、突然大きな声で喚き散らし始めた。……こいつ、もしかして?。



 「五月蝿い! 五月蝿い! 五月蝿い! オレの邪魔をするな!! アイツを殺す邪魔をするな!! お前は力だけ渡してればいいんだよ!!!」



 こいつ……呪いの声に反発している? いや、呪いを支配下に置こうとしてるのか? どっちにしてもコレってチャンスなのでは? ……今の内に【浄化】してしまおう。


 俺は鰐の攻撃を捌きつつ、反撃せずに【浄化】を使い呪いを減らしていく。ドラゴンのリョクディマと違い呪いに支配されていないからだろう、みるみる内に呪いの力を失っていき、やがて人間の姿に戻った。やはり呪いに支配されなければ戻れるみたいだな。



 「クソッ!! 何がなんだかよく分からないけど、元に戻れたなら別に良い。お前を殺してやる!?」



 俺を右手で殴ろうとしたガキは、その右手が鰐の時と変わらない右腕になった事で、それを活かして攻撃してくる。ただ、所詮は右腕だけでしかない。俺は腹を膝で蹴り上げてやり呻かせると、膝を突くまでに股間を蹴り上げてやった。


 今は悶絶して戦いどころではなくなった。なので、その間に他の4人の枷を外してやる。4人は怯えきっていて会話どころじゃなかったので、綺麗に【浄化】してから念力を込めて手を叩き、目を覚まさせてやった。



 「呪いに塗れた奴を見るのは初めてだったんだろうが、あれが呪いに侵された奴だ。あのガキは呪いの言う事を聞かなかったから【浄化】して元に戻れたが、呪いの言葉に従っているとバケモノになって消滅していた。ま、呪いの言葉以上に俺が許せなかったんだろうがな」



 今度は4人とも呆けているが、大丈夫か?。


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