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 塩を作った後は転移紋の方角へと行き、次の層へと移動する。相変わらずだが、呪いの無い場所へと行けば転移紋があるので本当に楽だ。次の転移紋を推測する必要もなく、【探知】で簡単に分かるからな。


 2層も同じく海岸で、大きな蟹やフナムシがいる。流石に大量に居ないからまだいいが、アレが大量に居たら生理的嫌悪感が凄かっただろうなぁ。他にも大きなトカゲが居て、魔物の種類は豊かだ。


 そんな中を進んで行くと、5層の転移紋付近に結構な数の狩人が集まっている。何か問題でもあったのかと思ったら、また迷賊のような連中らしい。悪意を持った連中が多かったのも、徒党を組んでいるからか?。



 「おっと、ここから先へは通せねえなあ! 通してほしけりゃ、金と命を置いていけや。お前ら! このスカしたヤロウをブッ殺すぞ!!!」


 「「「「「「「「「「おう!!」」」」」」」」」」


 「皆、生かす必要は無いから殺せ。尋問する理由も無いんでな」


 「「了解!」」


 「「分かった!」」


 「ニャー!」 「………」



 敵の狩人は20人ちょっとか。まあ、大した数じゃないな。今回生き残らせる必要が無いと言ったのは、そもそもスラムを潰しているからだ。つまり、こいつらの背後関係を洗っても大したものは出ないと思っている。


 それでも最初にこっちに絡んできたリーダー格だけは生かすんだけどな。そいつは一番後ろで偉そうにしているだけだから、生かすのは難しくない。皆も前から順当に殺していってるし、今のところは逃げる気配も無い。


 こういう連中は逃げる時の事を考えて、転移紋近くで襲ってきやがるんだよな。駄目なら逃げるつもりなんだろうが、俺は逃がす気は無い。なので戦いもせずに見張ってるんだが……ようやくか。


 俺は逃げ出そうとしたリーダー格が後ろを向いて一歩目を踏み出した瞬間、【念動】で転ばせ足を捻って挫いた。激痛に大声をあげる間にさっさと近付いて確保した俺は、戦闘中に尋問を始める。


 その結果は非常につまらないもので、こいつらは徒党を組んでやっているだけであり、何かの背後関係がある訳ではなかった。後ろに組織的なものでもあるのかと思っていたが、当初の予想通り無しという事で首を刎ねておく。


 その頃には戦闘も終わっていたので、近くに穴を掘っている間に身包み剥いでもらい、必要な物は残して死体と共に【浄炎】で焼く。20数人分の死体なのですぐに終わり、鉄は回収して超魔鉄にしておく。


 後は金銭以外必要ないので焼いており、俺達は次の層へと進んだ。どのみち今日中に攻略する気は無いので、無駄な時間が掛かっていても問題無い。道を覚えるのも然る事ながら、攻略の為に道の掃除もしてかないといけないしな。


 そんな事を考えつつ6層に入ると地形が変わった。どうやらこのダンジョンは5層毎に地形が変わるらしい。前の星でもあったので特に問題も無いんだが、この星では初めてだな。今までは10層毎だったのに。


 ただ5層目は山だったので、<ドクロの花>の帝国出身だった2人はここで岩塩を得ていたんだろう。それなりの数の者が疎らに居るのが【探知】で分かる。【空間把握】で確認すると、やはり岩塩を得ているようだ。


 背嚢のような袋に詰めて、それを持って運んでいる。どうやら持って帰って売るんだろう。となると、未だに帝国か帝都は塩をダンジョンから得ているのか。とはいえ無限に得られる場所から採るのは当たり前の事だな。


 俺達は塩を得ている連中を見ながら次の層へと進んで行く。6~9層は変わらず山であり、10層に着くと平原だった。ここへ来て簡単な平原かと思うも、魔物は牛系や猪系だ。狩ってもいいのだが、まだ浅い層だから美味しい魔物とは思えない。



 「それは確かにそうですね。奥に居る魔物の方が強い分美味しいですから、ここの魔物は1頭か2頭ぐらいで良いですかね? それとも狩らずに進みますか?」


 「狩らなくていいんじゃない? だって今日攻略する訳じゃないんでしょ? それに干し肉とかす肉があるって言ってたし。そっちの方が美味しくないお肉より美味しいよ」



 蓮の一言でここの魔物は狩らない事に決めた。別にどっちでも良かったんだが、あんまり美味しそうな魔物でもないのは事実だ。前の星もこの星もそうだが、魔物は強さと味が比例するからな。一部例外はあるけど。


 それなりに長閑と言えなくもない光景の中を俺達は進み、13層で妙な連中を発見。男2の女3のチームなのはいいのだが、前で戦ってる男と後ろで援護する女。微妙な感じの雰囲気を醸し出している。


 何て言うんだろう、男の取り合い的な感じ? 視線でバチバチ牽制し合ってるのが分かるのと、男と女1名ずつがそれを見て苦笑いしている。どうもその二人は付き合ってる訳じゃないみたいだ。



 「あれは何でしょう? ……青春ですかね? あからさまに剣と盾の男性を取り合っている感じですが、あの男性だけがそれを分かっていませんねー。見世物としては面白いかもしれませんが、現実だと……」


 「毎回毎回あんなものを見せられたらウンザリするであろうな。私なら文句を言い、それでも改まらぬならさっさとチームを出て行くぞ。戦闘の最中に男を取り合うなど鬱陶しすぎる。そんな連中と居てみろ、いつ死ぬか分からん」


 「戦闘に集中しないってダメダメ過ぎるし、そんな人達といたら危険すぎるよ? 死にたいのならいいけど、死にたくないなら考えた方がいいね」


 「ボクならさっさと離れるね、こんな所までつき合ったりしないよ。いちいち面倒臭いし緊張感も無いみたいだし、イライラして仕方ないと思う。だって真面目に戦う気が無いんだし」


 「「「「「………」」」」」



 実は転移紋近くで戦ってたので邪魔だったんだが、それも有るのか無いのか皆が辛辣だ。気持ちはよく分かるし、命の奪い合いの中で何やってんだと思うも、容赦が一切無いなー。俺も同じ気持ちだけどさ。



 「あー、君達は転移紋を目指してたのかい? すまない、邪魔してしまったようだ」


 「そんな事はどうでもいい! それより私達を馬鹿にするってどういう事!? あんた達と違って私達は優秀なチームなのよ! 少しぐらい他所見してようが余裕で勝てるっての!!」


 「彼女はともかく私は弱くない。少なくとも貴女達よりは強いから、訂正して」


 「聞きました? 私はともかくとしてウェルより強いんですって! 蓮やイデアを見た目で侮ったのは仕方ないとしても、ウェルより強いって言うんですから、彼女達は達人と言えるぐらい強いんでしょうね?」


 「そうだな。私……つまりドラゴンより強いというのだ、そなたらは人間種としては随分な強者のようだ。その割には大した事が無いようにしか見えな……と、危ないな。急にどうした?」


 「お前はドラゴンだと言ったな!! 故郷の皆の仇として、お前を殺す!!」



 急に5人が敵対的になったが、どうやらドラゴンに故郷を破壊されたらしいな。本当に碌な事をしない連中だが、奴等の所為で俺達が死んでやる義理も無い。



 「皆、とりあえずボコれ。後で枷を嵌めるから殺すなよー。一応話を聞くからな、どうせ下らない事だろうけど」



 そう言いながらも、死んだとて特に気にしないんだがな。ドラゴンに対する恨みをウェルに向けられても困るし、仲間を殺そうとする以上は殺される覚悟があると見做す。当たり前の事だけど。


 5人は大した強さも持っておらず、当たり前のように皆にボコボコにされた。俺は呻く連中に枷を着けるお仕事だ。


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